2020年8月、さぬき市津田町に
1日1組限定の1棟貸しゲストハウス
「まち宿AETE(アエテ)」が誕生しました。
ゲストハウスを立ち上げたのは津田町出身の大学4年生 黒川慎一朗さん(写真右)。
関西から遊びに来る人にとっては直島や父母ヶ浜への経由地となる津田町。
その田んぼの真ん中に建つゲストハウスに「あえて、泊まる」。
そんなゲストハウス「まち宿AETE」の良さをお聞きしてきました!
さぬき市の中でも観光客が一番多く訪れるスポット「津田の松原(琴林公園)」。
国道からほど近い場所に並ぶ3000本の松とその向こうに広がる長い白砂の砂浜を楽しみに
地元だけではなく関西からも多くの人が訪れます。
そんな松原を背に、南に見える山に向かって歩くこと15分。
国道もJRの線路も超えて住宅街の中を進み、見えてきた山の麓に白壁の立派なお家を発見。
ここが今年8月にオープンしたばかりの1日1組限定・1棟貸しゲストハウス
「まち宿AETE(アエテ)」です。
長いエントランスには整えられた季節のお花と植木たち。
「まち宿AETE」の看板を探すものの見当たらず…
「だれかのお宅だったらどうしよう…」
と不安になりつつ、ピンポーン!
すると、「まち宿AETE」の黒川慎一朗さん(写真右)と香川弘樹さん(写真左)が出迎えてくださいました!
場所、あってました〜(ほっ)。
「まち宿AETE」は、黒川さんの祖父母が住まれている住宅の離れ部分(住宅の左部分)をリノベーションしたゲストハウス。
こちらのエントランスは母屋用の玄関。
ではゲストハウスの入り口はというと…
なんとなんと、地下に潜って向かいます!!
秘密基地に入って行くみたいでワクワク!
玄関前からコンクリートの階段を降りるとそこには広い地下広場が。
外は35度を越す灼熱日。
なのに地下はとっても涼しい〜〜!
(「まち宿AETE」黒川さん)
「母屋はここがもともと1階だったんですが、頑張って2階の高さにまるごと家を持ち上げてしまったんです。
その時にできたこの地下スペースで宿泊された方はバーベキューもできるんですよ(道具の貸し出しは有料)。
雨が降っても安心して楽しめます!」
黒川さん自身も小学生の頃は自宅ではなく祖父母のいるこの家に帰宅して遊び、
大人になっても友人たちとここでバーベキューをするのだそう。
思い出の場所がゲストハウスの一部になっていました。
そして、気になるゲストハウスの中も見せてもらいましょう!!
地下スペースになんと扉が…!!!
ここが「まち宿AETE」の玄関です。
鍵を開けて中に入ると、、、
いきなり階段〜〜〜!
忍者屋敷みたい〜〜〜!
昭和の民家の階段を思わせるこの雰囲気。
宿泊された外国人のお子さんたちは日本らしいこの空間をとっても気に入ってくれたのだそう。
階段を上がった2階フロアには3つの寝室とキッチンスペース・トイレがあります。(お風呂は別の場所にあります)
このフロアを最大8名まで、
1日1組限定(食事なし)で貸し出しています。
3つのお部屋にはそれぞれ「松の間」「海の間」「竹の間」という名前がついているということで、
それぞれ見せてもらいました!
こちらは「海の間」。
津田の海側に面したお部屋で絨毯のフロアで、
木製の「畳ベッド(シングル)」が3台置いてある3名用の寝室。
ふんわり香る畳の匂いで心も落ち着きます。
「畳ベッド」は黒川さんと2級建築士の資格を持つお祖父さんの手作り。
『絨毯の部屋だけど、和の寛ぎを入れたいので和のベッドが欲しい』と
黒川さん自らデザイン・設計して木材を購入し、
お祖父さんと一緒に組み立てたというのにびっくり!
よくよく話をお聞きしてみると、黒川さんのお祖父さんは趣味で建築士の資格を取られ、
この家も設計・増築されたという建築・リフォームの達人なのだとか!
ベッドは思わずごろんと昼寝したくなる優しい造りで、腰掛けやすい高さ。
窓からは山並みと田んぼの景色が見えて、時を忘れてぼーっと眺め続けてしまいます。
その心地よさからか、みんなが自然にこの部屋に集まり、
ベッドに座って話しを弾ませるリビングルームになってしまうのだそう。
また、部屋の隅にある重厚感のある箪笥は、黒川さんのお祖母さんの嫁入り道具。
あえて古いものを残しておき、これから梯子をつけて2段ベッドにリフォームするとのこと。
ちょっとした隠れ家っぽくなって子どもたちが喜びそう!!
