「薄墨の笛の音色にのせて」という演奏会が開催されました。
静の魂が眠るこの街で 義経の魂と再会させてあげたい。
義経と静のラブストーリーをすばらしい声と他にはない音で楽しめるものになりました。
「薄墨の笛」を守り、後世に残そうと活動されている
「薄墨の笛の会」世話人の松島さんから薄墨の笛についてのご紹介がありました。
笛が残されている静岡県鉄舟寺のご住職から笛の話を聞いて以来、
今日まで笛の世話をされてこられました。
名笛としての機能を回復させたその音色を初めて聞いた時、
「笛に宿っていた義経の魂がわたしに乗り移った」
…というエピソードはとても印象的。
「祇園精舎の鐘の声…」のくだりで
ぐっと会場は歴史を遡っていきます。
わたしたちはまるで戦乱の世に立った気分に。
静は義経に持たされた財を付き添いの輩に奪われ、山中に取り残されます。
やっとのことで蔵王堂にたどり着いたときに 頼朝に捕らえられて鎌倉へ。
鶴岡八幡宮で日本一の舞を披露せよ、と言われ、
紅の扇をもった静御前がみせたのが…「しずやしず」。
別れたばかりの義経への気持ちや、
兄弟の争いへの嫌悪を込めた舞を見せつけた静。
いよいよ800年の時を経て、
静と義経の魂が再会するとき。
まず、笛を前に般若心経を読み上げます。
このあたり、さすが上がり三か寺のあるさぬき市!というところ。
この日もご住職とともに香川にやって来ました。
読経ののち、ご住職から奏者に笛が渡されます。
横笛奏者 赤尾三千子さんのご登場です。
赤尾さんはニューヨークフィルやハリウッド映画との共演をされている
世界的に有名な横笛奏者の方。
前日は長尾寺、この日は屋島寺にお参りして会場に来られました。
優しく心地良い音から、体中を管にして吹き上げる強い音まで。
とても華奢な楽器ではありますが、
私達の体にはとても大きな音の響きが伝わります。
こんなに横笛の世界が奥深いとは…と思わされるひととき。
静が雨乞いの際に歌ったとされる「今様」も披露されました。
手に小さな鐘をもち、少しずつ鳴らしながら舞台をゆっくりと歩まれる赤尾さん。
この曲は赤尾さんが義経と静を思い、作られたもの。
能の笛とはちがい、「龍笛」と呼ばれる肺活量の非常に必要な「薄墨の笛」。
赤尾さんも体中からエネルギーを吹きこまれていました。
「薄墨の笛の音色にのせて」の公演は終了。
外へ出ると…パラパラと雨が。
唯一 舞で雨を降らせることができた舞姫だったという話が残っていますが…
これは静なりの応えなのかもしれませんね。
会場に来られなかったあなたも、
長尾周辺の静の歩いた地をたどってみると…
なにか応えかけてくれるかもしれませんよ。


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