2013年12月18日

「現代の名工」和裁の達人・長尾理恵さんにお会いしました!@長尾

さらです。



たとえば街中で、

着物を小粋に着ている方を見かけると、

素敵だなぁ〜と、思わず見とれてしまいませんか?


そんな着物を仕立てる和裁の達人が、

さぬき市にいらっしゃいます。


「卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者」

として厚生労働大臣が表彰する「現代の名工」に選ばれた、


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長尾理恵さんです。



長尾さんに、和裁を始められたきっかけや、

和裁とはどういうものなのか、についてお話を伺いました。






💠和裁を始められたきっかけは?


長尾さんは高校卒業後、職業訓練校で和裁を学びました。

「もともと物を作る仕事に興味があって、

手に職を付けたいと思っていた。

今思うと目指していたのは『技能士』だったが、

当時はそのような名称は無かった」


職業訓練校のカリキュラムの中から、

自分に合う条件のものを選んだら、

それがたまたま『和裁』だったのだそうです。


当時の職業訓練校は、

今のように学校で皆がそろって勉強するのではなく、

個人の和裁教室で勉強しつつ、

定期的に学校に集まるというスタイルでした。


香川県は、和裁教室同士が互いに協力しあって

和裁の技能を高める努力が熱心にされていたので、

和裁のレベルが非常に高く、

全国大会でも上位入賞の常連だったそうです。


長尾さんが訓練生だった当時、

レベルに応じた試験が行われていたのですが、

最初から1番だったわけではなかったんだとか。

「できないということを悔しいと思うほうだった。

人に負けた悔しさではなく、

自分自身が目指す目標に届かないことへの悔しさだった」

毎日毎日、とにかく縫い続けて技術を磨いたんだそうです。


職業訓練校を卒業後、同校の指導員となり、後進の指導に当たりました。

「これが、和裁を続けていく上での大きな転機だった」

と長尾さんは言います。


💠着物の良さを伝えたい


現在、長尾さんは、香川県和裁職業訓練協会の会長など、

様々な活動をされながら、着物の良さを伝えています。


2013年11月16日(土)・17日(日)にサンメッセ香川で開催された

「かがわ技能フェスティバル&匠の技フェア」では、

子ども達に七五三の衣装を着てもらって、

ファミリーファッションショーを行いました。


「着物の良さを伝えたい、まずは知ってもらいたい」

ということで、長尾さん自身が、折に触れて積極的に

着物を着るようにしているそうです。


💠和裁の作業を見せていただきました。


長尾さんに、和裁の道具などを見せていただきました。


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これは電気鏝(こて)と呼ばれるもの。

箱の中に電気釜があり、こての金属部分が熱くなります。


どのように使うかというと、

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縫い目に「きせ」をかけるためアイロンとして使ったり、

(きせをかけるとは、縫い目が表から見えないように布を折って仕上げる事)


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『こてべら』といって、こうやって生地にしるしをつけるのだそう。



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木の棒に見えるのが「くけ台」

それに「かけはり」という金具をつけています。

和裁で縫製するとき、直線的な運針がしやすいよう、

着物の生地を引っ張るために使用するのだそうです。



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和裁の針は短めで、頭(糸を通すところの膨らみ)がありません。

まち針も、この針を使用します。

針が無くなってはたいへんなので、仕事を始める前、途中、終わった後に、針の数を必ずチェックするそうです。

(それに加えて、現代では検針機という機械でも残針をチェックをします)

安全性に関わる重要なことなので、和裁技能士の試験でも、残針があれば失格となるそうですよ。



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和裁はとにかく真っ直ぐ手縫いするのが特徴。

生地も直線に切って使用するので、まったく無駄がありません。



洋服ほどデザインにバリエーションがないため、形も縫い方もシンプルですが、

「シンプルだからこそ、和裁は、やればやるほど奥が深い」

と、長尾さんはおっしゃっていました。


最近は、リメイクの依頼も多いのだそうですよ。

例えば、

・自分の親が着ていた着物を、子どもの着物にリメイクしたい

・昔の着物を、冬場に着る「はんてん」にしたい

など、様々な依頼があるそうです。



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長尾さんに「達人になる秘訣」をお聞きしたところ、
「とにかく『続けること』ではないでしょうか。
本人の努力はもちろんのこと、環境や運にも恵まれなければ、
続けることは出来ません。自分はその機会に恵まれました」
という答えが返ってきました。
長尾さんの謙虚なお人柄と、和裁の一針一針コツコツと縫っていく姿が重なりました。



今回、長尾さんのお話を聞きながら、私が子どもの頃、家で祖母が和裁をしていたことを思い出していました。

職人でもなんでもなく、もちろん素人ですが、私の着物のすそ上げをしたり、浴衣を縫ってくれたりしていたんです。

昔は和裁が日常生活の中にあったんですね。


今回、長尾さんにお話を伺って、ちょっと遠い世界のように思っていた着物の世界を、ぐっと身近に感じることができました。

子どものイベントなど、特別な日に着物を着てみようかな、と密かに思っています。





香川県和裁職業訓練協会(事務局: 有限会社 矢野和裁)

香川県高松市屋島中町560-1【地図

TEL:087-843-8314





posted by sanuki-asobinin at 15:00| 香川 ☁| Comment(0) | 達人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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