昨日ご紹介した特別展「俵札〜230年前からの納札」。
これを見て、実際にお遍路さんが歩き遍路の中でどんな風に人に出会い、どんなお接待を受けて、何を感じてこられたのかが気になり…
またまた行ってきました、前山おへんろ交流サロン。
年間2500人、国内外のお遍路さんが訪れるというこの場所で、半日腰を据えてお遍路さんをお迎えしてみました。
国内外のお遍路さんから、様々なへんろの思い出、お接待への気持ちをお聞き出来ました。
四国霊場87番札所「長尾寺」から88番札所「大窪寺」に向かう遍路道沿いに建つ「おへんろ交流サロン」
結願を目指すお遍路さんは必ずと言っていいほど、この場所に立ち寄ります。
まずは玄関前で弘法大師様と同じと言われる金剛杖にお休みいただき、
中でお茶とお菓子のお接待を受けます。
このお菓子が美味しいとお遍路さんに大人気♪(向かいの道の駅ながおや大窪寺前のおみやげ屋さんでも販売中)
地元の方の手作りのお接待もあり、ほっとする瞬間。
休みつつ、先に到着しているお遍路さんとの交流を楽しみます。
最初の一声はいつも「今日はどちらから歩かれましたか?」
訪れた2016年5月19日午前10時頃には秋田、埼玉、愛媛、デンマークからこられた外国人のお遍路さんがいらっしゃいました。
デンマークのお遍路さんは有名な航空会社でパイロットをされていた方。
スペインの巡礼の道サンティアゴ・デ・コンポステーラで日本人に出会って四国遍路を知ったことから、定年後に歩き遍路にチャレンジ。今回が初めてだそう。
ここ最近はオランダ、フランスなどヨーロッパの方のお遍路さんが増えていますが
スペインの巡礼の道と四国遍路の交流が進んでいるからこその現象だと感じます。
旅の苦労を話している間に、おへんろ交流サロンの和田館長が「遍路大使任命証」を用意してくださいます。
これは歩き遍路、自転車遍路で結願する方にお渡しする88箇所を廻った証。
申請すると受け取る事ができます。(詳しくはこちら)
ほどなくフランス人お遍路さんオリヴィエさんも到着。
この方、先日テレビで放送されたばかりの「世界ふしぎ発見」でも登場されていましたが、とうとう結願間近!
日本語の挨拶がとってもお上手です〜!
(オリヴィエさん)
「2012年にスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラで二人の日本人に会って四国遍路のことを知りました。
その後、フランス人が書いた四国遍路の体験本を読み、心の旅ができる!と思い、歩き始めたんです。
基本的には毎日ノープラン、行き当たりばったりの歩き遍路でしたが、日本がセーフティな国だからできたことだと思います」
オリヴィエさんが英語の通じない四国でも動きやすくサポートされたのが
「NPO法人 遍路とおもてなしのネットワーク」の宍戸事務局長。
たまたまこの日、交流サロンでオリヴィエさんと落ち合うことになっていたそうで、いろいろお話をお聞きしました。
(宍戸さんは一日一斉おもてなし遍路のイベント紹介でも登場)
(宍戸事務局長)
「外国人のお遍路さんがお遍路をしていて大変だと感じるのは、やはり遍路宿の予約。
スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラでは巡礼の道沿いに予約なしで宿泊できる安い善根宿がかなりありますが四国遍路は真逆。
言葉が通じない場所が多く、今日宿泊する宿で次の宿を予約してもらうと良いなどのアドバイスをしてきました。
また、最近ではタブレットを持ち歩いてお遍路する方も多いので、プリペイド式のシムを手配して
マメにメールで連絡を取れるように設定したりとフォローアップしています」
ふと、鞄から何かを取り出すオリヴィエさん。
旬のそら豆を剥き剥きぱくぱく。
私もそら豆のお接待を受けてしまいました〜。
これは申し訳ない!と、お菓子をお渡ししたら…
例の「納め札」を頂戴しました!嬉しい!
今日の日付、出身地フランス、そしてオリヴィエさんのサイン入り。
「御大師様と歩かれているお遍路さんから頂くこの納札は、御大師様と同じ」と考えられています。
というわけで、私も早速家の高い所に飾らせて頂きました。
(オリヴィエさん)
「昨日は高松市にある善根宿に泊まりましたが、そこでも心のこもったおもてなしを受けました。
『四国遍路のお接待=smile people』本当にみなさん笑顔いっぱいでお接待してくだいました」
ほかのお遍路さんにも旅の中でのお接待のお話をお聞きしてみました。
(愛媛から来られた男性)
「車で5回巡礼した後の初めての歩き遍路をしています。車は人との交流がありませんが、歩くと休憩所や遍路宿で必ず人との情報交換があります。その時のお茶やお菓子のお接待はとてもありがたく、その気持ちのお接待が本当に嬉しいんです。
最初のお接待は徳島ですだちを袋いっぱい頂いて…その日のお宿でお料理に使っていただきました!」
(埼玉から来られたご夫妻)
「遍路道を歩いていると、子供さんが手作りした手のひらサイズの仏様を親御さんから頂いたり、小さなお子さんから飴の入った折り紙の包み紙を頂いたり。自分が住んでいる土地と風土が違うと感じました。
小さいころからこうやってお遍路さんへのお接待を覚え、またその子供がお接待の心を受け継いでいくのだなと思いました」
大窪寺に向けて出発するお遍路さんが満面の笑顔でこうおっしゃいました。
「何度も巡り、お接待を受けることで人のありがたさ、心の愛情をたくさん頂いたんです。それを背中に背負って今日もいってきます。」
お遍路に休みはなく、お接待する気持ちにも休みはありません。
おへんろ交流サロンでは今日も、お接待の思いをいっぱい詰め込んだ鞄を背負ったお遍路さんが訪れています。
前山おへんろ交流サロン
住所/さぬき市前山936番地 【地図】
営業時間/9:00〜16:00
定休日/年末年始
駐車場/あり
HP/http://www.geocities.jp/sanukimaeyamanet/ohenro/sisetu/sisetugaido.htmlTEL:0879-52-0208
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