5月30日〜6月1日まで香川県東讃地域で開催されたオープンファクトリーイベント「CRASSO(クラッソ)」。
さぬき市内のさまざまなものづくりの現場でもこの期間だけの見学や体験を楽しめました。
そんな中、あそたつも津田町鶴羽にある「ドミンゴD-sewing工房」に行ってきました!
カジュアルブランド「ドミンゴ」の直営工場として、多種多様なアイテムを縫い上げるミシンや職人さんの技に感動!
この日だけのデニムエプロンのポケット縫い体験もさせていただきました。
「MADE IN JAPAN」のものづくりの現場を見て気づいたこととは…
「ドミンゴD-sewing工房」さんはさぬき市津田町鶴羽にある縫製工場。
『毎日の生活にとけ込み、長く愛されるジーンズを。』というテーマでものづくりを行う「ドミンゴ」の直営工房として、1974年に生産をスタートしました。
「日本ドルフィンセンター」に向かう途中の道路沿いにあり、身近な場所に『MADE IN JAPAN』のものづくりをされている工房があると知って驚き!
普段は入りづらい工場も、工場見学を目的としたイベント「CRASSO」のおかげで立ち寄りやすいのが嬉しい!
入り口にもウエルカムボードを立ててくださっていましたよ〜!
靴を脱いてお邪魔します!
入り口には「ドミンゴ」が展開する4ブランドの紹介POPもありました。
カジュアル・アンティーク・ガーリーなど幅広い年齢層をカバーする4ブランドですが、共通テーマは『高付加価値・高品質なデイリーウエア』。
いずれも毎日着たくなる、お気に入りの洋服たちを提供しています。
これらの洋服を縫い上げてるのがこちらの工場!!
「CRASSOの見学ですね、どうぞどうぞ〜!」と声をかけていただき、いよいよ中へ!!
奥行きの広いスペースにミシン台がずらり…
の割には人の姿は少なめ?!
(大量生産時代に使用していたミシンたち。今もサンプルを縫うときに出してきて使うそう。)
かつては大量生産が主だった「ドミンゴD-sewing工房」
当時は30人以上もの縫い子さんが専門的なミシンを使いこなし、できるだけスピーディにジーンズをたくさんを縫い上げていたそう。
大量生産というスタイルがなくなってきた現在は、小さい規模の生産数でシャツや上着も生産しているのだとか。
現在7名の職人さんが本社から届く裁断済みのパーツを縫って仕上げています。
ある人はシャツの前身ごろを、ある人はシャツのポケットを、とみなさんが取り組む作業は別のもの。
個々のスキルが高いため、少ない人数でも多種多様なアイテムを生産できるそう。
完成したジーンズを見せていただきました!!
なんとなく販売している商品よりもバリンとした固〜い感じがします。
実はこのあと加工屋さんに出してジーンズらしく加工してもらうのだとか。
ここでは加工前のものしか見られないので、職人さんが実際に店頭に出向いて販売された商品を見た時には「こんなに柔らかくなるんだ!」と驚くのだそう。
ジーンズの中にはコラボ商品も!!
2023年に誕生した、地元の「カマタマーレ讃岐」とのオリジナルジーンズ「SANUKI TZDER JEANS(讃岐津田ジーンズ)」です。
実際にサッカー選手の体型からパターンを取り、完全オーダーで生産。
こちらのアイテムだけは津田工場で裁断も行っています。
余った布地をランダムに利用したポケット生地が特徴。
どの色・柄のポケットがついてくるかは到着してからのお楽しみです♪
そんなジーンズを縫い上げる特殊なミシンもご紹介いただきました!
1つの工程のみを仕上げる、いわゆる『専門職ミシン』が多い「ドミンゴD-sewing工房」さん。
上の写真は「ボタンを引っ掛ける穴を縫う専用ミシン」。
普段愛用している洋服の一部はこうやってできていくんだ〜と感動。
工場内で一番古いのはこの「巻縫いミシン」。
一般的なジーンズのお尻の縦ラインは大体こちらのミシンで仕上げられています。
一見普通の直線縫いのようですが2枚の布を巻きながら重ね縫いできてしまうというスーパーミシン!
そして裏側は糸がチェーン縫いになっているんです! 凄い!
縫うのが早く、糸も変えなくて良いので作業スピードも早く、現代でも職人さんにとってもなくてはならない存在です。


実際に「巻縫いミシン」を使っていただきました!
