自分の住んでいる街を「面」で見て、いろんなものを計画的に配置する『都市計画』
そんな「都市計画」の見えない法則、「まち」の見えない線について体験しながら知るワークショップ
「さぬき市まちづくり市民会議 第1回ワークショップ
まちをDIYしよう!〜さぬきの見えない線の世界〜」
2019年9月16日(月・祝)に開催されました!
バスで実際にさぬき市内を走り、「見えない線」を体感。
そして都市計画と公共交通についてのワールドカフェでは
身近な街の良さや問題点を出し合うことが都市計画に繋がっているのだとわかる、興味深いワークショップでした!
平成17年3月、さぬき市「都市計画マスタープラン」が策定されました。
それから14年経ち、さぬき市の人口は減少。
学校の統合も進み、著しく街は変化してきました。
人口がますます減っていくこれからの時代に合ったまちづくりのため、
平成32年度に新しい「都市計画マスタープラン」を策定することになっていますが、
そのためにはどんな改良が必要なのか?
また、平成15年度から運行している「コミュニティバス」を今後どのように改良すれば
今のさぬき市にマッチするのか?
今年度から2年、それらをじっくり考えるための市民ワークショップが開催されることになりました。
2019年9月16日(月・祝)にはその1回目の会、
「さぬき市まちづくり市民会議 第1回ワークショップ
まちをDIYしよう!〜さぬきの見えない線の世界〜」。
が開催されました。
そのスタートはまずバスに乗って「都市計画」を体感することから。
実はさぬき市でも5町の中で「見えない線」が引かれていることをご存知ですか?
都市計画ではその「線」を引くことで、地元の農業や工業、住民の暮らしが守られています。
バスに乗るのはその「見えない線」を実際に見てみるためです。
(都市整備課 冨田さん)
「今日は普段何気なく生活している街を都市計画の視点で見てみようというバスツアーです。
例えば新しいお店ができた、これまであった公共施設がなくなった、という経験があると思いますが
それにも理由があり、都市計画を知るとその理由がわかるようになります。
すると、今後の街の作り方もわかってくる。
だからこそ皆さんに体験してもらって、皆さんの考えで街を手作り(DIY)してもらおうと思っています。」
市内周遊バスツアーでは、冨田さんの案内で「都市計画」で決められた11の区域、道路を車窓から見学。
まずは出発地点のさぬき市役所周辺から見てみます。
このエリアは「都市拠点」に設定されていて
商業、業務、行政などの街の機能を担う拠点で、土地の合理的な使い方を決めています。
市役所や公民館、個人商店、大型スーパーが点在する志度の中心部がこの箇所で、
「都市拠点」を定めると、造成工事の基準が厳しくなるのだとか。
さて、志度寺北側から埋立地の工業団地にやってきました。
ここは「用途地域」と呼ばれ、工業地域に指定されていますので、雰囲気にそぐわない学校や商店は建てられないようになっています。
そしてタダノ横の産業道路(マルナカ志度店に向かう南北の通り)に「見えない線」が!
マルハンさんの手前のこの辺りに東西の線が引かれていて、
ここからは商業店舗が点在する「近隣商業地域」との区切り線。
普段何気なく通り、買い物をしている場所ですが、ここにも都市計画の線があることに驚きました。
続いて、マルナカ志度店からさらに南へ。
すると、最近できたフジ志度店前に続く道路「津村八丁地線」にぶつかります。
実は昭和57年から計画されていた都市計画道路にあたります。
そんな「津村八丁地線」をフジ志度店方面に進み、志度中学校前で南へ入ると…
道路の右と左で全然違う住宅地域が存在することに気づきます。
西側は背の高い県営志度団地がある「第1種中高層住居専用地域」、
東側は低い住宅が立ち並ぶ「第1種低層住居専用地域」。
車窓から見ても、見える景色が全く違うことがよくわかります。
さらに志度山川線沿いを南へ進み、高松自動車道高架をくぐるとさらに地域は一変。
「農用地区域」といって、多くの土地が農業専用に指定されています。
そういえば志度山川線沿いにはぶどう畑、桃畑が多いですよね。
ところが志度山川線沿いの東側にある「オレンジタウン」は住宅地ですが、ここはどうかというと…
オレンジタウンの中でも志度地区は「用途地域」としての住居専用地域の指定があるのに比べ、
造田地区は指定がないので、一応建物の制限はない場所となっています。
そんなオレンジタウンの中を抜けると、南には多和、前山の山並みが見えます。
さぬき市南部の山は「森林地域」として指定されていて、保水、自然を維持するための場所として保護されています。
さ、ここで「志度山川線クイズ」!!
