兼ねてから進められていた大串半島再開発プロジェクト。
そのメインとなる新施設「時の納屋」がこの春完成!
いよいよ6月30日(日)から飲食施設の営業がスタートします。
建築家の堀部安嗣さんがランドスケープや構造設計のプロとともに作り上げた、未来の大串へ繋ぐイメージがリアルな形に。
訪れた人が心の中の『過去・いま・未来』を仕舞い置けるような場所になればと作られた「時の納屋」で過ごしてみると、新しく気づくことがたくさん。
海を眺めつつ頂けるメニューや建物の随所に込められたこだわりを詳しくご紹介します!
さぬき市の観光の拠点である大串半島を『いま以上にゆっくりと人が交流し、この場所の魅力を感じてもらえれば』という思いで始まった「大串半島活性化プロジェクト」。
「主役は建物ではなく環境と景観」をテーマに、大串ならではの環境や景観を生かした市民の居場所づくりを目指し、展望台のある芝生広場では昨年の夏から飲食施設「時の納屋」の建設工事が行われていました。
詳しくはこちら→ 来春オープン!大串半島にて新施設の建設工事がいよいよスタート@大串
この難しい課題に取り組まれたのが建築家の堀部安嗣さん。
住宅建築の第一人者として知られていますが、近年では高知県「竹林寺 納骨堂」や瀬戸内海を航行する宿泊型の客船「guntu(ガンツウ)」を手がけたことでもお馴染みです。
堀部さんとランドスケープ(景色・景観)デザイナー、構造設計のプロがタッグを組み、イメージした新しい大串半島。
メインの建築物「時の納屋」がこの春完成し、いよいよこの週末6月30日(日)から飲食施設としての営業がスタートします!
オープンに先駆けて大串半島芝生広場へ行ってきました〜!!
6月下旬、ちょうど雨上がりで澄みきった青空が広がった日。
いつものように大串半島の「さぬきワイナリー」を横目に高台へと車を走らせて芝生広場の駐車場へとやってきました。
駐車場は以前と変わっていませんが…
そこから北へ向かう景色はがらりと変わりました!
かつて存在した温泉施設がなくなったことで視界も左右に広がり、より空が広く見えるようになりました。
右手には緑のメインアプローチ「時の小径」が。
左手にはアスファルト舗装の道が出来上がっています。
舗装された道路は車椅子の方や妊婦さんなどが利用できるおもいやり駐車場へと続く「裏の小径」。
「時の納屋」の建物近くへ車を停めることができます。
今日はメインアプローチ「時の小径」を歩いて「時の納屋」へ向かいます。
大小さまざまな石が敷き詰められた道を一歩ずつ踏み締めながら歩くことで、非日常の世界へ近づいているような気も。
アプローチの両脇にはまだ若い芝生と苗木たち。
ランドスケープデザイナーの方が「最初から大きな木を植えるのではなく、昔から大串で生育していた植物の苗や芝生を植えたい」と言われていた通りの景色。
中ほどまで歩くと右手に大串半島の憩いの場、芝生広場が見えてきました。
以前と変わらず、グライダーを泳がせて楽しむ愛好家のみなさんやお散歩に来ている地元の方もちらほら。
この日はずいぶん先の淡路島にある風力発電の風車群も見ることができました!
「時の納屋」の全貌も見えてきました!
と同時に海も見えてきましたよ〜!!!
目の前には穏やかな瀬戸内海と小豆島!!
左右に行き交う大小さまざまな船を眺めていると時が止まったよう。
双眼鏡のあるおなじみの展望台は以前のままで、なんだかホッ。
そしてやはりここからの景色は最高です!
