「遊びの達人ブログ」の取材で走り回った2019年。
いろんな場所で達人にお会いし、様々な体験をさせてもらいましたが、
2020年以降に期待できる試みとして興味深かったのは
「インバウンド向けさぬき市体験ツアー」!!
桃農園でのフルーツピッキングに、地元産の畜産&農産物を使った押し抜き寿司作り。
日本人の私にとってもなかなか濃厚な体験!!!
ヒアリングをしながらわかる、国別の観光スタイルも発見できるツアーでしたよ〜!
そんな体験ツアーの中身をたっぷりレポートします!
今年10月、観光庁が発表した2019年10月のインバウンド宿泊者数(外国人の延べ宿泊者数)は前年同月に比べて8.8%増の897万泊。
調査開始以来の過去最高を更新したそうですが、注目したいのは都道府県別のインバウンド宿泊者数の伸び率。
47都道府県のうちトップだったのは、なんと我が「香川県」!
前年同月比73.6%増の91200泊をマークしたそう!!
今年は「瀬戸内国際芸術祭」開催年だったことに加え、アジアへの航路就航が増加して、様々な国から観光に訪れる人が増えたと言われています。
これから伸びて行くと思われるインバウンド対象エリアといえば、やはり中国や香港、台湾などの「アジア」。
そこでさぬき市でも、それらの国の観光客を迎えるためのプランを考え始めています。
2019年9月には、「インバウンド向けさぬき市体験ツアー」の下見が行われました。
今回のメインは「フルーツピッキング&地元の食体験」。
まずはさぬき市造田にある桃農園「飯田農園」さんへやってきました!
「飯田農園」さんでは、20種以上のすもも・ももを栽培し、完熟したものを農園近くの直売所で販売できるようにしています。
お客さんから「自分で桃をもぎ取ってみたい」という声を受け、数年前から農園体験用の農地を借りて準備を始めていました。
まずはその桃農園へ案内していただきました。
ツアーの時期は桃の終盤。
桃の木もすでに実はなく葉だけの状態になっていました。
この農地では3年前に10品種の桃の木を合計16本植えて育て始めた場所ですが、今年からいい感じに実が実るようになってきたのだとか。
「1本に何個くらいとれるの?」
「どうやったらうまくもぎれる?」
といった質問も参加者から出てきて、収穫体験への期待が見えます!
このツアーに参加された香港出身の方は…
「桃は日本独特のフルーツで、台湾では育たないから珍しさで観光客が来てくれると思います。
中国の方も出身地によるけど、品種は日本の桃の方が柔らかくて美味しいので興味はあるはず。
向こうでも桃は縁起が良く、枝を追って魔除けとして玄関に飾ったり、タネを漢方で使ったりします。
日本産の桃はブランド化しているので、ここに来ればたくさん買って帰って、ホテルでも食べるし、お土産にも持って帰ると思います。」
日本に住んでいるとわからない、日本の桃の価値。
そして中国、台湾、香港の人が日本人以上にフルーツが好きだということにびっくり!
実際に中国の方の団体バスの中では、旅行先で買ったフルーツをすぐに開けておやつ代わりに食べることも多いのだとか。
実際に体験以外の農園にも足を運び、この時期に実る「黄金桃」の木も見せてもらいました。
覆っていた紙を引き裂くほどたわわに実った桃たち。
両手で持ってもずっしりと重みを感じるほど!
これには日本人の参加者にも笑顔が〜〜(とってもいい香り♪)
「1個とってみていいよ」
と飯田さんが言ってくださり、みんなで収穫体験をしてみましたが、
どれが熟しているのかがわからず、悩みながらのもぎり体験。
しかも手に力を入れすぎると、果肉に茶色いあざができると聞いて緊張〜〜!
やはり体験には達人の同伴が必須ですね!
さらに桃のシーズンはシチュエーションにいろいろ課題あり、と飯田さん。
(飯田農園 飯田さん)
「ぜひピッキング体験をしてもらいたいのだけど、桃の実がなる時期は農園も繁忙期。
そんな中でもニーズがあれば、どうにか時間を作って体験をやってみたいと思っています。
ただ、桃の収穫期は35度を超える真夏日が多く、この場所で体験をするのは長時間は厳しい。
どんな風にすればいいか、みなさんの意見が欲しいですね。」
冷やして食べて欲しいという気持ちもあるだけに、屋外でそのままガブリは申し訳ないという気持ちが飯田さんにはあるよう…
「ならば農園見学は短めにして、直売所で試食をしてみたら?」と、直売所へレッツゴー!
この日、直売所には先ほど農園でもぎとった旬の「黄金桃」がずらり。
建物の中がとてもいい香りに包まれています。
さらに直売所で帰る「桃アイス」もいただきました。
外はまだ残暑厳しく、農園を歩いて火照った体がひんやりと癒されます〜!
