シャインマスカットにピオーネ、さぬきワインになるデラウェア…
香川で最初にぶどう栽培が始まった場所 さぬき市志度では
ぶどうの出荷がピークを迎えています。
そんな中、就農して2年目の
「26farm(にーろくふぁーむ)」さんからも
今年のシャインマスカットの出荷がスタート!
代表の津村克侍さんはアパレル業界からの転身で
地元志度にUターンして就農されたと聞いてびっくり!
その胸には地元の産業を残したいという強い想いがありました。
たわわに実るシャインマスカットの下で、
「26farm」津村さんのお話をお聞きしてきましたよ〜!
さぬき市志度の天野峠の南側にある
「26farm(にーろくふぁーむ)」津村さんのぶどう畑にやってきました。
徳島文理大学や五剣山を望む山の斜面に広がるぶどうたち。
商業地に近い場所にこれだけの広大な畑があることに驚かされます。
津村さんが担当しているのは、
一番急な斜面に沿って広がる路地栽培のシャインマスカットたち。
畑の中は日差しが差し込んでとても明るく、樹も実もどっしり。
土はふかふかに手入れされています。
実はここ、志度のぶどうの達人 久保さんご夫妻の農園の一角。
久保さんが高齢になられて手入れが難しくなってきた部分を
引き継いでくれる人を探しているときに、
津村さんと出会ってこの場所を託されたのだそう。
出荷ピークのお盆時期でしたが、
シャインたちはまだまだ袋がけのまま甘さが上がるのを待っている状態でした。
屋根のみビニールを張った路地栽培は、自然の影響が大きく
病気のおそれやお手入れの大変さもあるそう。
栄養が実に行き渡るように必要な葉をどう残すかが難しい、と
津村さんは作り方の難しさをお話ししてくださいました。
津村さんの苦労のおかげか、
ぶどうたちはとても気持ち良さそうにぶら下がっていて、
どっしりとした面持ちで収穫されるのを待っている様子。
そこで、
「甘さを測ってみましょう!」
と津村さんが1粒もぎ取って、糖度系で測ってくれました!
糖度って果肉から果汁を絞って測るのですねー!!
初めて見てワクワク♪
テッテレー!
18度〜〜!!
スイカが11度〜13度、いちごが13度〜15度くらいなので、
果物としては十分あま〜〜い!
18度を超えればシャインマスカットも出荷できるのですが、
津村さんは「糖度20度まで上げたい!」とまだまだ様子見。
(「26farm」津村克侍さん)
「糖度が高く出ても、誰かに食べてもらうまでは不安でたまりません。
出すからには美味しくなってから届けたいですし、喜んでもらいたいです。
こうやって物を作って販売して、感謝を直接自分に伝えてもらえる。
『農業』って、とてもいい仕事だなと思います。」
アパレル業界から農業へ。市外から地元へ。
(写真:「26farm」津村さん)
津村さんは志度出身の41歳。
2年前に初めて『農業』をスタートした新規就農者で、
もともと家がぶどう農家をやっていたというわけでもありません。
志度出身ですが、しばらく地元を離れてアパレル業界で働き、
転職を機に地元にUターンされました。
(「26farm」津村克侍さん)
「もともと洋服が好きで、県外や高松で10年以上アパレルの仕事をやっていました。
その時から農業をやってみたい、という気持ちはありましたし
もうすぐ40歳を迎える自分の今後を考えた時に
『なにか地元で役に立つことをしたい』と思い始めたんです。
地元で農業といえば、自分の生まれた志度にはぶどうがある、と!
しかもあちこちのぶどう農家さんが高齢で畑を離れていると聞いて、
それを自分が引き継いでいくのはどうかなと思ったんです。」
動きはじめたのはいまから3年前。
転職と同時にさぬき市への移住(Uターン)も考えていたため
背中を押してくれた奥さんと一緒に志度のぶどう農園さんを巡ったり、
さぬき市役所の移住担当者と空き物件を見学したりとバタバタ。
(写真:津村さんが栽培相談をされた志度のぶどう農家「長谷ぶどう園」の長谷さん)
農園では毎年収穫を行なっていた木の引き継ぎをさせてもらえる場所と
栽培指導をしてくれる農家さんを探していたそう。
その様子がわかるブログはこちら!→源内の改革プロジェクト「ブドウ農家をめざす移住希望者から」
そしてちょうどぶどうを引き継いで育てる人を探していたという久保さんの農園を紹介され、
お話をして今の場所がすぐに決まったのだそう!