両手で生地を巻いて重ねて、ミシンの針の下に挟んで送りこむと…
ミシンが自分で布を巻き込んで縫ってくれます!
が、もちろん生地を進めるタイミングや送り込むスピードも重要。
この作業ができる人がどれだけ育つかが縫製工場のポイント!
見えない部分がキチンと縫えているかどうかを指先の感覚だけで捉えられてこそ職人なのだそう!!
しかも縫うスピードが速い〜〜〜!!
これについていけるのは職人さんしかいない…!!!
こちらで20年弱、縫製の仕事に携わっている職人の佐々木さんにものづくりのこだわりをお聞きしてみると…
(「ドミンゴD-sewing工房」佐々木雅彦さん)
「手は抜けないのはもちろん、オーダーメイドじゃなく既製品なので全部が揃っていないといけない。
同じものを作るのは難しい。
そのあたりを気をつけながら縫製しています。」
縫製工場はただ布を縫うだけではない。
「MADE IN JAPAN」商品としての価値を保つための緊張感が常にある場所なのだと気づく一言でした。
「CRASSO」ならでは! 工房で縫製体験にチャレンジ!「CRASSO」では一般の方がものづくりを体験できる企画を行っている工房もあります。
「ドミンゴD-sewing工房」さんでもデニム地のエプロンにポケットを縫ってみよう!という体験を企画!
このイベントのためにわざわざ布を用意してくださっていました。
家庭科2の自分ですが、職人の佐々木さんが「大丈夫!」と言ってくださったので張り切ってチャレンジ!
使用するのはこれさえあれば洋服が1着作れるという基本中の基本『本縫いミシン』。
足元のペダルを踏むことで「前進縫い」「針上げ」「糸切り」の指令をミシンに送ります。
まずは余り布で練習から〜
ミシンを使うこと自体が何十年ぶり、かつペダルで動かすのは初めてなので緊張しまくり…
なんとかミシンの使い方を覚えたので、いよいよ本番です!
ポケットをつける位置をチャコペンで印して…
本番縫いスタート!!!
ミシン進むの速い速い速い!!!
あっという間に進むから生地を持っていかれてしまう〜〜
必死に手で生地を抑えても力加減がこれまた難しい〜〜!!
(この後ペダルの踏み違いで見事に糸を切ってやり直ししました)
なんとかポケットを縫い終えて次にやってきたのがこちら。
ジーンズのポケットで良く見かける赤い糸の縫製はこのミシンが担当!
ポケットが外れないように両脇1cmほどを赤い糸で何度も往復縫いしますが…
針の下に縫い始めの場所を差し込めば、あとは自分で左右に動いて自動縫いしてくれるという優れもの!!
このミシン大好き!!(布を定位置に入れる作業しかしていない自分)
こうしてマイデニムエプロンが完成しました!!
めちゃくちゃ可愛い!!
根気よく見守ってくださった佐々木さんにも感謝です…!!
職業用ミシンを使う姿は取材でたくさん拝見してきましたが、実際に見るのと使うのとでは全然違うことがよくわかりました。
こんなに難易度の高いミシンを難なく使いこなす職人さんたちは凄い!と実感。
この日、「CRASSO」をきっかけに岡山や四国各県からいろんな方が工場見学に来られていた「ドミンゴD-sewing工房」さん。
佐々木さんにもこの日の感想をお聞きしてみると…
(「ドミンゴD-sewing工房」佐々木雅彦さん)
「作業している方からすると刺激になりますね。普段は缶詰状態で仕事をしているので。
体験される方もみなさん意外と上手で驚きました!」

何気なく手に取り、あたりまえのように身につけている洋服。
ものづくりの現場を見せてもらうことで、これまで目に入らなかった小さな部分も大切に扱いたいと思うようになりました。
ジーンズのボタン穴やお尻の縫い糸、ポケットの赤い糸を見るたびに、この日見せていただいたミシンと職人さんを思い出しそう。
なかなかない、ものの素顔を見られたイベント「CRASSO」。
今回参加できなかった方も次回はぜひご参加を!
いろんなものづくりの現場を覗いて、職人さんの五感を体感してみてくださいね。
「ドミンゴD-sewing工房」
場所/香川県さぬき市津田町鶴羽1264-3
お問い合わせ先/0879-42-3815