その海を眺めるように建つ「時の納屋」は杉の木造りの地上1階・地下1階の木造建て。
左右アシンメトリーな屋根が特徴です。
「納屋」といえば農機具を仕舞う場所としてお馴染みですが、この場所も訪れた人が、心の中の過去・いま・未来のことをしまって置けるような施設になればという願いを込めて作られました。
屋根のてっぺんには讃岐の原風景のひとつ、タバコの乾燥小屋「ベーハ小屋」をモチーフにした越屋根。
『近代以降の素材の良さや技術を取り入れつつ、過去と現在が共存している建築物を。』という堀部さんの考えから出来上がったデザインです。
この小さな窓から風と光を取り込んで建物内の換気もできるようにもなっています。
それでは「時の納屋」の中へ入ってみましょう!
入り口は芝生広場に面した東側の扉です。
木が軋むやさしい音とともに中へ。
内装も家具もほとんどが木でできています。
開放感のある天井を見上げれば、十字に張り巡らされた芸術的な梁にびっくり!!
この建物は柱を使わずに梁で支えるという独特な構造をしています。
釘が一切見えないように工夫されているところにも職人さんの丁寧な仕事が生きています。
(おすすめの席からの眺め)
約9m×約7mのイートインスペースには柱がほとんどありません。
そのため北側に広がる海の風景がダイレクトに目に入ってきてキラキラと眩しい…!!
「時の納屋」所長の満濃さんにおすすめの席をお聞きすると…
(「時の納屋」所長 満濃さん)
「私がお客さまなら中央の後部テーブルで過ごしてみたいですね。
一番美しく景色を切り取るように比率が考えられた窓枠を正面から眺められます。
そこから見える海と小豆島はまるで屏風の絵を見ているようです。
この席でゆっくりとカフェの時間を過ごしてもらいたいですね。」
「時の納屋」の窓は普段閉めていますが、お天気が良い日は開け放すそう。
この日も南北両サイドの窓を開け、風と鳥の声が吹き抜けて自然の一部になっていました。
時間や天気によって目の前の景色が変わっていくのも面白く、夕日が沈む時間は海も空も色が変わってとくに美しいのだとか!
その様子はこちら!→ https://www.instagram.com/sanukitokinonaya/
心地いいといえば「時の納屋」の家具たちにも注目です。
さぬき市大川町の木工職人 二宮靖夫さんにお願いしたというテーブルと椅子。
椅子はペーパーコードで編まれていて、座面は前に向かうほど高めになっていますが座り心地のよさにびっくり!
一見固そうですが、すぐに根が生えてしまいそうなくらいの馴染み良さ。
また、イートインスペースの東端には「時の小間」という半個室スペースも。
こちらには二宮さんが、亡くなられた大切な師匠への強い思いを込めて「時の納屋」のために作ったという一枚板のテーブルが置かれています。
それを聞いて「時の納屋」は出来上がっていく過程で、すでに多くの職人さんの「思い」が仕舞い置かれた場所であることを感じました。

『せっかく大串に来てくれるのだから、ここでしか食べられないものを提供したい』という思いから、地元の食材を使ったスイーツ・軽食・ドリンクが用意されています。
なんといってもここで食べていただきたいのはスイーツ!
独学でタルトを極めたお菓子作りの達人でもある満濃さんが監修し、県産のフルーツを使ったフルーツタルトをメインとした「スイーツプレート」や単品のケーキを提供。
特にフルーツタルトには他にはないこだわりが!
タルト生地には県産の和三盆やローストしたナッツを混ぜ込み、ざっくりと厚めに焼き上げ。
敷き込むアーモンドクリームにはピスタチオの層を忍ばせ、
さらにやさしい味わいの和三盆カスタードクリームを重ねます。
(タルトを作ったことがある人ならばわかる、手間と素材を惜しまぬこだわり!)
それらがフレッシュフルーツの味わいをぐんと生かしてくれるのだそう!
フルーツもさぬき市や三木町のいちごをはじめ、県産のマンゴー・いちじく・シャインマスカット・ブルーベリーといった旬のものが登場しますのでお楽しみに!
