さぬき市末にある「霊芝寺」。
イチョウの紅葉が美しいお寺ですが、奥の院のある裏山で「ミニ八十八箇所」を参拝しつつ里山登山を楽しむ方もいらっしゃいます。
そんな「霊芝寺」で「山岳瞑想とヨーガ」が行われるとお聞きして
参加させてもらいました!
(イベントは4月上旬に行われました)
自然の気持ち良さと、自分との時間を持つことの大切さをたっぷり感じられる体験。
その様子をじっくりご紹介します!
さぬき市志度インターから造田に抜ける道沿いにある「霊芝寺」にやってきました。
弘仁年中に弘法大師が創建されたと伝えられていますが
寛文2年には高松藩主 松平頼重公が山城国西明寺の僧 恵忍律師を招いて寺院の復興を命じ、堂宇を建立。
頼重公に連れられ、子供の頃からここに慣れ親しんでいた2代目 頼常公が、
延宝4年に「霊芝寺」と改めて本堂を建立しました。
そのため境内にはお殿様がお寺に来られた時にお通しする間「御成所(お成りの間)」や、
高松藩2代目藩主 松平頼常公(水戸藩二代目藩主 水戸光圀の長男)と
9代目藩主 松平頼恕公(十五代将軍 徳川慶喜の伯父)の墓所が設けられています。
実は見どころの多い貴重なお寺でもあるんです!
そんな「霊芝寺」ですが、ご住職さんの「もっと地元の人が気軽に訪れて交流できる場所になりたい」という気持ちから
2019年4月ごろから「瞑想とヨガの会」をスタート。
本堂や御成所の中でヨガと瞑想を行ったり
中秋の名月の日に奥の院でお月見をしながら真言密教の瞑想を行うなど
この場所ならではの瞑想スタイルを企画。
新型コロナウイルスの影響が出るまでは終わった後にお茶会も開き、
いろんな方の悩みや思いをお聞きする大切な時間にもなっていたそう。
春には久しぶりに初心者向けの「山岳瞑想とヨーガの会」をされるとお聞きし
私も参加させてもらいました!
ヨーガは体験したこともあり親しみやすさを感じますが
「瞑想」は馴染みがないだけにちょっぴり不安。
ドキドキしながら、早速「山岳瞑想とヨーガ」に出発!!!

2021年4月上旬。
週末の朝早くから10人弱のメンバーが「霊芝寺」に集合。
これから「山岳瞑想とヨーガ」の会が始まります。
今回のテーマは「緩める」。
瞑想の一番の基本であり、自然の中で心と体を緩めてニュートラルな状態に持っていく内容になっています。
まず出発前にみんなで読経します。
本堂の前でご住職に続いて、文言を唱えていきます。
声を出していくうちに目覚めたばかりでボーッとしていた体がだんだん温かくなっていきます。
さあ、いよいよ出発!
お寺のすぐ裏は山になっており、その中腹には「奥の院」があります。
そこにたどり着くまでの登山道には「ミニ八十八箇所」があり、
今回は参拝しつつ登山しながら「奥の院」まで進むというプラン。
「奥の院」までには別途舗装された道路もあるのですが、あえて春を感じに山道に入ります。
それでは早速「ミニ八十八箇所」巡りからの〜「奥の院」へレッツゴー!
登山道は境内からすぐ入ることができるよう。
それは知らなかった〜!
登り始めてすぐ道幅が狭くなり、山道らしい風景に。
ここは背の低い木や小さな草花が多くて穏やかな山。
初めてでもスニーカーで安心して登れます。
それにしても新緑が美しく、眩しくてたまりません。
冬とは全く違う山の色彩にただ驚くばかり。
車などの生活音もなく、鳥の声のシャワーを浴びながら進みます。
しばらく登ったところで早速発見!