Q:志度山川線には、もう1つの「線」があります。それはなんでしょうか?
車内ではギャグ混じりの回答で盛り上がりましたが、正解は…
A:バス路線!!
「さぬき市コミュニティバスが通る線」なのです。
あまり利用している人を見たことがないという方も多いコミュニティバスですが、
実際には年間84000人が利用!
さぬき市の人口が5万人弱なので、人口よりも多くの人が年間利用しているということになります。
今後も高齢化に伴う自動車免許返納の増加を見込み、利用者も増える予想が出ています。
さて、バスツアーに戻りまして…
さぬき市長尾地区にやってきました!
ことでん長尾駅やガソリンスタンド、長尾支所のあるこの中心部エリアは「近隣拠点」という都市計画設定。
商業、福祉、生活サービスなどの近隣サービス機能を担う拠点といわれ、
スーパーなどの商業施設、行政サービス、住宅が混在しています。
長尾からは長尾街道を走り、東へ!
寒川地区に突入し、さぬき市民病院が見えてきました。
病院の近くに新しくできた「寒川庁舎」は、このエリアの「防災拠点」。
市役所を支える災害対策のバックアップ機能を備えています。
「寒川庁舎」から南へ走り、車通りの多い県道10号線へ。
実はこのエリアは「農用地区域」なんですが、「ザ・ビッグ」や「ナフコ」などの大型店舗が並ぶ様子が見えます。
なぜ商業店舗が出店できるのかというと、特別な許可を得て農地転用しているのだとか。
近年、郊外の大きい県道には郊外店が立つのが当たり前と思っていましたが、
実際には農地専用で、特別措置もあるのだとわかりました。
さらに、県道10号線沿いの「ザ・ビッグ」を拝んで、バスは北へ向かいます。
長尾街道をまたぎ、「大川出張所」へ。
大川地区のこの周辺は、長尾・寒川と同じ「近隣拠点」。
田園に囲まれつつも住宅などの建物が広く分布しているのがわかります。
そのまま「森林区域」の雨滝山を超えると、津田地区へ。
瀬戸内海が一望できる絶景!
さぬき市の観光地でもある「津田の松原」は、都市計画的にいうと「自然公園地域」にあたり
自然の保護および利用の増進を図るエリアとして指定されてます。
同様にさぬき市で「自然公園地域」に指定されているのは「大串自然公園」。
自然あふれる「みろく自然公園」は、その仲間に含まれておらず、今後どのようにするのかが課題となっているそう。
津田の街並みを抜けて、国道11号線へ出たバスは、そのまま西へ進み志度へ戻ります。
その途中のここ!!!
津田と鴨庄の境目となる羽立峠に「みえない線」が2つあります!!!
1つは「旧津田町と旧志度町の境界線」。
もう1つは「都市計画区域の線」。
実は羽立峠にある「都市計画区域の線」外にあたる「鴨部」「小田」「鴨庄」は都市計画外エリア。
基本的には何の指定もないエリアになっています(規模や内容によっては規制あり)
具体的にいうと、建築基準法の接道義務などが適用されず、自由に家を建てることができます。
さらに国道11号線、鴨部川を越えると「都市計画区域」内に入ります。
鴨部・鴨庄エリアの中でも都市計画が適応される場所とされてない場所がここでわかれるよう。
そしてそのままバスはゴールのさぬき市役所に到着。
1時間のバスツアーでしたが、1つの町の中にもいろんな用途設定がなされていることがよくわかりました。
また、駅や商業地以外の場所に住宅が増えているという現状も見え
今後の都市計画マスタープランの課題が見えてきたような気もしました。
さ、ここからがワークショップの本番!
