2015年07月27日

西岡秀子さんの「父のシベリア、母の満州」講演会レポート@津田町

まもなく8月。



楽しい夏の日々とは裏腹に

終戦によせるたくさんの人の想いが動く月。



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今年は戦後70周年。


それにあわせて県内でも戦争を考え、伝えるイベントが行われています。



さぬき市でも2015年7月23日(木)にさぬき市津田公民館で

家族のシベリア抑留と満州引揚げ時の想いを伝えたいと

西岡秀子さんの講演会「父のシベリヤ 母の満州」が行われました。



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西岡さんのお話を通じて

香川も意外と「シベリヤ」「満州」に関わる県であることを知りました。





西岡秀子さんは現在、京都在住。


お父さんである蓮井秀義さんが戦後のシベリア抑留に、

お母さんである蓮井ユリエさんが戦後の満州から日本に引き揚げた経験があることを通じて

戦争の悲しみや真実を後世につたえるための活動をされています。



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津田町には家族ぐるみでゆかりがある西岡さん。


お父さんとお母さんの出会いが戦前の津田小学校、

戦後、満州から引き揚げて暮らした場所がさぬき市鶴羽、

西岡さんご自身も津田高校で青春時代を過ごされたこともあり…


同級生や鶴羽の縁ある方々の声から

今回の講演会と、8月に映画の上映会が決まりました。


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2015年7月23日に開催された講演会の題材は

2014年に西岡さんが出版した本「シベリヤの月」


父・蓮井秀義さんがシベリア抑留時に書き溜めた手記

母・蓮井リエさんが満州からさぬき市鶴羽に戻ってくるまでを書き上げたノートをまとめたものです。



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蓮井秀義さんはさぬき市長尾のご出身。

県内で教師を務めた後、満州の日本人小学校に赴任が決まったことをきっかけに家族全員で満州へ渡ります。



その翌年、昭和16年には太平洋戦争に突入。

戦火の中、満州で母・ユリエさんは2人の女の子を産み育てました。



昭和20年7月、終戦直前に満州に住む日本人男性は根こそぎ召集され、蓮井さんも家族と離れることに。

「帰国させる!」と言われたままに乗った船は日本ではなく北へ。



ここから旧ソ連軍の捕虜として労働を強いられる蓮井さんの苦しい4年間が始まります。



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蓮井さんは捕虜として過ごす中、短歌で綴った手記を書かれていました。

「寒さ、飢え、強制労働、政治教育」



本もラジオもなく



話すことは食べもののことばかり



夜はマイナス30度以下



反抗すれば殺される



が、その元気もない


手記には想像を絶する日々。



シベリアから引き揚げた後は

さぬき市鶴羽で悲願の家族との暮らしが始まり

また教師として活躍されますが…


家でシベリアの話をすることはあまりなかったそうです。



蓮井さんは2012年に98歳で亡くなられますが

3人の娘さんによって、手記を改めて出版することにしたのだそうです。


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講演会にはさぬき市の方はもちろん

琴平、観音寺、丸亀など遠くから足を運ばれた方も。


中には今年5月に厚生労働省から改めて発表された

シベリア抑留者の名簿を手に西岡さんに話しかける方も。


「ご家族や親戚、知人が、蓮井さんと同じようにシベリアへ行っていた」

そんなが香川県にはたくさんいらっしゃるんだと

皆さんの様子を見るだけで伺い取れました。


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また、蓮井さんと共に教壇に立ったことがある方もいらっしゃいました!

懐かしい教師時代のアルバム持参で駆けつけてくださいました。


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写真の中には蓮井秀義さんと、お写真を持ってきてくださった女性の姿が。

蓮井さんは学校で抑留のことを語ることがなかっただけに

「シベリヤの月」を読んで大変ショックを受けたのだそうです。


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講演会を終えられた西岡秀子さんにお話をお聞きしました。


「60万人、いや、それ以上のひとがシベリアに行きました。


今日こられた皆さんやそのご家族が色んな体験を持っているから

こういう機会に共感できたらいいなと思っています。


家に帰ってお孫さんなど次の世代にお話していただき

70年経った今、なかったことにしないで後世に伝えてほしいです」


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会場には「シベリヤの月」の表紙の絵「生き続けた鼓動」を描かれている

さぬき市の画家 千田豊実さんもいらっしゃいました。


千田さんといえば、シベリヤ抑留経験のあるお祖父様と二人で

抑留をテーマにした作品の二人展をされたことも。


 ひらめき千田さんの作品、二人展についてはこちら



(千田さん)

「西岡さんとの出会いは舞鶴の引揚記念館で行った祖父との二人展です。

 一緒に活動することで、世代がつながるというのを実感します」


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千田さんが描く祖父の姿(上の絵)


2015年9月5日からは

「祖父と孫の二人展 遺されたもの」が

香川県坂出市かまどホールで行われます。


新しい作品も展示されるとのこと。

ぜひこちらにも足を運びたいものです。


 ひらめき詳しくはこちら。


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そしてたくさんの方に見て欲しいと西岡さんがおっしゃるのが、

満州で過酷な体験をしながら、生涯を残留孤児たちの肉親探しに捧げ

【残留孤児の父】と呼ばれる山本慈昭さんの半生を描いた映画「望郷の鐘」。


2015年8月2日(日)に、さぬき市志度音楽ホールで上映されます。



(西岡さん)

「香川からは満州開拓に1万人もの人が出向いているんです。

 この数字は全国的には15番目ですが、

 総人口の割合から見れば、香川県の移民の数は全国5位。

 大きく関わりがある香川で、この映画をやらなくてはと思いました」

さらに会場では、満州開拓の資料展示も開催されます。



これはひとつのきっかけ。

ここから身近に存在する「戦争の陰」を、改めて見つめてみませんか?



映画上映会「望郷の鐘」


開催日時/2015年8月21日(日) @10:30〜12:15 A14:00〜15:45

場所/さぬき市志度音楽ホール【地図】

前売料金/一般1000円、小中高校生500円

当日料金/一般1500円

満州開拓の展示時間/10:00〜13:30


お問合先/0879-42-3107(さぬき市教育委員会生涯学習課)


【関連記事】

  • 祖父・故 川田一一と孫・千田豊実の二人展→こちら
  • 戦争のむなしさ伝える、四国で唯一の「人間魚雷・回天」→こちら
posted by sanuki-asobinin at 12:00| 香川 ☀| Comment(0) | グルメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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