「ミニ八十八箇所」の霊場となる石仏さまです。
ちゃんと足元に「第一番 霊山寺」と書かれてあり、お賽銭も置かれてありました。
ここに定期的にお参りに来られている人がいるのがわかります。
札所に差し掛かるごとにご住職が読経してくださり、私たちも参拝して進みます。
山の中腹まで来ると、明るい太陽の日差しが。
山の木々も元気一杯です。
その影では苔むした岩などもあり、その生命力といじらしさにほっこり。
目的は「山岳瞑想とヨーガ」なのですが、山をあるくだけでもかなり気持ちよかったです。
ちなみにミニ八十八箇所の途中で山頂に行く道と奥の院に行く道に分かれ
山頂からはオレンジタウンや願光寺方面にも出られるとのこと。
「ミニ八十八箇所」には一般の方も立ち入って参拝することができるとのことなので
今度は運動不足解消も兼ねて山頂に行ってみようと思いました。
しっかりと八十八箇所をお参りしながら、あっという間に「奥の院本堂」へ到着!
冷えこみの強い朝だったので皆さん冬山仕様のウエアを着込んでこられていましたが
到着時には汗が滲み出るほどで薄着になる人も。
こちらには牡丹桜が何本か植わっていましたが、ちょうど見頃で美しかったです。
そしてここから末エリアと神前エリアが一望できます!
知らないうちにかなり高いところまで来たのだな〜と実感!
「奥の院」からはさらに上へ進みます!
この先に「山岳瞑想とヨーガ」を行う場所があるのだそう。
「奥の院」からは山を登ること約1分ほどで到着!
霊芝寺の「求聞持堂(ぐもんじどう)」。
小さなお堂ですが、真言密教である霊芝寺では修行の際にこの中に入ってお経を唱え続けるのだそう。
いよいよここで「山岳瞑想とヨーガ」が始まります。

「求聞持堂」にはあらかじめクッション用にアルミシートと座布団を置いてくださっていました。
これも瞑想時に地面の感触が気になって集中できないということがないように、というご配慮から。
その上にヨガマットを敷いて、スタンバイします。
まずはヨーガの時間。
「霊芝寺」での「瞑想とヨーガ」の会で講師をされている東原晶子さんがレクチャーしてくださいました。
ヨーガの前に、呼吸を整えることから始めます。
口から全ての空気をゆっくりと吐き出し、吐ききったら鼻から楽にすうっと息を吸い込みます。
1、2秒ほど息を止めてから、またゆっくりと細く長く空気を吐き出します。
この呼吸を行いつつ、足をほぐすヨーガを教えてくれました。
あぐらをかいて足の裏をゆっくりほぐしたり、伸ばしたり、圧をかけてゆるめたり。
さっきまで山をしっかりと踏みしめてきた足がほぐれることで、登山の疲れもゆっくりと緩和していくのがわかります。
しかも目の前はこの景色…!!
