2020年5月3日(日)、
さぬき市造田の造田神社で
「釜鳴神事(かまなりしんじ)」が執り行われました。
釜にくべた蒸篭の音で今年の豊作を占う神事ですが
今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で縮小規模になり、
疫病退散祈願も同時に行われました。
そして気になる今年の御託宣は「末吉」!
どんな意味が込められているのか、
詳しくご紹介します!
さぬき市造田、鴨部川の北側に位置する造田神社は創祀886年の神社。
山城国、現在の京都府にある岩清水八幡宮の祭神を分霊して
『造田大明神』と尊んで信仰したのが始まりなのだそうです。
こちらでは豊穣を祈願する「春季祭」の5月3日に、
「釜鳴神事(かまなりしんじ)」という今年の豊作を占う神事が執り行われています。
造田神社で「釜鳴神事」が始まったのは947年。
当時、別の場所にあった神社を現在の場所に移す時に
良い場所を釜鳴によって占ったのが始まりだと伝えられています。
造田神社には本殿の左隣に「釜鳴神事」のための釜が。
3つ並んだ釜の真ん中は神饌(神様のごはん)を炊く御釜で、
両端の2つが鳴釜として神事に使用されてきましたが、
現在では3つとも鳴釜として使用しています。
今年の神事は新型コロナウイルス感染拡大の影響を懸念し、
神事は執り行うものの、来賓の訪問を控え、
地元小学生の浦安の舞も無い形で進められました。
使用する鳴釜も古来方式で両端の2つのみを使用します。
枯松葉を炊いてお湯を炊いた釜からは湯気が立ち上る様子が伺えます。
神事ではまずお祓いと祝詞をあげますが、祝詞の中には
「新型コロナウイルスという悪しき病が早く退散するように」
という文言が含まれていました。
釜鳴の前に釜の湯に浸した竹葉で参列者を清めます。
そして釜に縦長の甑をゆっくりと置き、
中に洗米を振り入れます。
蓋をすこしずらして置き、しばらくすると…
ブオオーーーン…
という低く響く音が釜から聞こえてきます。
そのうち音は「ブォンブォンブォン…」と小刻みに震えるように連打するようにも。
このように御釜が鳴るかどうかで豊作を占いますが、
音がない時は大神の納受がなく凶事とされています。
今年も無事、釜がなりましたので、豊作を期待できそうです!
さて、神事が滞りなく終わり、気になるのは今年の「御託宣」。
「令和2年の御託宣は『末吉』と出ました。
ひきしおの 引くはみちくるあしたあり
心しずかに ときをまつべし。
今は新型コロナウイルスの影響もあり、人知らぬ胸の苦しみがありますが、
こんな時こそ騒がず信心し、その時が来るのを待つこと。
身を謹んで行いを正しくすれば、必ず幸いを得る時が来ます。」
まさに苦しい今の状況を汲んだ御託宣。
未来を心待ちにしながら、自分ができることを静かに遂行すべきなのだなと感じました。
最後は鳴釜で炊き上げられたお米「御炊米(みかしぎまい)」をいただきました。
これを炊飯時にお米に混ぜ込み炊くことで無病息災、疫病開運のご利益が。
ありがたい頂き物です。
ゴールデンウィーク中はさぬき市でも多くのエリアで田植えが行われていますが、
その苗の1本1本に明るい季節への期待が込められています。
釜鳴の占いのままに、秋には多くの笑顔が広がりますように。