2023年05月15日

いざアートの冒険旅行へ! 企画展『ヒメとゲナン』レポート@大川

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さぬき市大川町の一棟貸しの宿&レンタルスペース「はちどり」。

5月12日〜14日(日)に開催されていた冒険型企画展

『ヒメとゲナン』に行ってきました。

鑑賞料は冒険料とし、鑑賞する方には「スズとたいまつ」付き?!

そしてタイトルの「ヒメ」と「ゲナン」とは?

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入る前から謎がいっぱい、中に入れば予想以上のワクワクだらけ。

そんな企画展『ヒメとゲナン』をレポートします。



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のどかな山並みが囲む大川町に完成した築100年の古民家を再生スポット「はちどり」。

家を建てる達人が思うがままに古民家をリノベーションした遊び心溢れる場所で、2021年冬頃からギャラリーやレンタルスペースとして稼働しています。



そんな「はちどり」で新しいアート企画展『ヒメとゲナン』が開催されました。

県内外の作家さんの作品や出店者さんが集まるとのことで「はちどり」の新しい表情が楽しめそうな予感。

早速初日の5月12日に足を運んでみると…

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母屋前の駐車場スペースにはフードテントが!


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こちらは徳島から来られた「てんトまる」さん。

国産小麦など厳選した材料を使った焼き菓子が並びます。

紫色のじゃがいもを使ったケークサレは断面が綺麗!

自然の野菜の美しさを改めて教えていただきました。


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お隣は鳴門市、海の見える国道11号沿いにある「AO」さん。

ドリンクや焼き菓子が美味しそう!

この日は日差しも照りつけ暑い日になったので、レモンスカッシュを飲んでいるひとをたくさん見かけました。


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さあ、いよいよ中へ入ります。

エントランスの木の廊下には木漏れ日が差し込んで気持ちがいい道に〜♪


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中に入ると、打って変わってひんやりとした土間のスペース。

その奥に受付があるので、ここで冒険料2500円をお支払いします。

すると…


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手のひらサイズ、渋めのおじさまの陶器がずらり登場。

企画展を主催された東かがわ市五名在住の陶芸家であり芸(術)人 及川みのるさんのお手製で、表情も色もさまざま。

「お好きなものをお選びください」と言われ、どれにしよう?と本気で悩みます。


手に持ってみると「カラカラカラ」という音が!

実はこれが「スズ」という今回の冒険アイテムのひとつ。

その使い方がわかるのはもう少し後でした。笑


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いただいた冒険マップに「スズ」と同じお顔の方を発見!

どうやら紙芝居で参加されるヨコたんさんがモデルになっている様子。

ぜひご本人にお会いしたい…!!


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ちなみに受付にいらっしゃったのは今回の企画展で作家さんが着る服をプロデュースした「カーフキッス」というユニットのおふたり。

保多織デザイナーの「ツムギ」さんと日常着ブランド「Osode」さんがコラボし、全ての衣装をデザイン・縫製されています。

色合いもパターンもシンプルに見えるけれど、どこか印象的で「はちどり」の雰囲気に似合っていました。



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と同時に、受付でいただいたのが「名札」。

こちらもお好きなものをと言っていただき、こちらを選ばせていただきました。

「唇つや子」、なんてセクシー。

海にちなんだ名前もたくさんあり、どれもクスッと笑ってしまうものばかり。


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この札は土間から鑑賞スペースへ靴を脱ぐ際に使います。

その際に…


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(ゲナンに徹する漆工芸家の中村真さん)

どこからともなくサササと来られた粋な男性。

無言で札を靴に置いてくださったり、出るときに札を見て靴を出してくださったり。


この男性たちは参加アーティストさんであり、実は企画展タイトルにある「ゲナン」役。

主催の及川さんが、参加されている男性作家さんは会期中全員「ゲナン」に徹し、人前に出て会話をすることは許されないというルールを作られたのだそう!


では「ヒメ」はどちらに??

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「はちどり」の屋内展示スペースへと進めば謎が解けるかも?

カラカラと「スズ」を鳴らしながら進みます。


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母屋には余白を美しく感じる距離感で多くの作家さんの作品が展示されています。

作品がないときには木の温もりを感じるお部屋でしたが、アートが介入すると過ごしたくなる場所が変わってきます。


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例えばお庭を眺める窓際には一列に小さな作品たちが。

逆光の影を楽しみながらお庭に向かって座る方がたくさんいらっしゃいました。


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とここで、さぬき市寒川町出身の芸術家 千田豊実さんを発見!!