続いて「海の間」に隣あっている「竹の間」。
ここは2名用の寝室(敷布団セット)として使えます。
畳に床の間があり、完全に和スタイル。
お部屋の設えも竹柄の襖に竹灯りと名前の通りの「竹」づくし。
最後に「松の間」。
畳敷きの和室で3名様の寝室(敷布団セット)です。
鍵をかけられるので、男女混合で宿泊するときもプライベートスペースとしても使用できます。
もともとフローリングだったお部屋ですが、寛げるようにと畳マットが。
もちろん黒川さんのお手製です!
エアコン、Wi-Fiも完備。
レジャーの宿としてはもちろん、お仕事(ワーケーション)にも使えます。
フロア真ん中にはキッチン(流し台)が。
消毒用アルコールや手洗いソープは準備してくれています。
冷蔵庫はないのでご注意を。
お手洗いも3部屋からすぐの場所にあり、こちらも窓からの景色がのどか〜〜。
とっても落ち着く空間です♪
周辺レジャー施設やさぬき市の観光案内パンフレットもありました!
地元情報はここでチェックを。
そしてお風呂は母屋の地階にゲストハウス用のものがありますのでそれを利用可能。
階段を降りて一度地下スペースへ。
お風呂場の扉を開けるとすぐ脱衣所があり、その奥が上のようなバスルームになっています。
海で遊ぶ人には津田の松原海水浴場前にある「クアパークさぬき津田」さんの立ち寄り湯も紹介しているそう。
(写真:AETEから徒歩15分・車で3分の場所にある「カフェゆるりと。」のランチ)
そして大切な食事。
「まち宿AETE」は食事なしの宿泊プランのみ。
近場のうどん店や飲食店、スーパーの情報が気になったときは、
隣の母屋に待機している黒川さんとチャットでやり取りするのがオススメ。
質問すると直ぐに応えてくれて、お店まで連れて行ってくれることも。
地元出身の方がオーナーなので、地元ならではの情報が聞けるのが嬉しいところです。
(写真:AETEから徒歩10分・車で3分の場所にあるうどん店「松乃家」さん。てぼを使って自分でうどんを温める。)
(「まち宿AETE」黒川さん)
「この近所だとお食事なら『みち潮』さんや『カフェゆるりと。』さん。
うどんなら最近なかなか体験できないてぼを振ることができる『松乃家』さんをご紹介しています。」
てぼ体験はみんなとても喜んでくれるんですよ!」
困った時にすぐ駆けつけてくれるオーナーの距離感はありがたいものの
母屋が近いので騒音などで迷惑をかけないかな?という心配も。
「離れとはいえ、物理的に離れているので夜の音なども気にせずに過ごしてください」とのこと。
ゲストハウス周りも山と田んぼなので、お子さん連れの方でも安心です。
「まち宿AETE」は8月にオープンしてまだ1ヶ月ですが、
すでに県内外から家族連れや学生・社会人の友人同士、
日本に住むイギリス人のご家族などが利用されている様子。
「1棟貸しの宿泊なら人に合わなくてもいい」
「非日常的な自然に囲まれた場所で過ごせる」
と、コロナ禍の旅の不安を解消してくれる場所として選ばれているようです。
また、驚いたのはこの場所を拠点に直島に行く人が多いということ。
関西方面から来る人にとっては、津田は経由地であり帰り道。
直島で遊んだ後に津田まで戻って宿泊することで、
ゆったりと次の日に帰路につけるのです。
高松などの市街地や観光地ではなく、
「あえて」津田に泊まる。
そんな選択肢もここならアリ、と感じました。
コロナ禍に生まれた「AETE」が
『あえて、ここに泊まって』という理由。
新型コロナウイルスの影響を大きく受けてゲストハウス業界も変化の時を迎えています。
「まち宿AETE」はこんな時だからこそ、生まれた場所。
オーナーの黒川さんは大阪大学工学部建築学科の4年生。
現役の大学生ということで、本来ならば今頃は大阪で大学に通いつつ将来のことを考えている時期のはずですが…
(「まち宿AETE」黒川さん)
「今年の3月半ばに津田に帰省した時、ちょうど大阪で新型コロナウイルスのクラスターが発生して帰れなくなってしまったんです。
大学もオンライン授業になり、自分自身も単位の修得は終わってゼミのみの課題しか残っていなかったので時間がたくさんできました。
そんな時に『ここでゲストハウスができそう』と思っていたことを思い出し、このチャンスに始めてみることにしたんです。」
