2021年07月29日

「札ばさみ」展でお遍路スタイルの変遷を見てみよう&自由研究サポート開催中@前山

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さぬき市前山にあるおへんろに関する資料館

「前山おへんろ交流サロン」にて夏休み企画展

「札ばさみ」展が開催されています。

「札ばさみ」とはお遍路さんが持つ遍路用具のひとつで

参拝時に納める「納め札」を挟んで持ち運ぶもの。


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「前山おへんろ交流サロン」の片桐館長に解説いただきながら眺めていると…

続々とお遍路の謎が出てくる出てくる!

夏休みの自由研究にもなりそうな「札ばさみ」を見に行ってきました!




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さぬき市前山、「道の駅ながお」向かいにある「前山おへんろ交流サロン」にやってきました。

四国霊場八十八箇所の結願寺「大窪寺」へ向かう道なりにあり、歩き遍路のお遍路さんが立ち寄る場所です。

歩き遍路・自転車遍路のお遍路さんには「遍路大使任命書」「自転車遍路大使任命書」も発行してくれますので、それをもらいに来る方も。



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また、館内には四国霊場の様々な情報が集約されています。

江戸時代に真念が書き上げたお遍路ガイドブック「四国遍路道指南」の発行をきっかけに流行となった四国遍路。



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壁面にはこれまでの歴史はもちろん、お遍路の発展に外せない人物 寒川金兵衛や最多巡礼者 中務茂兵衛の展示も。

ここに来ると遍路の知らなかった一面をたくさん知ることができます。



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奥には企画展示コーナーが。

毎年夏と冬に特別展を行なっていますが

8月31日までは夏休み企画展「札ばさみ」展を開催中!


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「札ばさみ」とは、お遍路さんの遍路道具の1つで

お寺での参拝時に納め入れる「納め札」を入れて持ち歩くもの。


今回の企画展では、お遍路さんの持ち物の1つである「札ばさみ」に焦点を当てて

江戸時代から現代までお遍路さんのスタイルがどう遷り変わってきたのかを展示しています。



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まずはこちら。

江戸時代のお遍路さんが使っていたと見られる「札ばさみ」です。

適度な長方形にカットした木の板2枚に糸を通し、

上手に納め札が落ちないように作られています。



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片桐館長がわかりやすいようにと、ご自身でも手作りされていました!!(すごい!)

納め札の長さに合わせて板をカットしたそう。


こうやって上部は自由に開閉でき、

するりと1枚ずつ納め札を抜き取ることができます。



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出し終わった後は重力に従って手を離すと、自動的に2枚の板が合わさり札が落ちることはありません。

これはよくできているーー!!!


表と裏にはお大師様の名前、年号、自分の住所、名前などを記入していて

時代を超えてもその内容はほぼ共通していました。


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その理由は江戸時代のベストセラー「四国遍路道指南」。

用意するものとして紹介された「札ばさみ」の表と裏にこれを書く!というルールを筆者の真念さんが書かれていました。

歴代のおへんろさんたちが誠実に守ってきたことがわかります。



また、札の頭が左側に来ているものは「順打ち(1番札所から順に巡ること)」

札の頭が左に来ている人は「逆打ち(88番から遡って巡ること)」の証なのだとか!




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しかしよくよくみてみると、納め札よりも小さい「札ばさみ」がいくつかあります。

これだと納め札がはみ出て納まらないのでは?という疑問がむくむく。


札に折り目もなく、どのように収納していたのか…

江戸時代は和紙を自分でカットして好きな大きさにできたはずなのに、なぜ大きな納め札を作ったのか?

おへんろの謎を1つ発見!!


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そんな「札ばさみ」も挟むタイプと箱タイプがあったことが展示でわかります。

雨が降ったときに納め札が濡れるのを避けるためにバージョンアップした様子。



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昭和に入ると完璧なる箱タイプになった「札ばさみ」ですが…


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戦後昭和30年代になると、これが合成樹脂製のミニバッグに進化!!

素材も大きさもグンと成長してしまいましたー!!



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さらにさらに昭和後半になると、もっとたくさん小物が入る頭陀袋(ずだぶくろ)に!!

ローソクやお線香などの細かい雑貨が多いおへんろさん。

まとめて入れたい気持ち、わかります!!!


しかし小さな板だった「札ばさみ」の面影は一体どこへ…


なぜ形や素材が遷り変わってきたのか?

「前山おへんろ交流サロン」の片桐館長にお聞きしてみました。



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(「前山おへんろ交流サロン」片桐館長)

「時代時代の商売をしている人たちがお遍路さんを見て

 『札ばさみ』をこんなふうに変えたら便利なんじゃないかと考えてきたことから

 形が変化してきたのだと思います。

 『札ばさみ』だけじゃなく、文明が発展してバスができればおへんろバスツアーというものが出てきたり

 白装束というお遍路さんの服装も周囲の商売をしている人が考え、

 生み出してきたおへんろ文化だと思います。」


白装束といえば今やお遍路さんの定番スタイルですが

昭和30年ごろまでの写真からは着物などの私服で遍路に行かれていたことがわかります。



「札ばさみ」はおへんろ文化のほんの一部。

ですがこれだけの文化文明の発展やお遍路さんを支えた人たちが見え、非常に面白い企画展でした。


普段は遍路に馴染みがないという方も、企画展をきっかけに興味が湧いてくるかも?!

ぜひ夏休みに「おへんろ交流サロン」へ足を運んでみてくださいね。



おへんろ関係の自由研究も達人がお手伝いします!

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「おへんろ交流サロン」ではお遍路文化を研究している片桐館長があなたの自由研究をお手伝いします!

この試みは今年初!!

小学生から大学生、社会人まで、無料で対応してくださるそう(ただし館長がいる日のみ)。

「おへんろ」をテーマになにか調べ学習をしたい方は、ぜひ問い合わせてみてください。


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例えば夏休みの自由研究に周辺のへんろ道を一緒に歩いてみて、

小学校低学年ならその感想を、高学年なら歴史とともに道の移り変わりをまとめてみるのもオススメとのこと。

研究テーマに困った時も、まずは足を運んでみてはいかがでしょうか?

四国・香川ならではの題材が見つかりますよ!!


■「四国遍路」に関するサポート

日時/館長出勤日の9:00〜15:00の間

場所/前山おへんろ交流サロン

対象/小中学生〜大学生、社会人

人数/1日1組あるいは1名(大学生、社会人)

講習費/無料

お問い合わせ先/0879-52-0208



  
posted by sanuki-asobinin at 19:00| 香川 ☀| Comment(0) | へんろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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