まず、都市計画の専門的な知識を持つコンサルタント会社さんによる「都市計画」「公共交通」の基本的な講義が行われました。
さぬき市のように人口5万人程度の都市が一番多く都市計画の問題を抱えていて、
中でも1番の問題は「人口が減っているのに、街がスポンジ化していること」。
駅の周辺には空き家が増え、郊外に新築の一軒家が増えている…というのを最近よく見かけますが、
これがまさに「街のスポンジ化」。
人が街の中で分散することで、商業地や病院へのアクセスが悪くなり(生活の利便性低下)、
就労に関わる地元産業にも影響、行政サービスも低下し、
住みにくい街になってしまうという負の連鎖が予想されています。
これを解決するためには、街の魅力と問題点を出し合い、今あるもので街を作り変えるという方法。
まずはイメージを出し合うことが必要、という話がありました。
それを受けて「ワールドカフェ」がスタート!
「ワールドカフェ」は堅苦しいディスカッションとは違い、
グループのテーブルを1つのカフェに見立て、お茶しながら雑談をするようにテーブルトークを行います。
もちろんカフェメンバーも議題によってシャッフル。
そんな中、話した議題は
・「残したいさぬき市の〇〇」
・「直したいさぬき市の〇〇」
まさに街の魅力と問題点です。
さぬき市5町からまんべんなく参加者が集まっていたため、エリアの偏りもなく、幅広い意見がどんどん出ていました。
中には地元は志度だけど、今は高松に住んでいるという方もいて、外から見たさぬき市の良さなども話していました。
最終的にはこれだけのキーワードが出てきました!
「残したいもの」には、学校、市民病院、公共交通、お祭り、大串公園などの自然、閉校した学校など。
「直したいこと」には、公園、空き家、市の広報ツール、コミュニティバスなどなど。
これらを関連づけていくと、30人弱の考えが5つほどにまとまっていき
さらにここから展開できるな〜〜と思っていると…
今回のワークショップはこれにて終了!
続きは次回ワークショップにて、エリア別にこれらを当てはめて考える会となりそうです。
個人的にも「都市計画」の目でさぬき市を見るのは初めてだったので、とても勉強になるワークショップでしたが、
ワールドカフェではさぬき市5町それぞれに住む人が感じている「必要なもの」が似ていることもよくわかりました。
また、都市計画と観光とはまた違った視点があり、また共通点もあることがわかり、非常に楽しかったです!
これは次回のワークショップも楽しい会になりそう!
身近な生活をもっと楽しく、過ごしやすくするためのアイデアは、どんな人でも持っているはず。
「都市計画」だからと難しく考える必要はなく、ぜひ気軽に次回のワークショップに参加してみてくださいね!
現在参加者募集中です♪
↓ ↓
第2回まちづくり市民会議「理想的な暮らしについて検討しよう(地域別)」
地域によって2回に分けてワークショップを開催します。
希望エリアのみの参加も可能。
【さぬき市大川、寒川、長尾、多和エリア】
開催日時/2019年10月5日(土)14:00〜
開催場所/寒川庁舎
【さぬき市志度、末、鴨庄、小田、鴨部、津田エリア】
開催日時/2019年10月5日(土)18:30〜
開催場所/さぬき市役所
第3回まちづくり市民会議「理想的な暮らしに向けた具体策を検討しよう!」
開催日時/2019年10月26日(土)18:30〜
開催場所/寒川庁舎
さぬき市まちづくり市民会議 第1回ワークショップ ※終了
まちをDIYしよう〜さぬきの見えない線の世界〜
開催日時/2019年9月16日(月・祝)バスツアー12:30〜、ワークショップ14:00〜
場所/さぬき市役所本庁3階会議室
対象者/さぬき市在住の方、在勤・在学の方で18歳以上の方。
お問い合わせ、申し込み先/087-894-1113(さぬき市都市整備課)