2022年08月15日

夏休みにいかが? さぬき市出身の平尾隆之監督が手がけたポンポさんをみんなで観よう!@津田

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夏休みはおうちで映画を楽しもうと考えている方も多いはず。

もしアニメが観たくなったら『映画大好きポンポさん』という作品はいかが?

2021年公開、さぬき市津田町出身の平尾隆之監督が手がけた作品

海外のアニメ映画祭や映画賞でも話題になり、現在も中国での原画展やイギリスでの上映が行われています。

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平尾隆之監督がこの作品を通して描きたかったものとは一体何か?

今年6月に行われた「源内音楽ホール」での凱旋上映会から

『映画大好きポンポさん』の見どころをご紹介します!



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映画を愛する人たちが映画を作りながら、より熱くなっていく。

そんな風景を描いた2021年6月公開の話題作『映画大好きポンポさん』。

原作は「このマンガがすごい!」「マンガ大賞」に入賞し、pixivでも80万ビューを超えた杉谷庄吾【人間プラモ】さんのマンガ。

この映画の脚本と監督を担当したのが、さぬき市津田町出身の平尾隆之監督です。

平尾監督はマッドハウス、ufotable等の制作会社を経て、現在はフリーで活躍中。

これまでに「劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋」「GOD EATER」などを手がけられています。


『映画大好きポンポさん』はキャラクターデザインに『ソードアート・オンライン』シリーズの足立慎吾さん、アニメーションに『この世界の片隅に』チームの制作会社CLAPが関わったこともあり、アニメファンの中でも話題に。

口コミの力も加わって、公開後2ヶ月で観客動員数10万人以上を記録し、興行収入も1億6000万円を突破した作品となりました。

さらにアニメ界のアカデミー賞と言われる第49回アニー賞の最優秀長編インディ映画賞にもノミネート。

現在ではイギリスでの上映会、中国での原画展も行われており、世界からも愛される作品となっています。


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そんな『映画大好きポンポさん』の上映会が今年6月5日(日)、さぬき市の源内音楽ホールにて開催されました。

きっかけは地元で開催されている「キッズアートプロジェクト」のキャリア教育ゲストとして、主催の白川さんが7年前から企画。

コロナ禍で延びに延びたこのイベントが今年6月に凱旋上映という形で実現しました。

当日は平尾隆之監督の舞台挨拶も行われ、上映後の質問コーナーではファンからの熱いメッセージもたくさん登場しました。

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上映会を主催された白川さんは、実は平尾監督の小学校2年〜6年の音楽の先生!

恩師とのトークセッションではアニメに関わる仕事についたきっかけや『映画大好きポンポ』さんの見どころが語られました。


■平尾監督がアニメーションの世界に入ったきっかけは?

(平尾隆之監督)

「兄も漫画やアニメが好きで、その影響で見始めたのもありますが…

 当時放送されていたアニメ『ふしぎの海のナディア』がとても楽しくて、とても勇気や元気をもらえたことがひとつ。

 あと友だちの中にアニメに詳しい子がひとりいて、唯一アニメの話で盛り上がれる時間があったことも嬉しかったです。

 ナディアに関してはアニメの主人公ってそれまでかっこいい男の子が多かったんですよね。

 でもナディアの主人公は眼鏡をかけた少しなよっとした子で、そんな子が頑張って冒険していく話で…

 自分自身が吃音だったり、人と違う=マイノリティであることにコンプレックスを抱いていたことをナディアの主人公と重ねあわせたことで救われた部分がありました。

 さらに絵が動くということへの驚きや喜びがありました。

 本来絵は動かないもの。それに命が宿って動く。膨大な人の気持ちの果てに作られていくアニメーションに非常に魅力を感じました。」


■『映画大好きポンポさん』の見どころは?

(平尾隆之監督)

「ポンポさんはハリウッドならぬニャリウッドという街が舞台になっていて、そこで映画を作っていくお話なんですけど、

 映画に憧れた主人公たちが無事に作品を作り切れるのか、という話になっています。

 その中で夢を持つ大切さや、自分がなぜこの仕事をしているのかという原点に戻る姿が描かれています。

 主人公のジーンくんは普段の生活では全然パッとしない、何も取り柄のない子。

 だけど映画のことになるとすごい才能を発揮していく。

 そんな子が映画にのめり込んでいくのは自分の中でも共感できるところです。」


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そして上映後は制作プロデューサーの松尾亮一郎さんも一緒に舞台に登場!

上映後の感想や平尾監督の作品の特徴について詳しくお話ししてくださいました。


(平尾隆之監督)

「3年ぶりくらいの帰省ですが、地元でポンポさんを上映していただけることで帰省できたのがとても嬉しいです。

 最初は気恥ずかしい思いもありましたが、来ていただいた皆さんのお顔やここに来るまでの懐かしい風景を見て、自分が生まれ育った街で映画を上映できるのは嬉しいものだと思いました。

 上映中のポンポさんを眺めながら、キャラクターが言っていることと、自分が地元でアニメーションをやりたいと思っていた頃のことが風景と相まって感慨深かったです。

 地元のみんなも駐車場整理で手伝ってくれたりしてましたし、みんな変わっていなかったのも嬉しくて。

 また地元の友だちが自分の作品を見てくれたことが、自分がこれまでやってきた人生を見てもらった感じがして、やっと伝えられたなと嬉しくなりました。」



松尾プロデューサーに聞く「平尾監督らしさ」とは

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『映画大好きポンポさん』の完成に欠かせない方なのが、舞台挨拶にも登場してくださった制作プロデューサーの松尾亮一郎さん。

平尾監督とはマッドハウス時代の同期で、苦しい時期を乗り越えて夢を語り合った仲間でもあります。

実際に一緒に作品を作り始めたのは平尾監督が別の事務所に移ってから。

その後も一緒に何か作りたいね、と話をしていたところ、ポンポさんの制作が決まり、平尾監督から松尾プロデューサーのところで作りたいと打診があったからなのだそう。

長いお付き合いでもある松尾プロデューサーに平尾監督についてお聞きしてみました!


