先祖や亡くなった人たちがあの世からこの世の家族のもとに戻ってくるといわれている、お盆。
日本では『お盆』に先祖の精霊をお迎えし、供養をする風習が残っています。
さぬき市では8月13〜16日頃、自宅でお盆の供養をする方が多く見られます。
そして、
2015年8月15日(土)、さぬき市鴨庄白方地区でもお盆に帰ってきた先祖の霊を供養する
『白方の精霊送り火』が行われました。
- 「白方の精霊送り火」とは?→こちら
この白方の送り火をテーマに撮影中の映画『ある夏の送り火』の撮影も快調です!

さぬき市鴨庄の白方地区は、日盛山の緑と瀬戸内海に囲まれた自然豊かな集落です。
かつては半農半漁で栄えたというこの小さな町・白方ではかつてから夏には送り火が執り行われましたが、
高度経済成長期以降、40年ほど途絶えていました。
しかし、白方の送り火をかつて体験した地元の方が『白方の伝統行事を若い世代に残したい』という呼びかけもあり、
2009年に復活。それからは天候の良い日は毎年、白方の自治会が総出となった送り火が行われています。
香川で送り火といえば、小豆島の虫送りやさぬき市大川町のお大師山の火祭りが有名ですが、
自治会を上げた規模で、こういった海の送り火をするところは非常に珍しいのだそうです。
白方の精霊送り火は、白方の海岸線に穴を堀り、その穴に108の松の葉や枝を置きます。
そうして出来上がった火床を一斉に燃やすことで霊を弔い、帰ってきた霊をあの世へ送ります。
16時頃、海岸では地元の方が送り火の準備中を進めていました。
幅約80cm、深さ約30cmほどの穴を堀り、
そこによく乾いた松の葉や枝を敷き詰めれば送り火の火床が完成!
火床は1m30cmくらいの感覚で、108つ用意されます。
送り火復活に尽力された、多田さんもいらっしゃっていました。
多田さん「ありがたいことに送り火に興味を持って頂くが増えて嬉しく思っています。
白方の送り火で映画を撮るということで、
これからもっと白方の送り火を知ってもらえるのではと期待しています」
そう、今この白方の送り火をテーマにした映画『ある夏の送り火』が撮影中なんです!
▲監督の岸本さんと脚本の堤さん
昼夜問わず、撮影が続けている『ある夏の送り火』クルー。
送り火の準備中も、海岸線でのシーンを撮影していました。
いよいよ準備も完了!
海岸線を沿うように、約1.5kmつづく松明は圧巻です。
白方の自治会の山本さんがまずご挨拶。
山本さんもこの送り火の復活に尽力された方の一人です。
火が灯る時を待つみなさん。
今年は、地元の方含め例年より多くの人が送り火の見学にいらしていたそうです。
海岸には仏具やお供えが置かれ、円通寺の僧侶の方の経を読みます。
読経が終わると、地元の方に松明が配られます。
山本さんの合図で一斉に火が灯されます。
炎がつくと煙が一気に立ちのぼり、夕方ですこしひんやりした空気は一気に熱量を帯びてきます。
炎から立ち上った煙は、風に乗って海へ流れていきます。
その様子を見ていると炎を境界線に、陸と海がくっきり分かれ、
煙が何か意志を持って、海へ向かっているような錯覚に陥ります。
そして、白い煙は変わりゆく空の色と夕陽に染まり、刻々と色を変えていきます。
きっと昔の人はこの煙を祖先や亡くなってしまった大切な方の魂に見えたのではないのでしょうか?
そんなことをぼんやりと考えながら燃えて行く炎を見ていました。
幻想的で少し不思議な白方地区の海の送り火。
そこには、失われつつある日本人の感覚と讃岐の原風景がありました。
白方の精霊送り火
場所/香川県さぬき市鴨庄白方周辺海岸【地図】
日時/毎年8月15日
読経18:00頃〜
点火18:30〜
【映画「ある夏の送り火」】
来年1月頃にはさぬき市で試写会を。
そして来年夏には全国のミニシアターで公開予定!
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