しかし「千田さ〜〜ん!」と話かけても無言…

嫌われたのかしら…と悲しくなっていると、千田さんが「スズ」を静かに指さします。


受付でもらった「スズ」を鳴らすと…

千田さんとの会話がスタート!


これも及川みのるさんが作った「ヒメとゲナン」ルールのひとつ。

女性作家さんは会期中「ヒメ」となり、鑑賞者は「スズ」を鳴らすことで作家さんとお話することができる、というもの。

人見知りだったり静かに展示・鑑賞したい作家さんやお客さんにとっては嬉しいルールであり、そうでない方には冒険心をくすぐるちょっとしたスパイスに。

「スズ」というアイテムでクリアできるものがある、というのがRPGのようで非常に楽しい♪


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さて、千田さんの作品は今回合計11点。

うち8点は最近描かれたという新作「花の音」シリーズで、キャンバスにアクリル絵の具で描いたり、阿波和紙に水彩絵の具で描いたりと色んなパターンがあります。

花から聞こえてきそうな音をイメージして抽象絵画として抽出してみたら…という作品で、もとの形は留めていなくとも、その花が持つやわらかさや温かさが伝わってくるようでした。


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千田豊実さんのアクリル絵の具版「花の音」と、陶芸家 森悠紀子さんのコラボスペースは個人的にお気に入り。

森さんご自身が何度も調合して作り上げた青色の釉薬「森ブルー」。

その色を纏った作品たちがならぶ空間はやさしい海のようで、止まっているのに揺らいでいるような心地よさ。

大川町の山の中にいるのに海にいるような気分になります。


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中には取手の部分を森さんのお友だち作家さんに作ってもらったというコラボ作品もありました。

思わず欲しくなる作品も続々と見つかります。



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そんな森さんと千田さんの作品の間を飛び交うのが、「ゲナン」役でお会いした漆工芸家の中村真さんの「ベランダのつばめ」という作品。

乾漆技法という漆で麻布を何枚も塗り重ねて作る手法で製作。

どこか身近なつばめとは体つきや色合いが違うのは、つばめ好きの中村さんが海外で観察したつばめのフォルムも生きているから。

部屋の中を歌うように7羽のつばめが飛んでいました。


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さて母屋から渡り廊下を渡って離れの展示スペースにも行ってみましょう!

その途中に秘密の扉を発見!!!


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中は「シマトネリコ」さんの出張カクテルバー。

ちょっぴり覗かせてもらいましたが、見知らぬまちの酒場に入り込んだような雰囲気で、カウンターの向こうには蝶の仮面をつけた方が…

お子さんむけ対象のノンアルコールカクテルつくり体験もできたようです。


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中が気になってドアを開ける方も続出。

これぞ冒険タイム…!


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気になるバーを横目に冒険再開!

地図(会場マップ)によると、離れは「あずきの島」と命名され、ここには「伝説のイス」が!!


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早速「伝説のイス」発見!!!

すでに座ってる人がいますが、なんとも座りにくそう…?!


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それもそのはず、美しい和紙貼りの部屋に展示されるとイスには見えません。

勇気を出して座ってみると、ちょっぴりお尻が痛いかも?と笑いが出てしまう伝説のイスなのでした。


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さて、離れが「あずきの島」と命名されたのは、小豆島出身・在住の鋳金作家 柴田早穂さんの作品が展示されているから。

ブロンズや真鍮を溶かして鋳型に流し込む「鋳金(ちゅうきん)」という技術。

それを使って作られていたのは、小豆島に移住してきたお友だち「みさきちゃん」と飼い猫「ゆず」のストーリー。


小豆島で最も標高の高い山「星ヶ城」でほんの数時間だけ積もった雪で、お友だちのネコをモチーフに雪だるまを作った柴田さん。

ヒノキの葉・枝・種子をくっつけた目や髭が、雪解けとともに地面に落ちて自然に帰っていく様子を真鍮で表現。

また、「みさきちゃんとゆず」のストーリーを小さな彫刻や映像作品でも展示。

離れではほのかに心が温かくなる出会いがありました。


さて母屋に帰って、まだ冒険していない場所を地図で確認。

そういえば今回の冒険には「スズ」のほかに「たいまつ」というアイテムがあったはず。

その場所を聞いてみると…

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ありました!!!

普段「はちどり」の寝室として使われている土の間で「たいまつ」を発見!!