■松尾さんから見た平尾監督の作品のカラー(個性・特徴)を教えていただけますか?


(『映画大好きポンポさん』制作プロデューサー/株式会社CLAP 代表取締役 松尾亮一郎さん)

「平尾監督作品のカラーといえば、絵的にはスプリットスクリーン(画面を大きく分割するレイアウト)、スローモーションなどを使用したスタイリッシュな演出と緻密な画面作りですね。

 あとストーリー的には『マイノリティがマジョリティに一矢報いる』というテーマを軸にした作りです。

 音楽、効果音にもこだわりがあるため音響監督も兼任しています。

 これだけ聞くとポンポさんに限った特徴のように聞こえますが、それ以外の作品にも当てはまります。

 ぜひこの機会に平尾監督の過去作品もご覧いただけたらと思います。」


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(写真左から:平尾隆之監督・松尾亮一郎制作プロデューサー)

■トークショーで印象的だったのが松尾プロデューサーの一言、

『原作の漫画を読んだときにどう映画にするのかを平尾監督に聞いてみたんです。

 そしたら構成を見せてくれて、これならポンポさんの世界にもなるし、平尾監督の作品になると思った』。

ポンポさんにおける平尾監督らしさとは、どんなところに表れているのでしょう?


A:(『映画大好きポンポさん』プロデューサー/株式会社CLAP 代表取締役 松尾亮一郎さん)

「それは構成案の時点で単なる「映画大好きポンポさん」の劇場アニメ化ではなく

 『平尾隆之の「映画大好きポンポさん」』になっていたからです。

  構成案には平尾監督が描きたいテーマ(マイノリティがマジョリティに一矢報いる)と、

 原作では描かれていない、ポンポさんという映画製作の映画を一般の人に届けやすくするための動線、

 (クリエイターではないけれど作品制作を応援するアランくん)も描かれていました。

  またそのドラマは平尾監督自身の境遇とも重なる部分もあって

 構成を読んだときに、これは新生・平尾隆之の決意表明であり、リベンジにもなっているなとも思いました。」




夢を追いかけるひとたちへ。平尾監督からのメッセージ

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今回の上映会には平尾監督が生まれ育ったさぬき市津田町のお友だちのみなさんも大集合!

みんな保育園や小学校1年生頃からのお付き合い。

津田港近くにあった友人の家が溜まり場となり、夏になればその場で泳ぎ、寒くなったら焚き火をし、ゲームをして遊んだという思い出があるそう。

今回の上映会に参加したお子さんからは、「こんなすごい映画を作る人は東京の人ばかりだと思っていた! 香川で生まれた人がこんな映画を作れるんだってびっくりした!」という感想も。

それに対して「そんなに香川悪いとこじゃないと思うけど」と笑いながら答える平尾監督の姿がありました。


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(平尾隆之監督)

「田舎から出てきてモノづくりに励む方が大半なのが東京。

 その人たちが出てきた場所の特色が原風景として残っていて、それが東京では見られなかったり体験できなかったりするものだったりする。

 だから香川にいると作れないってものでもないと思います。笑

 でも自分も津田町にいた頃、なかなか自分が作りたいものがここで作れるかどうかとずっと思っていて。
 どうしても若い頃は視野が狭くて、それを広げる機会になればいいなと今日は思いました。

 僕が子どもの頃はアニメーションが好きだなんて、と言われる時代だった。

 それが田舎であれば、ちょっと人と違う夢や憧れを持っていることで奇異な目でも見られたり。

 そこを曲げずに追求し続けることは恥ずかしいことでもないし、誇っていいもの。

 それを今日見せることができたのならとても嬉しいです。


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平尾隆之監督はすでに次の新作の準備に取り掛かっているとのこと。

アニメ映画の制作には膨大な時間が必要となるため、次の作品に出会えるのは2・3年後。

その頃また、さぬき市に作品と共に帰ってきてくださることを夢見つつ…


現在も世界で人気上昇中の『映画大好きポンポさん』を何度も観て楽しんでみてはいかがでしょうか?

作品の中には2・3度繰り返し観ないと気づかない細かい演出もたくさん!

90分きっちりに収められた、キラキラ輝く夢のストーリーをこの夏休み中に楽しんでみてくださいね。




『映画大好きポンポさん』上映会 ※終了
開催日時/2022年6月5日(日)13:00〜
会場/源内音楽ホール(旧志度音楽ホール)

『映画大好きポンポさん』

posted by sanuki-asobinin at 20:01| 香川 ☁| Comment(0) | レジャー・アート・写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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