この日、具体的な体験内容を決めるまでには至りませんでしたが、
「せっかく農園に来たら人が収穫したものではなく、自分の手でもぎとったものをその場ですぐ食べたい!」という意見を聞いて、
フルーツピッキングのニーズの高さを感じました。
余談ですが「桃は食べる直前に少し冷やして食べると美味しい」と飯田さんはおすすめしますが、
アジア圏のみなさんはフルーツを冷やして食べるというこだわりはないのだそう。
フルーツの食べ方一つとっても、国が違えば全然変わるのだな〜と発見がありました!
さて「飯田農園」を後にして、続いてやって来たのは大川町の「みろく自然公園」。
四季折々の花を楽しみながら散歩ができる広い深林公園ですが、その中心部にある「みろく荘」へ。
リニューアルしたばかりの建物の中に最近できた「キッチンスタジオ」が目的地。
ここで2つめのプログラム「地元食材の押し抜き寿司ワークショップ」が行われます。
講師は新しい食文化『瀬戸内海食』をベースに食に関するプロダクトを進めている女性3人組の「瀬戸内食ラボ」さん。
『瀬戸内海食』とは、健康食で世界無形文化遺産にも登録されている「地中海食」と「和食」に、瀬戸内海ならではの郷土食文化をプラスした瀬戸内海沿岸の食のこと。
その一例として彼女たちが提唱し、ワークショップとしてたくさんの方に体験してもらっているのが「さぬきOSHINUKI寿司」です。
これは香川県の郷土料理「押し抜き寿司」を、新しい食材である希少糖や地元の野菜果物、オリーブオイルで仕上げて作るもの。
その内容をまずは紙芝居で教えてくれますが、これがまたわかりやすい〜〜!
飛び出すページもあり、お子さんがいても楽しめそう!
ちなみにお寿司を押して抜くのも香川の技を使用。
「大井建具店」さんにオーダーし、作ってもらったオリジナルの寿司木型を使います。
香川県のヒノキを使って手作りされた木型は、それだけを見ても美しい。。。
そして「さぬきOSHINUKI寿司」の面白さはまだまだあります!
それがビジュアルのよさ。
本来の「押し抜き寿司」ではお魚などを使ったシンプルな見た目のものが多いですが、
「瀬戸内食ラボ」さんが作るのは、果物をふんだんに使い、オリーブオイルやスパイスも多様したスタイル。
まるでショートケーキのような仕上がりに、無くしかけていた女子心が蘇ります!
それでは普段の料理経験など気にせぬまま、みんなで「さぬきOSHINUKI寿司」づくりスタート!
この日用意してくださった食材プレートだけでもかなりオシャレな雰囲気!
アスパラ、絹さや、人参、トマトなどの野菜に、ぶどう、いちじくなどの果物。
カリカリっとした食感がたまらない甘い品種の太秋柿や、先ほど「飯田農園」さんでいただいた黄金桃もあります。
畜産系だと薄焼き卵にオリーブ豚で作るそぼろ、贅沢にオリーブ牛も!!
これをどう組み合わせるかが迷う〜〜〜!
「フルーツとチーズ、ナッツをご飯に混ぜても美味しいですよ」
とアドバイスをいただき、私は希少糖入りのすし飯に刻みナッツといちじく、クリームチーズを混ぜてみました。
これはどんな味になるかドキドキ!
他の参加者さんのOSHINUKI寿司も面白い!!
これはみなさんの見えざる個性が表れて楽しい〜〜!
最後に「さぬきOSHINUKI寿司」の記念撮影も!
まるでパーティのようです♪
食べる時にはオリーブオイルをかけていただくのがポイント。
あっさりとした味わいのお寿司も、オイルをかけることでぐっとコクが深くなり、体にも良しで一石二鳥♪
日本人の参加者も思いっきり楽しんでしまった「OSHINUKI寿司」でしたが、
香港からの参加者さんの感想は??
「OSHINUKI寿司を作るのは始めて!
とても斬新で面白かったです。香港にもこんなグルメはないですね。
農園の体験もそうですが、とても新鮮な体験ができてよかったです。
今度はツアーじゃなくて個人旅行でレンタカーを借りて廻ってみたいですね。
看板があれば個人だとすぐに立ち寄れるので、道なりの看板を置いてもらえると嬉しいなと思います。」
ただ体験するだけでも、生まれ育った場所が違うと感じるものも違うし、観光のスタイルも変わる。
インバウンド向けの体験ツアーを通して、そう感じました。
これからさぬき市でも、団体向け、個人向けのインバウンド対応観光メニューが増えてくると思いますが、
ここでしかできないライブな体験をガイドしてくれる達人はたくさんいるので
一つからでも実現するといいなと思うのでした。
インバウンド向けの旅行ガイドページ
・さぬき市観光協会(英語対応あり)
・「うどん県旅ネット」
インバウンド向けパンフレット、モデルコース(英語、繁体字、簡体字、韓国語、フランス語、タイ語)