さぬき市多和、矢筈山と女体山に囲まれた山深い場所にある「大窪寺」にやってきました。
標高450mだけあって12月になると日中でも底冷えする寒さ。
年に2・3度は雪が積もる日もあり、そんな時には家族連れが雪遊びに訪れるのだとか。
初詣スポットとしても人気で、お正月3が日だけでも2万人から2万5千人もの方がお参りに訪れます。
中には大晦日から待機し、ちょうど12時になるのを待ってお賽銭を入れる方も。
元日は10時ごろから混み始め、夕方にかけて人の列が絶えないそう。
参拝の後は門前のお店で打ち込みうどんをいただき、冷え切った体を温めて帰るのが「大窪寺」ならではの初詣です。
ちなみに大窪寺の正式名は「医王山 遍照光院 大窪寺」といい、医者の王様『医王山』は御本尊の薬師如来さんのことを著しています。
ということで、ここにお参りに来られる方の一番多い願い事は健康・病気平癒・厄除け。
また、四国遍路の結願寺ということもあって、若い人の中には縁結びを期待する方もいるようです。
そんな「大窪寺」、紅葉スポットとしても人気ですが、それ以外にも見どころが多いお寺。
参拝の順序に沿って、必見スポットを槙野恵純ご住職にお聞きしました。
紅葉でお馴染み「二天門」は歴史的建造物
参拝の順序は、門をくぐったのち手水で体を清めて本堂へ進みます。
「大窪寺」には駐車場からすぐの場所にある『仁王門』と、門前のお土産物店に面した『二天門』がありますが、どちらから入ってもOK!
とくに『二天門』はお寺の中でも最も古い建物で、江戸元禄年間のもの。
もともと鐘楼門だったそうで、門の下から見上げると鐘を吊り下げていた建具が見えるので注目を!
御本尊の薬師如来様に健康を願う
本堂には見どころが2つありますが、まずは御本尊の薬師如来様に注目!
実の御本尊様は秘仏なので見ることができないのですが、ガラス戸越しに少し小ぶりの写しの仏様をお参りできます。
「大窪寺」の薬師如来様はちょっと変わっていて、通常は薬を司ることから左手に薬壺を持っていますが、こちらは法螺貝を持っています。
お参りにくる方々の災難や厄をその法螺貝で吹き払ってしまうのだとか!!
なのでしっかりと健康への不安・悩み・厄払いをここで祓い落としてもらいましょう。
かつての遍路の姿を残す「イザリ車」に注目!
お参りが終われば天井を見上げてみてください。
年代物の提灯が並んでいる中に一風変わった荷車が。
これは「イザリ車」と言って、歩くことのできないお遍路さんがこれに乗って地面を手で漕いで進んでいたのだそう。
車の中には自分の着替え・寝袋・自炊する道具を積み移動していた様子。
そこまでしてでも巡りたかった四国遍路の旅。
楽しいことや嬉しい出会いもあるけれど、元々は修行の世界。
苦しいこともあったというのがよくわかる歴史の跡です。
大師堂の地下でさまざまな御本尊様に出会う
本堂のあとは大師堂へ向かいましょう。
四国遍路の札所には必ずある、弘法大師さんをお祀りした「大師堂」。
大抵は本堂の隣にありますが「大窪寺」は少し離れた藤棚の近くに配置されています。
その地下部分には…
四国霊場八十八ヶ所の霊地を巡ることができる「お砂踏み道場」があるんです!!
納経所で申し込みすると誰でも入ることができます。(8:00〜16:00/1月1日〜3日は閉館)
靴を脱いでお邪魔します〜!
とても広くて暖かい…! 外の喧騒を忘れるほどに静かです。
壁際には四国霊場八十八ヶ所の御本尊様がずらりと並んでいて、その前の床の下に各霊場の砂が入れ込んであります。
歩くと少し音の違う場所を踏みながら、各霊場の御本尊様の後ろに書かれてあるご真言(仏様の言葉を音に表したもの)を唱えてお参りしていきます。
驚いたのは、四国霊場だけでもこんなにさまざまな御本尊様がいらっしゃるのだということ!
涅槃のお釈迦様や千手観音様などもじっくりと見られる機会は貴重!
また、絨毯の上をぐるりと歩いていくだけなので天気も関係なく、足の悪い方でも簡単にお参りできるのがいいところです。
(「大窪寺」槙野恵純ご住職)
「『お砂踏み道場』はもともと四国八十八ヶ所をいろんな都合で巡れない方のための写しの霊場です。
そのお参りで同じくらいのご利益をいただけますので、ぜひここで体験していただきたいですね。」
さきほどよく見えなかった「大窪寺」の御本尊様もよーく拝むことができました♪
本当に左手に小さな法螺貝を持たれています!
お砂踏み道場の真ん中には般若心経を口伝してくださった際の弘法大師像も。
ん?普段見る姿と全然違う…手には剣を持っています。
これは知恵の神様 文殊菩薩が持っている剣だそうで、知恵の力で悩んでいることやそれにより出てくる煩悩を切り取る力があるのだそう。
地上には通常のお姿のお大師様がいらっしゃるのですが、地下には少し違った姿を見られるのでこちらにもご注目を。
壁には四国霊場八十八ヶ所のスケッチが飾られていて、巡ったことがない方もこれを見れば各札所の風景を想像できます。
さらに地下から大師堂の地上部分の見学をすることもでき、お大師様はもちろん、お大師様の生涯を描いた絵画も楽しめます。
お大師様の存在の大きさを感じることができる「大窪寺」の大師堂。
また、四国遍路はお大師様に会いにいく旅なのだなあと改めて実感。
そんな四国遍路、2024年は八十八番をスタートして逆に巡る4年に一度の『逆打ち』の年。
『逆打ち』は衛門三郎という昔の愛媛県の豪族のエピソードから、逆に巡礼すると弘法大師様に会えてご利益が倍になると言われているもの。
特上のご利益を得るために、あなたも来年の初詣を兼ねて四国遍路を始めてみませんか?
今年来年は弘法大師生誕1250年の年にも当たりますので、これを機に弘法大師様のお納経『大師納経(納経代300円)』を集めてみるのもおすすめ。
札所ごとに違った弘法大師様の呼び名を書いているので、その違いも楽しみながら集めてみましょう。
『大師納経』は各札所の納経所でお願いするといただけますよ♪
お遍路グッズは門前のお土産屋さんでも販売されています。
参拝の帰り、暖かい打ち込みうどんをいただいた後に覗いてみてくださいね。
「大窪寺」参拝で良い新年を迎えましょう♪
大窪寺
香川県さぬき市多和兼割96
駐車場/あり
お問い合わせ先/0879-56-2278
四国八十八箇所霊場会によるHP https://88shikokuhenro.jp/88ookuboji/