先日、さぬき市津田町の「Cumi umi(ちゅみうみ)」で
津田沿岸のマダコを捌く様子をご紹介しましたが…
そのマダコを獲ってきてくれた地元漁師の名和さんが
「定置網で獲れた魚を見せてくれる」ということで
津田漁港に行ってきました!!
なかなか見られない、水揚げしたばかりのお魚たちと地元の漁師さんの日常。
これからの漁師さんたちの課題もお聞きすることができました!
やってきたのはさぬき市津田町にある津田漁港。
国道11号線から津田川沿いに北に進むと見えてくる漁港で、
漁師さんの船たちが係留し、船の先端にはカモメやアオサギがよくとまって寛いでいます。
早朝に出向くと漁港回りには釣り人も多く、
漁港前の釣り餌屋さんには仕事を終えた漁師さんが井戸端会議をする様子も。
晴れた日には大きな定置網を広げて、手で掃除をしている姿が見られることもあります。
(写真左:名和さん、写真右:桜井さん)
そんな津田漁港から漁に出ている漁師さんの1人が、地元津田生まれの名和さん。
もともと地元スーパーで接客のお仕事をしていたのですが、脱サラして漁師になり今年で20年。
50代ですが地元漁師の中では一番の若手なのだとか!
名和さんと一緒に漁に出ている桜井さんは東かがわ市のベテラン漁師さん。
40年以上前、この津田漁協から遠洋のさけ・ます漁に出ていたそうで、
その頃は漁港も祭りも大変な賑わいだったのだそうです!
※津田のさけ・ます漁のおはなし
実は津田は遠洋漁業の拠点として大変賑わう町でした。
香川県の漁民が北海道のさけ・ます漁業にはじめて出漁したのは1930年ごろ。
津田町の金山さんという方で、その後香川県さけ・ます出漁組合の本部が津田町漁業組合におかれました。
途中日中戦争で中止されますが、その後も再開され、日ソ漁業条約・漁業協定により漁獲制限が行われたことをきっかけに減船。
1986年に最後の一隻が漁を終えるまで続いていたそうです。
(その様子は津田の松原案内所に写真が残っていますよ〜!)
(その様子は津田の松原案内所に写真が残っていますよ〜!)
さて、名和さんと桜井さんがこの時期に行っているのは、
春から翌年1月まで津田湾沿岸で行う「延縄式(はえなわしき)のたこつぼ漁」と、1年中魚が獲れる「定置網漁」。
「たこつぼ漁」では、先日のマダコ捌きのブログでもご紹介したように、
香川県で定められたたこつぼ漁期の5月1日〜翌年1月20日の間、
津田湾沿岸に500個のたこつぼを落とし、タコを獲ります。
タコは11月後半ごろからが大きくなるので、これからが食べごろ!
「定置網漁」では、海に壁のようなネット状の網を張り、
その中に入ってきた魚たちを水揚げします。
定置網はよくできていて、ただ海に仕切りをするだけでなく、
魚を追い込んむスペースもあり、そこに入ってきたものを獲るのだとか。
一体どんなお魚が津田湾では獲れるのか!?
気になる定置網漁で揚がってきた魚を子どもたちと一緒にみせてもらいました!!!
こちらの船は名和さんが定置網から水揚げした魚を運んでくるもの。
船体に設置された水槽の中に獲ってきたばかりの魚がいます!!!
続々と出てくる元気な魚たちですが、名和さんの手によって血抜きを行います。
包丁でエラの部分を一つき、さらに尻尾の根元に特殊な道具(血抜き用のがあるらしい!)で穴を開けます。
魚は頭〜背びれ〜尾に向かって血管があるため、
頭と尾の2箇所に血抜き穴を開けることで血を逃しているのだそう。
これをやらないと鮮度が落ち、身に血がめぐって美味しくない魚になってしまうのだとか!
血抜きをされた魚は一気にぐったり。
残酷な作業のようですが、子どもたちはその様子をしっかりと眺めていました。
普段食べている魚。
それは元気な海の命をいただているのだと実感できた様子。
血抜きされたお魚は氷水でしっかりと冷やしたまま市場へ出荷されます。
撮影時は朝9:00頃でしたが、通常は5:30から始まるセリに間に合うように
午前3:00にこの作業を行なっているそう!!
漁師さんの朝は早いーーー!!!
(写真:この日血抜きした後のお魚は安岐水産さんへ運ばれ、調理されて「Cumi umi」で販売されました)
(写真左:漁師の名和さん)
「普段は市場に持って行く他に、このように水揚げしたばかりのお魚を『安岐水産』に納品しています。
それが『Cumi umi』でお惣菜になって並んでいますが、
こうやってすぐそばの海から生きたものをすぐ持ってくるというのもなかなかないこと。
漁師の世界は需要と供給のバランスを保つのが大切。
他の漁師がやっていないことをやって、欲しい人のところに魚を届けられる漁師になりたいですね。」
「Cumi umi」に並ぶ美味しいお魚をどんな人がどんな風に持ってくるのかがわかったことで
これからまた食べる楽しみが一つ増えた気がします。
そして、この日は水揚げされたばかりの魚を「安岐水産」さんがお刺身にしてくださいました!!
さっきまで元気に跳ねていたツバスのお刺身が完成ーーー!!
ツヤッツヤの綺麗な身。
一口いただくと、ブリンブリンの歯ごたえ!!
これこそが獲れたての証拠だそう。
「安岐水産」のお魚料理番長 木村さんから、
「オリーブオイルと塩、黒胡椒で食べても美味しいよ」
と言われて、カルパッチョ風にもいただきましたが、
これもツバスの脂とオリーブオイルの風味があいまって美味しいーーーー!!!
ツバスのお刺身は初めていただきましたが、新鮮だからこそ食感も良く臭みなく美味しかったです。
なにより先ほどまで生きていた命をいただいて、自分の体ができているのだなと実感。
名和さんも子どもたちと魚の話ができるのがとても嬉しそう!
これからも子どもたちと魚を大切に食べ、魚の話をたくさんしていきたいなと思いました。
「安岐水産」さんでは、名和さんと一緒に地元のお魚について学べるワークショップを今後開催する予定とのこと。
漁師さんが獲ってくるお魚の見学やお魚の捌き方、料理方法など、様々な内容が考えられていますのでお楽しみに!
次回はあなたも参加して、海の良さをお魚を通して感じてみませんか?