ここは「うるしダンジョン」。

ヒメから「たいまつ」を手渡され、真っ暗な空間を隅々まで照らしてみると…


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金継ぎの作品を見つけました!

お宝物だ〜〜〜!!!


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この「うるしダンジョン」では、漆・金継ぎ作家 漆原早奈恵さんの作品を江戸時代の鑑賞方法で楽しむ場所。

蝋燭の灯りで照らすと陰影の美しさや電灯の下では見えてこなかった味わい深さがよくわかります。

中にはファスナーをあしらった作品や、小さな春画の器の修復を兼ねてモザイク・花・葉を描いて隠すなどの遊び心あふれる作品も。

器の修復という視点でしか金継ぎを見ていなかっただけに、宝物以上の新しい発見がありました。


さらに屋外にも冒険場所がまだありましたーーー!!

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こちらのお部屋は「ハミコン室」。

ハミコンとは一体…!?


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あっ、これはもしや…

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ハミコン…ハアミコン…ファミコン

ファミコンだ〜〜〜!!!

頭のコントローラーがとっても懐かしい!

高橋名人ばりに連打した思い出が蘇ります。


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このお部屋は「ヒメとゲナン」を企画された及川みのるさんの作品部屋。

人をテーマに作陶されている及川さんは現在『100体の大きな姫たち』を製作中。

そばにいた「唇つや子」さんも及川さんおなじみの作品でファンにはたまらない空間です。


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そのお向かいにあったのが「庭師の森」。

小さな納屋のような建物の中に…


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森の中を歩いているような空間ができあがっていました。

枝や葉の香りがとても甘く、体が軽くなっていくような気持ちよさ。

三木町の庭師 森口和也さんが手がけたお部屋で、森で伐採して不要となった木材や剪定後のいらなくなった枝をあしらっています。

もともとこの部屋には自然の素材が一切なかったというのが嘘のよう。

まるで最初からここに生えていたかのような木々の姿に驚きました。


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お部屋の窓からはちょっとした作品も見ることができましたよ〜♪


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「はちどり」をフィールドに見立てた企画展『ヒメとゲナン』。

すべての冒険を終えた後は久しぶりに胸がいっぱいになるような気持ちに。


見たことのない物や新しい人と出会う時は、少し躊躇したり拒否反応が出たりする時もありますが…

今回は「スズ」や「たいまつ」といった冒険アイテムがあったことで一歩踏みこんで楽しんでしまいました!


もう一度冒険に出てみたくなる、そんな企画展。

次回開催される際は、ぜひあなたも注目してみてくださいね。





企画展「ヒメとゲナン」
開催日時/2023年5月12日(金)〜14(日)12:00〜17:00(最終日16:00まで)
会場/はちどり(香川県さぬき市大川町田面256)
冒険料 / 2500円(スズ・たいまつ付) ※高校生以下無料
参加作家/
千田豊美(絵画) 
山下真守美(鋳金)
冨本七絵(絵画)
森悠紀子(陶)
田浦聡江(木工、漆)
きたのまりこ(ジュエリー)
野村佳代(対話と絵)
漆原早奈恵(漆、金継ぎ)
片山亜紀(陶)
カーフキッス(服、コーディネート)
柴田早穂(鋳金、ワークショップ)
梶浦聖子(鋳金、共同制作)
中村真(漆、ゲナン)
Tomokaze(友情出演、丁稚)
及川みのる(企画構成、陶、ゲナン)
●出店
シマトリネコ(出張カクテルバー、ノンアル、あて ※お子さま向け有)
ミニマル農園(卵、軽食)
AO(軽食、飲みもの)
てんトまる(軽食、飲みもの)
ヨコたん(会話のスズモデル、紙芝居)

⁡はちどり
場所/香川県さぬき市大川町田面256
お問い合わせ先/080-3921-3506



posted by sanuki-asobinin at 08:46| 香川 ☔| Comment(1) | レジャー・アート・写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは はじめまして ゲナンA及川と申します。記事読ませて頂いてもうほんと感動させて頂きました。とてもわかりやすく、親切、丁寧...何よりご本人さまが楽しんでくださっている様子がすごく伝わって来ました。ご挨拶も、説明もできずにすみませんでした。ですが作品が独り立ち?してお嫁に行くように、この企画も自分の足で歩いて行くようにたくましくなっていった 拝読させてもらいながらそんな感じがしておりました。改めて本当にありがとうございました!
Posted by ゲナンA at 2023年05月16日 19:37
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