さぬき市鴨庄に築90年のお屋敷をリノベーションした
古民家貸別荘「清風庵」が誕生しました。
築90年の母家を思い切って改装し、1日1組限定の民泊として稼働予定。
この家に元々あった建具をできるだけ生かし、新しいのに以前からここに息づいていたかのような雰囲気を作り出しています。
10月に開催された見学会では、古き良きものを次の世代へ引き継ぐためのアイデアとこの場所ならではの心地よさに驚きました。
そんな古民家貸別荘「清風庵」の空間をご紹介します。
「貸別荘 清風庵」があるのはさぬき市鴨庄、新開漁港近く。
大串半島に向かう道の途中、野菜畑が広がる風景の中にその建物はあります。
「清風庵」というのはもともとこの場所にあった屋号とのこと。
この地域に古くからいらっしゃる松岡さんご一族の屋号の一つであり、ここが本家だったそう。
10年前までは実際に法事などで使用されていたのだとか。
4年前には兵庫県の木幡和徳さん・美鈴さんご夫妻がこの物件を気に入って購入。
現在はご夫妻ともさぬき市に移住されて、ここで過ごされています。
約300坪の敷地の中には畑・お庭・母家・離れがあり、木幡さんは離れに住みながら庭の手入れや畑仕事をしています。
そんな中、持て余していたのが築90年の母家。
思い切ってこの場所を人をおもてなしする『民泊』として活用しようと、古民家リノベーション見学会で出会った「UTSUMIoriental」さんに工事・設計・施工をオーダー。
昨年12月から半年かけて大掛かりな工事が行われました。
10月には一般の方にプレオープン見学会が開催され、200名を超えるが見学に来られたそう。
その際に見せていただいた「貸別荘 清風庵」の中をちらっとご紹介します!

「貸別荘 清風庵」のリノベーションはほぼ中の部分のみ行われました。
お庭を眺めながら母屋へ入ると、板の間の広縁をあえて壊して作られた土間がお目見え。
テーブルと椅子が置かれ、ここでちょっとしたお茶ができるようになっています。
入り口の扉もステンドグラス風の欄間ガラスでとってもレトロ。
土間の隣は、うどん作りの修行を重ねた木幡さんのご主人が行ううどん打ち体験用の厨房が。
その扉の取手には中国の月餅の菓子木型を活用した味のあるものが使われています。
菓子木型もこんなふうに活用できるとは!
エントランスの土間からリビング・寝室に向かって伸びる廊下は開放的なサンルームになっています。
目の前にある立派なお庭を見てもらうために和室だった場所を解体して作られました。
窓からは暖かい光がたくさん入ってきます。
思い切って床をタイル張りにしていたり、部屋の柱をあえて取り除かず残しているのも古民家リノベーションならではのアイデア。
立派な日本庭園は木幡さんのご主人が手入れを欠かさないそう。
とても静かでいつまでも眺めていられる風景です。
縁側からリビングダイニングに上がる境目には大きな段差が。
ここに腰掛けて談笑するのもアリです。
リビングダイニングの床はスプーンで彫ったようななぐり加工のものが使用されています。
温かみのある色合いですが、実際に床暖房が入っているので冬でも足元からぽかぽか♪
こちらはダイニングキッチン。
L字でシンクも作業台も広く、冷蔵庫もIHコンロも完備です。
シンク前に立つと視界いっぱいにお庭が広がります。
キッチンのすぐ横には長時間座っていても疲れない椅子とテーブル。
温かい料理をすぐ運んで食べられます。
リビングにはお茶を淹れてゆっくり過ごせるソファも。
ここからもお庭が一望できます。
サンルーム越しにたっぷり入ってくる自然光が心地よく、ソファに座るとお昼寝したくなりそう。笑
さらにリビングダイニングは吹き抜けになっていて解放感たっぷり。
見上げるとダイナミックに張り巡らされた梁が。
よ〜く眺めてみると…
墨書きされた梁を発見!
綺麗に掃除し、艶出しして柱も塗り替えてよく見えるようにしてあるのだそう。
吹き抜けの広い物件に思えますが、もともとこの部屋は一般的な和室だったそうで…
ビフォーの写真を見せていただいてびっくり!
思い切って天井も広く開けてみると雰囲気がガラッと変わるのを実感しました。
個人的に一番のお気に入りはこちらの障子紙。
京都の木版画の唐紙障子紙を使用しています。
鹿や鳳凰がいるのがなんとも京都らしい!
単体だと派手に感じますが、しっくりと部屋に馴染んでいるのが面白いところです。
リビングとサンルームを仕切る窓はもともとこの家にあった古い建具を再利用。
ガラスも1枚ずつ外して塗り直すなどのこだわりが詰まっています。
そこまでして有るものを活用する理由は『もともとこの場所にあったものは、この家に馴染むから。』
ここにあったものをできるだけ生かしてリノベーションする。
そんなUTSUMIorientalさんの心意気に感動しました。
こちらは寝室。
手前の前寝室からもお庭がよく眺められます。
寝室の欄間もこの家にあったものをそのまま残しています。
寝室の奥にもお庭が!
どこを向いても緑がたくさんあって和みます。
この縁側で将棋やお茶を飲むのも楽しそう。
寝室の奥にも廊下があり、お手洗いやお風呂があります。
御影石の洗面台に檜のお風呂。
お風呂場の壁はキラキラ光る天然石を庵治の石職人さんに貼ってもらったそう。
美しいだけでなく浴室暖房などの機能も備わっていて、民泊としての過ごしやすさもバッチリです。
工事・設計・施工を担当されたUTSUMIorientalの片岡さんにお話をお聞きしてみると
「最初にこの建物を見学した時、欄間や建具の1つ1つからこだわりを感じました。
それを変えすぎず、もともとこの母家が持つ品の良い雰囲気を残すようにリノベーションしてみました。
もともとこのお家で過ごされていた松岡さんやそのご親戚の方も見にきてくださり、歴史ある家に関われたことを嬉しく思います。」
見学させていただき、どの場所に腰を下ろしても視界には緑があり、ゆったりとお茶を飲んだり本を読んだりして過ごしたいと感じました。
今後、民泊として多くの方に愛される風景がこれから見られるのも楽しみです。

清風庵のオーナーをされている木幡さんは兵庫県出身の香川県大好きファミリー。
お子さんが小さい頃にはレオマワールドやうどんを食べに年に2・3回香川県に遊びにきていたほど。
ご夫妻ともに小中学校の教員として時間や仕事に追われながら過ごしてきたそうですが、退職後のこれからはもっと人に触れ合いたいと、さぬき市で見つけたこのお屋敷での民泊を思いつきました。
(木幡さん)
「ここは敷地に畑があるのも魅力で、庭のお手入れや畑を触るのは全て初めての体験です。
学校ではよく植物や花の観察をしていたのに。笑
ここは海が近いのも山が近いのも魅力ですよね。」
毎日の畑や花の変化に感動しながら新しい野菜を育て、庭をお手入れし、お客さんに自慢のうどんを振る舞い楽しむ木幡さんご夫妻。
UTSUMIorientalさんにより完成した「貸別荘 清風庵」にはご主人がお客さんと共に楽しむうどん打ち体験の厨房も完成。
民泊を通じての新しい出会いがとても楽しみ、とのことです。
「貸別荘 清風庵」は古民家民泊として稼働準備中。
気になる方は木幡さんご夫妻までお問合せしてみてくださいね。
貸別荘 清風庵
場所/香川県さぬき市鴨庄672-2
お問い合わせ先/090-8536-3131