今年6月17日には「志度寺」の境内が国の史跡「讃岐遍路道」に仲間入りするというニュースがありました。
志度寺にはどんな歴史的魅力があるのか?
この週末3連休に行われる年に一度の御本尊御開帳にあわせて
改めて志度寺の見どころをご紹介します!
さぬき市志度、志度駅前通りから門前通りに入り、ゆっくりと15分ほど歩けば志度湾近くにある志度寺に到着します。
こちらは推古天皇33年(625年)
また、平安時代の古い文書『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』にも全国の霊験所のひとつとして『志度の道場』という表記が残されていて、中世の頃から志度寺が貴重なお寺の一つだったことが中央に伝わっていたことがわかっています。
そんな志度寺の境内が、このたび国の史跡『讃岐遍路道』の仲間入りに!
これまでさぬき市では大窪寺道が『讃岐遍路道』として指定されていましたが、さらに志度寺が追加指定されたことになります。
その理由をさぬき市の文化財の達人、さぬき市生涯学習課の山本さんにお聞きしてみると…
(さぬき市生涯学習課 山本さん)
「大きな特徴としては、志度寺境内には四国遍路の札所としての歴史を示す景観が良好な状態で残っているところです。
詳しくは、お寺の北側に主要なものが配置される『伽藍配置』が現在も残っていること。
志度寺の建立は625年と言われていますが、江戸時代の始めごろには高松藩主松平家の手厚い保護を受けて本堂・仁王門をはじめとする建物が再建されました。
その際、218平方メートル四方の境内空間に、参拝をする空間・お寺の事務を行う空間・圓通寺・自性院といった周囲のお寺が志度寺と一体となっている配置が整い、そのまま残っていることが調査でわかったんです。
この3つの空間が現代まで良い状態で残っているのが、四国遍路の中でも一番大きな価値と言えます。」
あまり意識したことはありませんでしたが、確かに志度寺の主要なお堂は境内北側に集中しています。
本堂は重要文化財となっており、中には御本尊の十一面観音菩薩立像や不動明王立像、毘沙門天立像を安置。
香川県内で最も大規模の仏堂とも言われています。
この本堂を中心に、閻魔堂と奪衣婆堂が相対的に配置されています。
こちらは奪衣婆堂。
対になっている閻魔堂と同様、17世紀の洗練された様式と装飾性の高い近世初頭の建物です。
閻魔堂の中には閻魔王坐像、奪衣婆堂の中には奪衣婆像が。
とくに閻魔様は御本尊の十一面観音様の生まれ変わりと言われ、頭にたくさんの仏面をお持ちです。
本堂から少し西側に離れた場所にある「海女の墓」の志度寺の歴史を物語るもの。
志度寺の縁起絵巻に残る『海女の玉取り伝説』の海女を弔うために1000基建てたといわれていて、現在もさまざまな形・高さの石塔が残っています。
平安時代末〜鎌倉時代終盤に今より志度湾側の場所に造立されましたが、こちらも江戸時代に整備・拡張されて現在の場所に整えられたそう。
ほかにも境内の南部には「曲水式の池泉回遊式庭園」があり、昭和36年に重森美玲によって改作が行われました。
それ以前の時代も重森氏の記述により細川氏との関係が指摘されています。
現在も「枯山水 無前庭」は綺麗に保存されており、書院から眺めることができます。
何気なく参拝し、散策していた志度寺ですが、私たちが見ていた風景は江戸時代の人たちが見てきたものと同じということ。
これからは遍路が盛んだった江戸時代へタイムワープできる場所として深く楽しんでみたいものです。
3連休は「志度寺御本尊御開帳」へ行こう!
国指定史跡になったことで改めて志度寺に行きたくなったら…
7月16日〜18日の3連休に開催される、年に一度の御本尊御開帳時がおすすめ!!
この3日間は御本堂の扉を開け、一般の方も中に入って御本尊や文化財を拝むことができます。(本堂は拝観料500円が必要)
特に御本尊の十一面観音菩薩立像は必見!
蓮華台まで1本の木で作られている見事な一木造りになっています。
とある話によると琵琶湖の方から流れてきた霊木で作られたとも。
童顔で美男子なところも注目です♪
また、本堂の中には不動明王と毘沙門天、煤を受けつつも色彩豊かに残っている天井の観音壁画、伝説にちなんだ恐ろしい面も!
いずれも年に一度、御開帳の時だけしか見られませんのでお見逃しなく!
(閻魔堂:思わず覗きたくなっちゃう♪)
さらに深く志度寺らしい場所を楽しむなら、境内にある閻魔堂や奪衣婆堂へ!
志度寺の特徴といえば、今のように医療が発達していない時代に薬師堂へお参りするなど、人々が信仰していたものや死生観がそのまま御堂として境内に残っているところ。
特に閻魔堂があるお寺はあまりなく、ましてや奪衣婆堂があるお寺はなかなかありません。
奪衣婆さんといえば、三途の川のほとりで亡くなったひとの服をひっぺがして木に引っ掛け、枝がしなだれたら閻魔様のところへと促すおばあさん。
一体どんなお顔をされているのか気になる方は、御開帳の日に拝見できるのでぜひご覧ください♪
昨年の様子はこちら!→ 年に一度だけ。志度寺の「御本尊御開帳」に行ってきました!@志度
お大師さま生誕1250年記念アイテムにも注目!
さて、四国霊場八十八ヶ所では令和4年6月から「弘法大師御誕生1250年記念事業」を開催中!(令和6年12月31日まで)
お大師さまの1250回目のお誕生日を記念して、さまざまなイベントや巡礼アイテムが登場しています。
まずは札所を巡礼し、納経された方に押印される記念印「88大師メッセージ」!
印の中には各札所のご住職が選んだお大師様のお言葉や仏の教えにまつわる言葉が記されています。
また、納経時には「88記念カード」も授与。
4cm×5cmほどのちいさなカードにお大師さまの生涯や四国霊場の縁起がイラストで描かれています。
こちらも札所ごとに柄は違っていて集める楽しさが!
ちなみに志度寺の「88記念カード」は『澄禅の最古の遍路日記』。
『京都智積院の学僧澄禅の四国遍路日記は最古の本格的遍路資料である』という解説が裏面に書かれていました。
知らなかった遍路の歴史やお大師様にまつわるエピソードを知ることができるアイテムですよ♪
「88記念カード」をコンプリートする際には専用の保存帳(500円)や「結願セット(3500円)もありますので、ぜひゲットして巡礼してみてくださいね。
もともとスタンプラリー的なお楽しみもあるおへんろ。
令和6年まではさまざまなイベントも行われますので、一度はやってみたいなと思っていた方もこの機会におへんろを始めてみては?
おへんろ最新情報や大師メッセージについて詳しくは「(一社)公式四国八十八ヶ所霊場会」のInstagramでチェック!