映画の歴史と香川にまつわる映画の変遷を辿る特別展「映画のレシピ」が11月26日(日)まで高松市「香川県立ミュージアム」で開催されています。
中にはさぬき市に存在した映画館の貴重な資料も!!
市内にはいくつの映画館がどのエリアにあり、その時代にどんなふうに映画を楽しんでいたのか。
特別展「映画のレシピ」でさぬき市の映画館の歴史を覗いてみました!
特別展「映画のレシピ」は10月7日(土)からスタートした特別展。
歴史と地域の2つの視点から映画を捉えた企画展で、海外から入ってきた映画の歴史を振り返るとともに、香川県ではいつ頃からどんなふうに映画が楽しまれていたのかを知ることができます。
香川県立ミュージアムの学芸員 黛さんにご案内頂きながら2階の特別展示室へ。
さっそく大きなスクリーンを模したフォトスポットがお出迎え!
映画館気分で観覧スタート♪
展示は大きく2部に分けられており、まずは「映画受容の軌跡」と題して映画の原点となる『人とモノ』が紹介されています。
最初に目に入るのはA5サイズほどの小さな木製の箱「シネマトグラフ」。
フランスのリュミエール兄弟が1895年に発明した映画装置で、これ1台で撮影と映写ができていたと聞いてびっくり!
会場では実際に「シネマトグラフ」で撮影した映像を編集した映画『リュミエール』も見ることができます。
1895年にはフランス・パリで世界初のスクリーン上映が行われ、続いて日本でも1896年に映画の上映が初めて行われました。
1903年には東京・浅草に日本初の映画館が誕生。
当時の映画館は見せ物小屋を改築したものが多かったそうで、会場では各劇場で行われた興行のポスターやチラシが展示されています。
最古の日本映画と言われる1899年撮影の「紅葉狩」の映像も上映されており、初期のフィルムのアナログさ、また現代にそれが残っていることに感動!
さらにモノクロ・無声から、カラー化・トーキー化(音声入り)へと移り変わっていく様子や日本のアニメーションの歴史も映像とともに楽しめます。
香川にちなんだところでは香川出身の文学者 菊池寛原作の映画「受難華」「真珠夫人」「地獄門」のポスターやチラシなども展示。
彼の小説は100本以上映画化されたのだとか!
第2部では「香川県と映画」と題し、地域から見た映画文化に注目。
1897年に香川県高松市で初めて映画が上映されたのをきっかけに、1957年には県内に100館を超える映画館ができあがりました。
各地域の資料をもとに、県内各地の映画の歴史を振り返ります。
さぬき市の資料もあるかな〜♪と歩いていると…
早速発見しました!!
この帳面は大川郡神前村役場(現在のさぬき市寒川町神前)で保管されていた「興行届(こうぎょうとどけ)」というもの。
1935年2月に個人宅で、1939年8月に神前小学校で映画が上映されたことが記述されています。
こちらは「第日本職業別明細図之内 香川県」という約100年前の高松の地図。
メインの地図には高松市にあった映画館の場所が記されていますが…
左下には当時の長尾町の古地図が!!
長尾寺門前通りに精肉店・菓子店・郵便局・酒造場・呉服店などのかなり多くの商店があったこと、さらに映画館「旭座」が記されています!
いったいさぬき市にはいくつの映画館があったのか?
そう疑問に思っていると、いいところに「香川県の映画マップ」が!!
1965年(昭和40年)ごろまでにあった映画館を落とし込んでいます。
さぬき市にも映画館をたくさん発見!!
志度に「昭栄座」、津田に「浮世座」、長尾に「旭座」「第二旭座」、石田に「八千代座」、松尾(大川)に「王子座」、富田(大川)に「一楽館」を確認。
とくに「浮世座」「旭座」「一楽館」「王子座」「昭栄座」は戦前に芝居小屋だった建物が戦後映画館に変わった様子。
1965年以降になると相次いで閉館していったのだとか。
過去に大川町の方から『昔はこのまちにも映画館があってね』と話を聞いたことがありますが、これらの映画館があった場所を実際に巡ってみたいと思いました。
■かつて映画館があった場所はこの周辺!
「昭栄座」(志度)→ https://maps.app.goo.gl/kmrJvypFSCDfmuf57
「浮世座」(津田)→ https://maps.app.goo.gl/BSnNQWCkBUqcPumH6
「一楽館」(大川・富田)→ https://maps.app.goo.gl/daQzp1jEneT8VQEZ9
「王子座」(大川・田面)→ https://maps.app.goo.gl/6uVGWi49RMJaA2Eb9
「八千代座」(寒川・石田)→ https://maps.app.goo.gl/ivmRY33wEAasw9m19
次のフロアに向かうとかつての映画館の面影を残した貴重な資料が展示されています。
とくに東讃地域最後の映画館と言われる長尾の「旭座」の資料はたくさんありますので見応えあり!
こちらは長尾出身の小西和が揮毫した額を模したもの。
実物大とのことですが、かなりの大きさ!!
当時の映画館の中の様子も写真で残っています。
椅子が特殊!!
こちらは1989年(平成元年)6月4日に「旭座」が閉館した際の入場券。
「サヨナラ公演 記念入場券」と書かれており、おしゃれな2色刷り。
入場料は大人800円だったよう。
このほかにも「旭座」関連では劇場用35っmの映写機ヘッドやレンズも展示。
さぬき市内の資料では、鴨庄小学校で行われた「活動写真会案内状」や多和小学校で1985年にPTA主催で行われた子ども向け映画会のチケットなど、地域の方がかつて映画を楽しんだ日々を思い出せるものがたくさんありました。
特別展終了の11月26日までにぜひご覧になってみてはいかがでしょうか?
もっと楽しむ! 「映画のレシピ」展
映画・映画館の歴史を楽しんだあとは遊び心たっぷりのスポットへ!
館内には撮影OKのフォトスポットが用意されていますよ〜!!
また学芸員さん手書きのコマおくり漫画の原画も展示中!
また館内カフェでは特別展にあわせて懐かしメニューの「あげパン」「コロッケパン」などが食べられます♪
思い出に浸りながらいただきましょう♪
かつて映画館で過ごした日々を永遠に。
学芸員のみなさんがこの企画展のために気合十分に制作された特別展のパンフレットは永久保存版!
かなり詳しい解説が書かれており、さぬき市の資料も掲載されています。
ぜひお土産にいかがでしょうか?
より「映画」を深く楽しむ関連イベント
■ギャラリートーク(参加無料・要観覧券)
開催日時/11月12日(火)・25日(土)・26日(日)13:30〜(30分程度)
■学芸講座「映画館での火災をふせげ! 香川の映画館と防火の歴史」(参加無料)
開催日時/11月19日(日)13:30〜15:00
会場/地下1階研修室
講師/芝野有純学芸員
■菊池寛記念館との相互割引
特別展「映画のレシピ」と菊池館記念館のコレクション展「菊池寛と大映」の開催期間中(いずれも〜11月26日まで)、互いの観覧券半券提示で団体料金になります。
映画のレシピ
会期/2023年10月7日(土)〜11月26日(日)
開館時間/9:00〜17:00
会場/香川県立ミュージアム2階 特別展示室・常設展示室4・5(香川県高松市玉藻町5-5)
観覧料/一般800円(高校生以下・65歳以上・障害者手帳などをお持ちの方は観覧料無料)
お問い合わせ先/087-822-0002