2021年5月3日(月・祝)
さぬき市造田の造田神社で
「釜鳴神事(かまなりしんじ)」が執り行われました。
蒸篭の音で今年の豊作を占う、なんとも不思議な神事。
今年も昨年同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響で縮小して執り行われ
豊作を占うとともに疫病退散祈願が行われました。
気になる今年の御託宣など、詳しくご紹介します。
さぬき市造田、鴨部川の北側に位置する造田神社にやってきました。
こちらでは豊穣を祈願する「春季大祭」の5月3日に、
「釜鳴神事(かまなりしんじ)」という
今年の豊作を占う神事が執り行われています。
造田神社で「釜鳴神事」が始まったのは947年。
当時、別の場所にあった神社を現在の場所に移す時に
良い場所を釜鳴によって占ったのが始まりだと伝えられています。
今年も新型コロナウイルスがまだまだ大きく影響していることから
昨年同様、規模を縮小し、疫病退散の祈願も含めて執り行われました。
いつもは境内に出るお茶席も今年は自粛されて、ひっそりとした雰囲気でした。
本殿に向かってすぐ隣に「釜鳴神事」のための社殿があり、
そこで関係者が見守る中、神事が行われます。
中にある3つの竃にはすでに火がくべられ、煙が上がっていました。
3つ並んだ釜の真ん中は神饌(神様のごはん)を炊く御釜、両側2つが鳴釜ですが、
現在は3つとも鳴釜として使用されています。
ただし今年は時間縮小のため、両側2つのみを使用されていました。
神事の始まりは、まずお祓いと祝詞奏上から。
昨年から祝詞には「疫病退散」の言葉が含まれています。
続いて釜の湯に笹を浸し、参列者の前で笹を払って清めます。
この笹は神事の後に参列者に「お守り・お清めの笹」として配ってくださいます。
続いて御神楽(浦安の舞)が行われました。
昨年は自粛されていたため2年ぶりの舞。
地元の子どもたちが美しい姿を見せてくれました。
途中、剣から鈴に持ち替えて。
昨年見られなかった浦安の舞ですが、
一気に場が華やかになり、見ている人の心も明るくしてくれます。
さて、いよいよ釜鳴の神事。
釜の上に縦に長い蒸篭を置き、お米を振り入れて少しだけお水を注ぎます。
蓋を少しだけずらして、暫し待つこと数分。
ブン…という低音が聞こえてきました。
そのまま音は「ブーーーン」と長引く様に鳴り、
うねる様に「ブウォンブウォン」と変化してきました。
音がない時は大神の納受がなく凶事とされていますので
今年もなんとか豊作を期待できそう!
無事に2つの蒸篭から音が鳴り、神事が終わりました。
さあいよいよ気になる今年の「御託宣」が出ます!!
「令和3年の御託宣は『末吉』と出ました。
萌え出ずる 若葉の色ぞ 美くしき
花咲き実のる 末も見えつつ
世間がコロナウイルスで騒がしくなっていますが、
あまりに一足とびにとんで事をしようとすると謬ります。
次第次第に運がひらけて盛んになりますので
時を見て、心ながくのぞみを達しなさい。」
2年連続の「末吉」が出ました。
昨年同様コロナの収束を望みつつ、我慢しつつ平穏に過ごしていくことが必要だと改めて感じるご託宣でした。
最後は鳴釜で炊き上げられたお米「御炊米(みかしぎまい)」をいただきました。
これを炊飯時にお米に混ぜ込み炊くことで無病息災、疫病開運のご利益が得られます。
今年は新型コロナウイルスの影響で参列を控えた方も多かったのですが
収束した暁にはぜひ見学いただき、御炊米をたくさんの方に持ち帰って頂きたいなと思いました。
これから田植えも本格的なシーズンに入りますが、
例年と同様に心から秋の実りに感謝できる一年になりますように。