思いたったが吉日、すぐに書類関係の手続きや掃除をスタート。
ホームセンターで素材を揃えて、祖父とともに足りない椅子やベッドを手作りする日々が続き、離れのリノベーションがどんどん進行。
黒川さん自身がされている大学生同士の地域活性化フィールドワークで
宮崎や西粟倉村などの民泊に泊まったことも
ここでのゲストハウスの形を決めるのに参考になったそう。
(「まち宿AETE」黒川さん)
「Airbnbに登録するゲストハウスも本当に増えてきましたが、
1棟貸しが80%くらいを占めて来たのではないかと思います。
AETEも15名は宿泊できるのですが、
10名以上になると地域の人も不安になるかなと思ったのと
宿泊した人がゆとりを持てるように定員8名の1棟貸しにしようと決めました。
そして実際にオープンしてみると、
地域の人と繋がって一緒にいろいろやることができる環境になったと感じています。
なのでここでは食事をあえて出さず、
どんどん地元のお店に足を運んでもらいたいと思っています。」
また、人と人の縁で繋がった同じ大学4年生の仲間にも出会い、
今ではInstagramでの発信を手伝ってもらっているのだそう。
(「まち宿ARTE」Instagram担当 香川弘樹さん)
「僕は津田ではなくまんのう町出身なんですが、自然やアウトドアが好きで。
写真を撮るのも好きだったのでInstagramを個人でもやっていました。
そんなときにAETEを立ち上げるという黒川さんに出会い、AETEのInstagram担当をさせてもらうことになりました。
毎日なにかしら津田のことを発信しようと思って海に行っていますが、
毎日違った景色が見られるのもここの良さだなと思います。
すっかりここに入り浸ってしまっています(笑)。」
香川さんはカメラを手にほぼ毎日津田の海へお出かけ。
早朝から夕方まで、いろんな表情の津田湾の様子が「まち宿AETE」のInstagramにアップされています。
宿泊されたお客さまとの楽しそうな一枚もあり、ここに来ると心も体も充電してまた出発できるというのが写真から伝わってきます!
インドア・頭脳派の黒川さんと、アウトドア派の香川さん。
2人の趣味のベクトルは反対で、「海に行こうよ〜」「え〜暑いよ〜」という会話も垣間みられますが(笑)
「まち宿AETE」ではお互いの得意とするところが活かせていて良いコンビネーション!
(「まち宿AETE」黒川さん)
「これからはゲストハウスに置いてあるものを体験できるようにもしていきたいと思っています。
最初はこの『シーグラス体験』。
津田の松原までシーグラスを取りに行くところからスタートして、
ここに帰って来てから色合いを考えつつ瓶に詰めたり、白い額縁に絵のように並べて飾ったりできます。
作ったものは持ち帰ってもらって、旅の思い出にしてもらえたらと思っています。」
今後は竹あかり作りや田んぼでのドローン体験、ピザ窯でのピザ作り体験なども行い、
津田の松原の売りである「夏」以外の楽しみを提案していくそう。
(写真左:アウトドア派の香川さんは手に釣竿を。写真右:インドア派の黒川さんは手にドローンを。)
(「まち宿AETE」黒川さん)
「僕自身もコロナ禍で香川から大阪に戻れなくなった時に、
地元の津田で釣りしたり野菜を育てたり
竹を取りに行ってみたりといろいろやりました。
普段ならやらないことをたくさんやったなあと。
馴染みのないことを『あえて』やってみることで気づいたことがたくさんあったんです。
香川県の観光は『西』だ『島』だと言われていますが、
あえて『東』に来てもらって、他にはない体験をして帰ってもらいたいと思っています。」
いつもは行かない場所があれば、「あえて」そこに行ってみる。
そんな気持ちで「まち宿AETE」に訪れて、津田・さぬき市というまちを楽しんでみませんか?
自分の住むまちでは味わえないものを体験しに、今こそ。
まち宿AETE
場所/香川県さぬき市津田町津田737【地図】
内容/1日1組限定・1棟貸しゲストハウス(最大8名宿泊可能)
料金/1人9000円(人数が追加されるごとに1人3000円追加・子どもも同料金)+Airbnb手数料必要 ※清掃費なし
キャンセル/5日前までキャンセル料はかかりません。それ以降は50%のキャンセル料発生。