(「26farm」津村克侍さん)
「久保さんが『このシャインマスカットは切ろうと思ってた』
と言っていたのですが、僕が育てることになって木を残してくれて。
機械も借していただき、栽培のことも教えてもらえ、
ここでやらせてもらえることが本当にありがたい。
いいご縁に恵まれているなと思います。」
また、アパレルでできあがった服を販売するのも好きだったけれど、
いつか自分で作ったものを自分の手で販売したいと思っていたという津村さん。
就農したことで自分の経験を広げられ、
自分らしく生きることができる農業のよさと
農業を長年されてきた方の大変さを深く感じているようです。
取材をしていると、農園の持ち主である久保さんの奥さんが見にきてくれました。
(久保さん)
「綺麗に袋包んどるのお。
丁寧やけん、はよ甘くなっとるなあ。」
久保さんに育てているぶどうを見られて
津村さんは少し緊張気味に見えましたが、
一緒に育てる人ができ、
農園が元気な様子を見て久保さんはとっても嬉しそう。
津村さんがぶどう農家になったことで
生きているぶどうの木が放置されていく現状を減らすことだけでなく、
高齢になってきた農業者たちの活力にもなっているのだなと感じました。
さぬきワイナリー用のぶどうを再生し、地元の活力に。
(写真:さぬきワインになる「香大農R-1」)
津村さんは現在、3つのぶどう農園を借りているそう。
そのうち2つは、さぬきワインの原料になる「ベリーA」「香大農R-1」の畑。
育てていた人が3年前に亡くなられ
ご家族の方も仕事をされているので
引き継ぐことができず放置されていたのだそう。
こういった問題がぶどう農家さんの中で今とても増えているのが現状なのです。
(「26farm」津村克侍さん)
「実はもともとさぬきワイン用のぶどうだけを栽培したいと思っていました。
数年前にさぬき市の今後を考えるシンポジウムに参加させてもらったとき、
このままでは地元がなくなってしまう、やばいな、と感じたんです。
今から自分ができる、地元に役立つことはないかと考え始めて…
地元でワイン用のぶどうを作り続けていく人として
地元の産業であるさぬきワインをフォローできないかなと思いました。
大串半島というとても綺麗な場所にさぬきワイナリーがあるので
今後も多くの人が訪れる息の長い施設であってほしいなと思っています。」
平成元年にできた「さぬきワイナリー」は、
香川県のぶどう栽培発祥の地と言われた志度という場所を選んで建てられた施設。
全国的には珍しい、地元栽培のぶどうのみでワインを製造するワイナリーです。
今年も志度を含む香川県産のぶどうでのワイン作りが始まりましたが、
その中に津村さんのぶどうも含まれます。
地元の産業・特産品でもある「さぬきワイン」は、作り手と情熱無くしては出来上がらないもの。
農家さんの高齢化による原料ぶどうの激減という課題が間近に迫っていますが、
津村さんのような方が1人でもいらっしゃることで
携わる人たちの活力につながるのではないかと期待が膨らみます。
今後は収穫やぶどうの樹を植える体験を一般の方にむけてやってみたいと津村さん。
この試みから、第2、第3の津村さんが生まれ、
さぬき市志度のぶどう愛が受け継がれていく未来を見てみたいなと思いました!
「26farm」のぶどうはここで買えます
(写真:「八百屋ひとみ&デリカキッチン」さん)
「26farm」津村さんが作るシャインマスカットはちょうど今が出荷のピーク。
この記事を読んで、食べてみたい!と思った方は、
ぜひ以下の場所でゲットして味わってみてくださいね。
その他、県内の飲食店などでシャインマスカットを使ったデザートなどが提供されています。
詳しくは「26farm」のInstagramをチェック!→こちら
ちなみに「26farm(にーろくふぁーむ)」の名前には、
「26」=紡ぐ、摘む、津村さんの「つむ」といった意味も込められているそうですよ♪