先日募集が行われていたさぬき市津田地区の地域おこし協力隊。
多くの応募がありましたが、現地ツアーなどを経て
兵庫県出身の26歳 折口洋一さんに決定!
彼に与えられた任務は今年度中に津田ふるさと海岸でピザ店を立ち上げるとともに
お店を経営しながら地域の拠点としてまちを盛り上げること。
香川県でも初の「弟子入り型」地域おこしに挑む折口さんや、受け入れを行う「一般社団法人 さぬき市津田地区まちづくり協議会」のみなさんに抱負をお聞きしました!
海岸通り沿いには昔からちりめんやエビの加工場が立ち並んでいます。
近年では漁師さんの高齢化から廃業されるところも多く、空き倉庫・空き家が増えつつあるのが課題に。
一方で廃業後の空き倉庫を活用した店舗を作る若者や移住する若者も増えており、さぬき市の中では勢いのあるエリアになりつつあります。
この流れに乗るように、今年5月には「津田ふるさと海岸」沿いの空き家を活用したピザ店を立ち上げ、経営しながら地域を盛り上げる地域おこし協力隊を募集。
香川県では初めての「弟子入り型地域おこし」ということもあり、全国から40件を超える問い合わせが!
11名の方が名乗り出て、事前に宿泊込みのフィールドワークにも5名の方が参加する注目ぶり。
最終的に津田地区を盛り上げる大役を担うことに決まったのは…
兵庫県出身の26歳 折口洋一さん。
もともと物づくりが好きで、建築に興味があったという折口さん。
地元の明石工業高等専門学校 建築学科に進学した際にはインドネシアに建築を学びに留学したり、その後も広島大学工学部に編入して建設・環境系の分野を探求。
大学卒業後はビルの開発や商業施設の誘致に関わる仕事に就きますが、兼ねてから好きだった瀬戸内の風景の中で自分なりの事業をやってみたいと地域おこし協力隊に応募されたそう。
すでに津田町に引っ越しが完了し、思い立ったらすぐに海に行ける環境を満喫しているのだとか。
香川には芸術鑑賞やうどんを食べに何度か訪れたことはあったものの、津田町に来たのは協力隊希望者向けフィールドワークが初めてだったそう。
(津田地区地域おこし協力隊 折口洋一さん)
「初めて津田に来て、海が想像以上に綺麗なことに驚きました。
既にまちの魅力に取り憑かれつつあります。
活動をフォローしてくださる『さぬき市津田地区まちづくり協議会』の皆さんもいい方ばかりですし、
この場所で小さい事業者が増えているのを聞いてとてもワクワクしました。
もともとサラリーマンとして働いていた自分がこの場所で精一杯できることをやっていきたいです。」
7月11日(月)にはさぬき市役所で委嘱状交付式が行われ、大山茂樹市長からも応援のメッセージが。
(さぬき市 大山茂樹市長)
「昔からある良いものを使い、とことん追求して新しいことにつなげていくことが大事になってきていると感じています。
折口さんも肩に力を入れすぎず、新しい形を作りながら古くからあるものも評価していく活動を期待しています。」
(写真:「カフェゆるりと。」安芸さん)
折口さんが経営を務める予定のピザ店は来年2月ごろ津田ふるさと海岸沿いにオープン。
昨年漁師をリタイアされた方の倉庫をリノベーションし、10席程度のお店を作ります。
一級建築士の資格を持つ折口さん自ら店舗改装に携わりながら、津田町「カフェゆるりと。」オーナーの安芸さんから指導を受けてピザ作りの腕を磨きます。
実は飲食店で働いた経験がない折口さんへ、師匠となる安芸さんの期待度は?
(「カフェゆるりと。」オーナー安芸さん)
「飲食店を長年やってきたけれど、こういう事例は初めてなので自分も手探りになると思います。
思わぬ課題も随所に出てくると思いますが、せっかくの機会。
折口さんにはサラリーマンとは違う飲食店ならではの気楽さも楽しんでもらいつつトライしてもらえたらと思っています。」
訪れる側として気になるのはピザのメニュー!
メインメニューは地元の魚介を使い、地元の薪で火を起こす石窯で焼き上げるピザ。
石窯を使う理由は薪の調達と同時に地元の山林管理が行えることと、山とつながっている海を自然の力で育てたいという気持ちから。
さらに使用後の灰も津田ふるさと海岸沿いにある天然藍染工房「キマイラ」さんの藍に使えるとあって、自然循環型の仕組みが整っています。
(写真:讃岐朝市で地元のみなさんと寛ぐ折口さん)
店舗のオープン後には地域の人はもちろん、外からやってくる人の拠点としてエリアを盛り上げる活躍が期待されています。
今後折口さんを中心に、『ピザ+α』で盛り上がっていく津田町に注目です!!
いま地域おこし協力隊の民間受け入れが増えている?
今回の地域おこし協力隊にはこれまでのさぬき市にはなかった大きな特徴があります。
それが民間団体が市から委託を受けて協力隊員を全面バックアップすること。
折口さんを受け入れる「一般社団法人 さぬき市津田地区まちづくり協議会」は地元の店舗・宿泊施設・レジャー施設を運営する達人たちの集まりで、日々津田地区の空き家活性化や長期まちづくり計画に向けて議論している団体。
地元の人とのつながりも作ってくれるため、協力隊員は初めての土地でも就任時から安心して活動できます。
現在、協力隊の民間受け入れ例は増えているのだそう。
その理由として自治体が協力隊のバックアップをするには限界があるというのが挙げられています。
「地域おこし協力隊」の全国的定住率の平均は60%で、香川県は58%。
数字だけを見るとなかなか良いように思えますが、自治体別に見ていくとうまく定住につながっていないエリアも。
本来ならば地域の人たちが受け入れることで、まちが望む未来に繋がるのがこの取り組み。
さぬき市も今回は「一般社団法人 さぬき市津田地区まちづくり協議会」が市から委託を受けて受け入れを承諾し、結果地域の課題である「漁師さんの高齢化」「空き家活用」に必要な人材・体制が完成しました。
「地域おこし協力隊」として活動する人たちの不安を解消する津田町の取り組みが、今度まちをどう変えていくのか?
期待して見守っていきましょう!
津田地区地域おこし協力隊
活動地域/さぬき市津田町
受入団体/一般社団法人さぬき市津田地区まちづくり協議会
活動内容/空き家を活用した店舗経営および地域コミュニティの形成補助
応募に関してはこちら→ https://www.city.sanuki.kagawa.jp/103966(さぬき市HP)
一般社団法人さぬき市津田地区まちづくり協議会ホームページ http://sanuki-tsuda.jp