2017年06月15日

高松藩主と関わりの深い「霊芝寺」その2:お殿様の休息の間「御成所」の修繕完成@末

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前回のブログでご紹介した、さぬき市末「霊芝寺」にある
高松藩主2代目 頼常公9代目 頼恕公のお墓所。



霊芝寺には藩主がお墓参りに来た後、必ず立ち寄る「御成所(お成りの間)」が本堂奥にあり
数年かけて修繕され、2017年6月4日に地元の方へお披露目されました。


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お殿様だけが通される秘密の間で、しばしお茶を頂き過ごすみなさん。
御成所の見どころや修繕のポイントを、修繕に携わった職人さんたちにもお聞きしてみました。

6月18日(日)には御成所の一般公開が行われますので
その前にチェックして、足を運んでみてくださいね♪




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霊芝寺の御成所(お成りの間)は客殿の奥にある離れで、お殿様がお墓参りをした時に休憩された間。

普段は入ることができないのですが、2017年6月4日(日)には数年前から計画されていた修繕が完成したことを記念し、地元のみなさんにお披露目されました。



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あえて豪華に作り上げず、三方を障子で囲い、障子を開けると山際に広がる庭が。

静かな山の空気の中、時間を忘れてしばし外を見つめてしまいます。



そしてお成りの間の中をぐるりと見回すと、中には9代目頼恕公がしたためた書や高松藩のお抱え絵師だった狩野永笑の襖絵が。



🚩お成りの間の見どころ:その1 襖絵

高松松平藩の最後のお抱え絵師 狩野永笑近信が幕末に描いたであろうと言われる4枚の襖絵。

色付きの豪華な花鳥図で、牡丹や鶴の親子が描かれています。

松平のお抱え絵師の作品がそれほど残っていないこともあり、この作品は非常に貴重。

ぜひ見ていただきたい箇所です。



🚩お成りの間の見どころ:その2 床の間

お成りの間の床の間はちょっと特殊。

パッと見た目では床の間が無く、4枚の襖絵を開け放すと床の間が登場。

ここに仏画などをかけていたそう。



🚩お成りの間の見どころ:その3 9代目藩主 頼恕公直筆の額

お成りの間には9代目藩主 頼恕公がご自身で書かれた「頼霊徳」の額が飾られています。

頼=松平家のものなので必ず「頼」を入れる

霊=霊芝寺

徳=徳を積んでください


と言った思いが込められているそう。




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松平さまが来られる日には、寺の馬場先の両側に地元の小学生が並び、手を振ってお出迎え。

地元のみんなでお餅をついて「お成り餅」としてお接待していたそう。

この日のお披露目会の御茶会では「お成り餅」をイメージしたきな粉と餡のお餅を「鶴屋(さぬき市長尾)」さんが復元してくださったそう。

優しい甘さ。地元の人のおもてなしの温かさが伝わるお餅だったんだろうなと思いました。



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「お成り餅」を載せる三宝や湯のみにも、葵の御紋が入っているそうで、

お茶会でも葵の印が入ったお茶碗でみなさんにお茶を出されていました。

こちらは松平公益会から修繕祝いに送られた「理兵衛焼」。



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お殿様をお迎えするのに相応しいしつらえの中、お抹茶とお菓子を頂いて…

地元の皆さんもしばしお殿様の気分を満喫されていました。







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さて、霊芝寺の御成所修繕計画は2〜3年前から始まりました。

年々老朽化は進む御成所を見て、どうせならすべてを「現状維持」できるようにと、襖絵、軸、壁、屋根などの修繕がスタートしました。


(霊芝寺修繕を担当されたMint Design 大山美代子さん)

「ご住職から『今風ではなく、昔のままに修繕してほしい』とお願いされ

 華美になることなく、かつての御成所が蘇るように職人さんにもかなり考えていただきました。

 例えば襖絵なら幕末に描かれたものなので、その時代の素材を探したり

 既成品を使わず、その時代の素材に近いものを自ら煮立てて作り上げたり

 壁に貼る和紙も、元のものと今の時代のものは水分率が違うため

 うまく馴染むように昔のものと組み合わせて仕事をしてくださいました」



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お披露目会では修繕前からの写真の展示や、実際に職人さんが使用した道具の展示が行われていて

それぞれ苦労したところなども地域の方とお話されていました。



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(屋根修繕担当 宮大工 長谷川さん)

御成所の屋根は民家に使うような「麦藁葺き屋根」で、簡素な作りになっています。

 その上にトタン貼りをしていましたが、塗装が禿げて穴が開いていました。 

 思い切って下地から貼り直し、藁を葺替えて、銅板の屋根をつけました。

 これで4〜50年は持つと思います」

 難しかったのは綺麗な屋根の線を作るために、屋根の下地をしっかり作るところですね」



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(壁修繕担当 表具店 安堵さん)

「襖紙が劣化していたので、壁を一度剥がして下地からやり直しました。

 刷毛と和紙を使うのですが、壁に凹凸があるので紙が貼りにくかったりと、そのままの状態から貼り直すのはかなり手間がかかりました」


(襖絵修繕担当 岡山の表装店さん)

「襖絵、掛け軸の破れや虫などの被害があり、絵の具が落ちかかっているのを防止するための修理を行いました。

 下地も強いものに変え、ニカワを使って絵の具の色落ちをおとし、穴は裏から塞いで補填。

 最後に全体的に補強しました」



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半年かかり修繕が完成した御成所(お成りの間)に座った職人さんたちの感想は…


「感慨深いですね」

「とても難しいオーダーだったけど、楽しい仕事だった」


と、笑顔だったそう。



(霊芝寺修繕を担当されたMint Design 大山美代子さん:写真一番左)

「建物は移動しない、地域を物語るものです。

 その土地の歴史と一緒に生きてきたものなので、どんなものなのかを中に入って体験していただきたいです」




この週末、そんな霊芝寺の「御成所」「お墓所」を拝観することができます!
どちらも普段は公開されていませんので、このチャンスに足を運んでみてくださいね!!!

  ↓  ↓  ↓  ↓

霊芝寺 お墓所、御成所(お成りの間) 一般公開

2017年6月18日(日)10:00〜16:00

※お成りの間、お墓所の撮影はご遠慮ください。


次のブログ記事では、修繕されたばかりの御成所についてご紹介します!
合わせてチェックして、一般公開に足を運んでみてくださいね♪




【霊芝寺】

場所/さぬき市末695【地図

お問合せ先/087-894-2425


posted by sanuki-asobinin at 12:00| 香川 ☁| Comment(0) | 歴史・文化財 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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