田植えシーズンもそろそろ後半のさぬき市。
山深い場所に足を運べば、美しい棚田に出会うこともできます。
そんな中、昨年はさぬき市大川町の2つの棚田が
「さぬきの棚田20選」に選ばれました。
そのひとつ「森行の棚田」の見学に行ってきました!
遠くから眺めたことしかなかった棚田ですが、その畔に立ってみると新しい景色が見えてきました。
(写真はさぬき市前山譲波の棚田)
2022年2月、香川県で「さぬきの棚田アワード認定証授与式」が開催され、県内の優れた20の棚田が「さぬきの棚田20選」に認定されました。
『傾斜が20分の1でまとまりのある田畑』であり、『保全や地域振興のための活動を行っている』などの条件をクリアした、景観の美しい棚田たち。
香川県で有名なものといえば小豆島中山千枚田の棚田などがありますが…
実はさぬき市にも選ばれし棚田が2つあるんです!
それがさぬき市大川町の「森行の棚田」と「豊田の棚田」。
大川町田面地区をGoogleマップの航空写真で確認してみると、くっきりと区画が描かれた棚田がこの周辺に点在していることがわかります。
では実際にどんな風景が広がっているのか!?
「さぬきの棚田20選」に選ばれた、さぬき市大川町田面の「森行の棚田」へ行ってみましょう!!
ガイドをしてくださったのは、森行地区生まれ・育ちの多田さん(写真真ん中)。
そして棚田の情報を教えてくださった東かがわ市水主地区の農家 定住さんご夫妻(写真左・右)。
実は森行と水主は隣接したエリアで、「森行の棚田」に行く場合もさぬき市から東かがわ市水主を経由していきます。
ルートとしては、みろく自然公園沿いの県道10号から県道132号田面入野山線に入り、「うどんそらいけ」を通り過ぎてしばらく走り、水主コミュニティセンターよりも少し手前の脇道を西に入ると、森行地区へと行くことができます。
森行地区に行く交差点の地図はこちら→クリック!
山あいの中に集落のある森行地区。
視界いっぱいに緑が広がり、心がホッと落ち着く田舎ならではの景色です。
そしてあちこちにいろんな形・傾斜の棚田を発見!!
小さい区画のものから大きいものまで、種類も豊富!
まるで棚田のテーマパークや〜〜〜!笑
そんな棚田を横目に「森行の棚田」へ。
集落から山の上の方まで登り、途中車を停めて歩いていくことに。
木や草が元気に生えていますが、車が出入りした後があって人も通れる道ができています。
途中イノシシの罠も!
しばらく進むと視界が開けて、イノシシ除けの電磁柵越しに水を張った田んぼが!
この場所から見ると山の上にある水田という感じですが…
近づくと棚田の一番上であることがわかります。
砂防ダムに隣接した山の斜面に展開されていて、少しモヤがかかり幻想的。
取材時はまだ4月だったのでこの状態でしたが、その後コシヒカリの田植えが行われたようです。
田んぼの周囲は土がフカフカ!
そして中にはオタマジャクシがいっぱいいました!
この数の多さは久しぶりに見たかも〜〜!
「ここに立ってみたらいい眺めやで〜!」と定住さんが呼んでくださり、行ってみると…
おおおおお〜〜〜!!!
棚田のてっぺん、気持ちいい〜〜〜!!!
足元から段々と降りていく美しい田の形。
それに逆らって吹いてくる春の風。
周りからはたくさんの鳥の声とカジカガエルの鳴き声が。
春霞の中、高い山並みを気持ちよく眺められるこの場所をとても神秘的に感じました。
(森行地区の多田さん)
「私もこの年齢になって本格的に農業をやり始めて、今になってこんなに地元に棚田があるんだと実感しています。
特に森行の棚田は香川県の方も『ここは香川のマチュピチュや』って言ってくれたんですよ。」
なんとさぬき市にマチュピチュが!!
これはぜひ多くの方にご覧いただきたい風景です!
棚田を守るのは大変?
多田さんによると、さぬき市大川町田面の森行地区は昔から地形的に棚田が多く、山の斜面に小さい畑が混在しているそう。
そんな小さい区画を管理しやすく改良しているものもあります。
基本的に田んぼは持ち主の方が整備を行いますが、困ったときには地区のみんなで力を合わせて手伝うのだとか。
傾斜の厳しい田んぼの草刈りは足腰が強い若者がやるとしても結構大変そう。
美しい棚田を保存していく際、特に苦労するのは?とお聞きすると…
(森行地区の多田さん)
「この辺りは山が奥深くないから水量自体が少なくて水に困ってます。
特に渇水状態の時は厳しいですね。
普段は谷からの水を引いてパイプを通じて入れていますが、水が不足してる時は水を半分だけ入れて耕うんして…を繰り返すので苦労します。
また、高齢化も進んでいるので、田んぼを維持管理していくのにみなさんがどこまで頑張れるか。
1年1年、クリアしていけたらいいなと思います。」
いろんな問題を抱えつつも「さぬきの棚田20選」に選ばれたことで、この棚田を受け入れよう!と一致団結した森行地区のみなさん。
限界集落の中で何か活性化できるものがあればと思っていたこともあり、今回の認定は嬉しいニュースに。
(森行地区の多田さん)
「『さぬきの棚田20選』に選ばれた以上はみんなと協力し合いながら守っていきたいと思います。
みなさんもぜひ棚田を見に来てくれたら。
おすすめは春の田植えシーズンや秋冬の少し雪がある時期。
景色を通じて棚田の良さを味わってくれたらと思います。」
今回見せていただいたのは森行の有馬さんという方の田んぼ。
秋になるとみろく自然公園道向かいにある「みろくふれあい市場」に「森行の棚田米」としてお米が販売されるそう!
見て美しい、食べて美味しい棚田のお米。
水主のお米にも引けを取らないと多田さんもイチオシの「森行の棚田米」をぜひチェック!
すぐ近くにも見応えのある棚田が!
「森行の棚田」の周辺には「さぬきの棚田20選」に認定された棚田がたくさんあります。
その中の一つで、多田さんと定住さんも管理する田んぼがあるという東かがわ市の「笠松の棚田」も見に行ってみました!
森行地区の麦畑のてっぺんから…
視界いっぱいに広がる棚田が楽しめます!
これはまた特等席〜〜〜!!!
四角く整備された規模の大きな田んぼが段々に並んでいますよーー!!
1つの田んぼで50m走や球技ができそうなくらいの大きさ!
それが整然と美しく並んでいるだけでも感動します。
傾斜の厳しい場所の草刈りもしっかりされていて、地域の方の目が行き届いているのがよくわかりました。
「笠松の棚田」の場所はこちら→クリック!
棚田を間近に眺め、管理するみなさんのお話を聞き、未来へ繋げる難しさも感じた今回の取材。
この景色を見て、棚田を好きになってくれる人が増えることで、ひとつでも多くの棚田を残すことができるのではないかと思いました。
あなたもぜひさぬき市まで棚田を見に来てくださいね♪