2022年04月26日

海と山のまち「小田」まちあるきレポ A船専用家具を作る工房へ@小田

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3月27日、さぬき市北部の山と海に囲まれた「小田」エリアでおこなわれたまちあるきイベント

「過疎に風!小田船団出漁記からオーガニックな村へのstory」のレポート第2弾!

前回は無農薬野菜を作る移住農家さんとの収穫体験をご紹介しましたが、

今回は小田で歴史を紡ぐ家具工場「優和木装」さん見学の様子をお届け。

舟大工のルーツを受け継いだ工房には船舶家具ならではの工夫がたくさんありました。



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さぬき市小田のまちあるきの出発地点「風と土びと」を出発し、移住農家さんの畑で無農薬野菜の収穫を終えた我々。

再びのどかな景色の中を歩きます。

周りの山には桜のピンク色がちらほら。


そんな中、畑からさほど離れていない場所に倉庫を発見!

道端で見かけたうさぎの看板のオーダー家具会社「優和木装 株式会社」さんです。


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工場の中には人間の背丈よりも大きな加工機械がずらり。

初めて見るものがたくさんあってワクワク!


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こちらで「優和木装 株式会社」の岡弘二社長が出迎えてくださり、小田の漁業と切り離せない会社のあゆみを教えてくださいました。

小田地区は明治中頃から大連・朝鮮半島への出漁が活発で、木造船も産業の一つとして盛んだったそう。

そんな中、「優和木装 株式会社」の先代である岡さんのお父様は15歳で船大工になるため修行をスタート。

3年ほどの修行生活の中で2週間の徴兵も経験し、終戦を迎えました。


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(写真:昭和20年後半のサケマス船出港の様子)

戦後の小田・津田は戦後日本の遠洋漁業発祥の地と言われるほど津田・小田船団はサケマス漁で盛り上がりました。

4月末になると北海道沖に母船を置いて遠洋にサケマス漁に出て、船がいっぱいになったら母船に魚を入れてまた漁に出るのですが…

津田・小田地区の船は特に技術が優れていた詫間の造船所の鉄鋼船を使用していたため、他船よりもスピーディに漁が出来たのだとか。


しかし昭和48年ごろの200海里問題をきっかけにサケマス漁は衰退。

昭和53年〜54年ごろには魚が獲れなくなり、出港する船もゼロに。

津田・小田のサケマス漁の歴史もここで終了となります。



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サケマス漁の発展とともに船の素材は木造から鉄・FRPへ。

船大工の仕事が減っていく中、先代は船の中の家具を作り内装を手掛ける「船舶艤装(せんぱくぎそう)」へと業務をシフトします。

不安定な経済状況が続く船の世界を経験し、昭和53年ごろには建築家具、昭和60年には店舗家具にも分野を広げました。


現在では冷凍運搬船・コンテナ船・自動車専用船などの船内の家具を製造。

船内の部屋をほぼワンルームマンションのような快適な部屋に作り上げますが、船舶家具は陸上の家具とは違った特徴があります。

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例えば

・大きく揺れても開かない扉

・嵐の中でも飛び出さない引き出し

・狭い船の扉から出し入れできるよう簡単にバラすことができる仕組み

・揺れで釘が抜けるため、一切釘は使用しない組み立て

などなど、日常生活の家具とはかけ離れた特徴が多々あり、興味津々!

今回はそんな船舶家具を見せてもらえることに!

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例えばこの棚。

直接船の壁に取り付けるため背面がありません。

船で組み立てやすく、無駄が無いようにあえてつけていないのだそう。

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こちらは揺れが大きくても勝手に飛び出さない引き出し。

開ける時も少し上に持ち上げてから引っ張り出します。

このアイデアは耐震にも使えそう!


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また、使用する木材にも工夫がありました。

1枚板だと反ってしまうので、いくつかの端材を組み合わせた板材を使うのだそう。


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よく見ると張り合わせて出来ているのがわかります。

この板を作るのに手間はかかりますが、端材を使用するのでムク材の3分の2の値段で作れます。


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ちなみに昨年香川で行われた東京五輪聖火リレーのラストに高松城跡のお堀で和船が聖火を運びましたが、その際の船も「優和木装 株式会社」さんが製作されました!

古文書に残っている和船の形を再現し、細長い構造になっているのだそう。

日本でも数少ない技術を大切に守っている会社が小田にあるとわかり、嬉しくなりました。

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小田の漁業の歴史話や普段見ることができない船舶業界の話も面白く、充実した学びの時間となりました。

木の香りが心地よいのでず〜っとここに居たい〜と思ったりも。

次は出発地点の「風と土びと」に戻って小田の集落の歴史をもっと深く掘り下げていきますよ〜!

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その後は小田の食材で作る美味しいランチも待ってます〜〜!!

次回のレポートもお楽しみに♪




遊学のススメ2022「過疎に風!小田船団出漁記からオーガニックな村へのstory」※終了
開催日時/2022年3月27日(日)9:00〜13:00
場所/さぬき市小田周辺(集合場所「小田の駅 風と土びと」
詳しくはこちら→さぬき市観光協会サイト


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posted by sanuki-asobinin at 08:00| 香川 ☀| Comment(0) | イベント・お祭り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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