教えてもらった呼吸方法で体に取り込んだ山の空気をゆっくりと外に吐き出すと、自然と1つになったような気持ちに。
もう私は山になりにけり〜。
30分ほどの短いヨーガの後は「霊芝寺」ご住職 長楽峯苑さんが教えてくださる「山岳瞑想」。
体を楽な位置に整え、薄く目を開き、自分の呼吸を整えることに集中します。
春の風と春の日差し、鳥の声と呼吸音だけの世界を、じいっとしたままで数分過ごします。
普段からじっくり休むということに慣れていないため、
初回の寝転がっての瞑想は少し緊張気味。
終わりの時間が気になったりもしました。
が、2回目のあぐらをかいての瞑想から少しずつ慣れてきたのか、山の気持ち良さを感じるまでに。
眠るように(寝ていたかも?)すうっと瞑想。
最後は各々の好きなスタイルで瞑想。
時間にすると数分だと思いますが、1時間ほど急速したような感覚が体に残ります。
時折ご住職が鳴らしてくれるお鈴の音が、体に1本の筋を張ってくれるようにも感じました。
人生うん年走り続けてきたけど、
こんなに自分を休ませる時間がこれまでにあっただろうか…
いや、なかった!と反省…
瞑想して気がつくのは体の硬さだけでなく、自分自身の「休む」という意識の違い。
疲れた時こそ、自分のためにこういった時間を持ってあげたいと思いました。
「山岳瞑想とヨーガ」を終え、「ミニ八十八箇所」を参拝しながら下山して「霊芝寺」本堂前に戻ってきました。
9時に集合し、到着したのは12時半ごろ。
体もポカポカと温かく、ひと仕事終えたかのような満足度があふれています。
一緒に参加されていたみなさんも表情が柔らかくなっていて、
初対面でも会話ができるほどの空気に。
コロナ禍で張り詰めた気持ちもこれをきっかけに少し和らいだような気がしました。
初めての「山岳瞑想とヨーガ」でしたが
山の心地よさにバックアップされたこともあり、かなりリラックスして参加できました。
初心者でも難しくない瞑想だったことも救いに。
素のままの自分と向き合える場所としてまた参加したいと思いました。

「瞑想とヨーガ」をお寺で体験できるのが面白いと思い体験させてもらったのですが、
実は「仏教」「瞑想」「ヨーガ」には大きなつながりがあるそう。
(「霊芝寺」ご住職 長楽峯苑さん)
「仏教はインド発祥の宗教ですが、瞑想もヨーガも先人が悟りを求める修行で行なっていたことです。
瞑想で自分自身を見つめて灯火を灯すのが仏教の基本の姿勢。
私の普段のお務めにも取り入れていますし、プライベートでは育児の時にも瞑想で気持ちを整えていました。
霊芝寺では僧侶がやっている瞑想を一般の人に体験してもらっていて、それがだんだん確立してきたと思います。
また、もっと身近に霊芝寺の真言密教を感じてもらうきっかけがあればいいかもと、瞑想をお寺でやることにしたんです。」
ご住職が「霊芝寺」で瞑想をやってみようと思った時に思い出したのが、
高校時代の同級生でヨーガの講師をされている東原晶子さん。
東原さんは日常の生きづらさや体の窮屈さを感じたことから大学で身体表現を学ばれ、
体をいろいろと動かして「緩める」ということを身につけ、ヨーガの講師として活躍されてきました。
そんな東原さんと一緒に「瞑想とヨーガ」の会を初めて3年目。
開催直後には参加された方が参加前よりもやわらかい印象に変化し、
本来のその人に出会えるということもわかってきたそう。
(写真右:ヨーガ講師 東原晶子さん)
「ヨーガと瞑想の度に自分の心(魂)と身体が本来在るところにおさまる、かえってくる感覚があるんです。
これが私の人生において不可欠で、やっていてよかったと感じます。
また、ご住職の人柄がオープンで、自然に受け入れてくれるのがいいところだと思います。」
(写真左:「霊芝寺」ご住職 長楽峯苑さん)
「コロナ前はヨーガと瞑想の後にお茶会をして、みなさんがお話してくださることが楽しくて、私自身にも新しい気づきがたくさんありました。
そんなふうに瞑想やヨーガで感じたこと、気づいたことを日常の中で生かしてもらえたら嬉しいですね。
コロナの状況を見つつですが、次回は6月ごろに開催できたらと思っています。
ぜひ普段のこわばりをほどきにお越しください。」
日々の疲れや緊張、モヤモヤ、声に出したくても出せない苦しさをほぐして吐き出したい。
そんな駆け込み寺的な存在を私たちは探していたけれど
実は身近なところにあるんだよ、と言ってもらえたような気がしました。
ご住職と東原さんの柔らかい声を聞くだけでも心地よくなる「霊芝寺」の「瞑想とヨーガ」。
どちらも初めて体験するという方も、ぜひ気軽に参加してみてくださいね。
霊芝寺
場所/香川県さぬき市末695【地図】
お問い合わせ先/087-894-2425
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