2019年10月04日

市指定無形文化財「筒野の虎獅子」100年ぶりの新調!@大川

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10月に入り、さらに高まるさぬき市の秋祭りムード!

この週末もいくつかの神社で秋の例大祭が執り行われます。


その中でもさぬき市大川町「冨田神社」に登場する、さぬき市の指定無形文化財「筒野の虎獅子」にご注目!

なんと100年ぶりに獅子頭を新調!

先日、筒野の虎獅子保存会のもとに到着しました!!

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気になる新しいカシラの顔に注目!!!

ツヤツヤ毛並み、まるで生きているかのような目力の新虎獅子に会ってきましたよ〜〜!!!



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あまり知られてはいませんが、実は香川県は「獅子舞県」と言ってもいいほど、昔から引き継がれている獅子組の数が多い場所。

高齢化などでその数は現在800組ほどに減りましたが、それでも全国に比べると圧倒的な数なのだとか。

「獅子」と一言で言っても地域や獅子組により、カシラや油単、太鼓や鐘などの仕様、獅子に関わる天狗やキョウクチの設定が違っているのが面白く、最近では県内の獅子組を集めてのイベント「獅子舞王国さぬき」が高松市で開催されています。(今年は11月3日にサンポート高松で開催)



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そんな中でも注目されているのが、ひときわ珍しい虎頭の獅子「虎獅子」です。

香川県の東エリアでは、

・さぬき市大川町冨田「筒野の虎獅子」

・東かがわ市白鳥「東かがわ市白鳥虎頭舞保存会」

の2つの虎獅子が現在も活動中。


どちらも同じ虎頭ですが、違いがあるのでぜひ見比べて欲しいものです♪



我らがさぬき市の指定無形文化財にもなっている「筒野の虎獅子」

大川町冨田の筒野自治会と筒野通り自治会の2つが所持していて、

その歴史はなんと170年!


つい最近、兼ねてからやりたかった獅子頭の新調ができた!と聞いて、早速保存会の拠点に行ってきました!


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9月末の日曜日。

「かなたまキッチン」近くにある大川町富田西、筒野通りの自治会館にやってきました。

ここで毎年「筒野の虎獅子」の稽古が行われています。



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この日は保存会で新調した虎獅子を氏神様に奉納する神事を執り行ったそう。

みなさんもこの日初めて新しい虎獅子を見ることができたのだとか!

会長も「綺麗なカシラができたな」と嬉しそう♪



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大事に大事に、部屋の奥に置かれていた新・虎獅子を見せてもらいました!!

ワクワク!!!


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ジャーン!!!!

こちらが「新・筒野の虎獅子」!!!!


まるで生きているようにツヤツヤ!!

毛並みも色濃くフサフサ、目の前をものを確実に捉える鋭い目は血走っています!



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(写真左:これまでの獅子頭、写真右:今年新調した獅子頭)

これまでのカシラと並べてみましたが、やはり毛並みの違いが明らか。

頑張ってきたカシラは抜け毛の跡もあり、削れている箇所も。


人間と同じですが、つかうほど白目の部分がグレーっぽくなっているのもわかります。

しっかりと動いた跡はカシラにこうやって残るのですね〜!



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この日初めて新しい獅子頭を神社でつかった保存会のみなさんは、

「奉納舞の時に前髪がフワッとなびくんです。そこがカッコよくて!!」

と新しいカシラの美しさに感動したそう。


また、以前より少し重くなったようで、つかっている人も

「以前よりも重みを感じ、さらにまだ動きが固いので、何度も練習して馴染ませなければ」

と言われていました。



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170年前より受け継がれている「筒野の虎獅子」も獅子頭はこれで3代目。

2代目は100年もの間、この土地を見守ってきました。


疲弊する2代目カシラを眺めながら、保存会ではずっと新しいカシラを作りたいと思っていたそう。

そんな折、3年前に良い職人さんとの出会いがあり、再現は無理といわれていた虎獅子の新調がスタート!


秋祭りの日のみ地元に戻してもらい、それ以外は職人さんの元へ預けっぱなしだったという2年間を経て、

待望の新虎獅子が誕生しました!



(さぬき市筒野虎獅子保存会 総括部長 松家さん)

「職人さんの元に何度も通い、獅子頭が出来上がる様子を見ていたんですが、

 彫った木枠を作り、骨董屋から集めた江戸時代に使っていた帳簿(和紙)を貼っていくんです。

 出来上がったものを見て、想像を超えた仕上がりに驚きました。

 本当にいいものを作ってくださったなと思います。」



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今回、獅子頭にあわせて法被や虎柄の履物、油単(ゆたん/獅子の布)も新しいものにチェンジ!

油単これまでと比べると布が厚くなったため、獅子の後ろに入る人は「獅子が重くなってる〜〜」と言っていたそう。



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虎との駆け引きを行う子供の「和唐内」役が持つ日本刀も新調!

刀の柄や鞘やを分解し、京都から素材を取り寄せて、一から新しいものに組み立て直したというこの方!

凄すぎます!



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刀に巻く紐も新しいものに変わりました〜♪

子ども達も新しい気持ちで虎に挑めますね♪


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さあ、新しいカシラとともに、そのストーリーにも注目しながら楽しんでもらいたい虎獅子。

基本的には近松門左衛門の歌舞伎「国性爺合戦」がモチーフとなっています。


筒野ではもともと血の気の多い若者たちのはけ口に虎獅子演舞を行っていたため、虎は激しく荒れ狂う様子。

襲われそうになったり、食われそうになったりしつつも、

その動きをピタリと一本の扇子で捉える子ども演じる「和唐内(わとうない)」との温度差がたまりません。





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和唐内は「筒野虎獅子保存会」の小学校低学年にあたる男の子が演じるのが定番。

今年の「和唐内」を演じる男子の一人、斉藤むろくん(写真真ん中)は役のために学校に許可をもらって髪を伸ばしているのだそう。

むろくんを取り囲むお兄ちゃんたちは、かつての「和唐内」。

練習の時には自分が実際に演じて見せて、下の代に教えて行くのだとか。


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ちなみに「遊びの達人」が最初に「筒野の虎獅子」を取材した2012年に「和唐内」を演じていた男子も…


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今では立派なお兄ちゃんに!(写真左)

いまだに「和唐内」の決め台詞をバシっといえるのに驚きましたー!!


筒野では中学生、高校生になって部活をやっていても、祭りになると獅子に戻ってくる子が多く、

彼もお父さん(写真真ん中)と一緒に毎年参加をしているそう。

お父さんはお祭りになると美味しい鍋料理を保存会のみなさんに作っている「筒野の虎獅子シェフ」として活躍中!!


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この日もシェフ恒例「筒野のおでん」で奉納舞の疲れを労います。

味がしみしみ、美味しくて優しいおでんでした〜!



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歴史が長いだけじゃない、世代の繋がりや獅子への愛情があるからこそ続いて行く「さぬき市筒野虎獅子保存会」。

この秋は新しい虎獅子と保存会のみなさんに会いに、お祭りに足を運んでみてくださいね!


さぬき市「筒野虎獅子保存会」の演舞は以下の神社の秋祭りで見ることができます。

10月5日(土)、6日(日)富田神社 【地図】

10月12日(土)、13日(日)産宮神社【地図】

11月3日(日)「獅子舞王国さぬき」@サンポート高松(未定)





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posted by sanuki-asobinin at 14:09| 香川 ☀| Comment(0) | 歴史・文化財 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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