「スイーツプレート」にはタルトと一緒に自家製バスクチーズケーキ・フルーツ・さぬきワイナリーのさぬきぶどうアイスも添えられますので、さまざまな味わいを楽しめます。
この日は単品メニューの「黒糖のバスクチーズケーキ」をいただきました。
中央がとろんと柔らかい焼き上がりで、一口いただくと口の中でとろけます…!
黒糖ならではのまあるい甘さで、バスクチーズケーキなのにさっぱりといただけて美味しい!!
ペアリングにおすすめいただいたドリンクはオリジナルのブレンドのコーヒー。
坂出市にある人気のカフェ「Landscape Coffee 37」さんにお願いし、この建物・景色・風をイメージして焙煎してもらったものを使用しています。
深煎りですがどことなく酸味もあってあと味が爽やか!
ケーキとの相性もバッチリです。
飲めば身体中に風が吹き抜け、自分も大串の一部になったような不思議な気持ちに…!!!
そして軽食は3つの定番メニューが登場。
こちらはさぬき市の食材をたっぷり使った「樽のおにぎりランチ」。
香川県の伝統的工芸品「讃岐桶樽」にぎゅぎゅっと詰めたおかず・白味噌仕立ての味噌汁・おにぎりがセットになっています。
桶樽の漆蓋を開けると、さぬき市「七星食品」さんがこのカフェのために用意したという特殊部位の豚肉塩麹漬けや、さぬき市大川町「金江養鶏場」の卵で作る出汁巻き卵。
野菜のおかずとしてトマトのビネガー漬け・オクラの出汁漬け・カボチャのカレー風味サラダ・きゅうりのワサビ漬けなどが。
おにぎりにはさぬき市津田町「大塩水産」のちりめん佃煮と、さぬき市造田「松原商店」の金山寺を添えて。
おかずや野菜は季節ごとに変わるので、通年で楽しめます。
ほかにも石窯パンを使いホワイトソースをかけて焼き上げ、仕上げにすりおろしたチーズと生ハムを乗せた「クロックムッシュ」や、さぬきワイナリーの赤ワインを使った「牛すじカレー」が。
「牛すじカレー」はやばいくらいとろけて美味しいですよ!と満濃さん。
もちろんお茶だけの利用も可能。
ブレンドコーヒーはさきほどの「Landscape Coffee 37」ほか、県内数店舗の自家焙煎珈琲店のものをセレクト。
さぬき市「飯田桃園」のすももシロップを使ったすももソーダドリンクといった地元のファンも多いドリンクがメニューに仲間入り。
ドリンクや軽食(唐揚げ・ポテト)のテイクアウトもできますので、芝生広場でのんびりしたい時に利用してみてはいかがでしょうか?
そんな「時の納屋」のカフェオープンは2024年6月30日(日)13:00〜です。
※この日はスイーツ・ドリンクのみのオーダーとなります。軽食は7月1日(月)〜スタートする予定です。
これまで何気なく「いいな」と思って過ごしていた大串の時間。
「時の納屋」ができたことによって、この場所で感じた思いを寄せられる場所ができたような気がしました。
活性化プロジェクトによりどんなふうに変化するのか気になっていた方も多いはず。
ぜひ一度足を運んで、新しい『大串時間』を過ごしてみてくださいね。

通常の駐車場から左手の舗装道路を進み、
「時の納屋」裏手にある「おもいやり駐車場」に駐車します。
そこからスロープが芝生広場に向かって伸びています。
緩やかな坂。しばらく進んでいくと、
芝生広場に到着!
そのまま芝生の上を「時の納屋」の東側の壁沿いへ向かっていくと、
マットが入り口扉に向かって続いていますので、こちらを利用して店内に入ることができます。
時の納屋
場所/香川県さぬき市小田2671-75(大串半島・大串自然公園芝生広場内)
営業時間/11:00〜16:00
定休日/火曜
駐車場/あり
お問い合わせ先/087-884-6010
公式ホームページ https://sanuki-sa.jp/tokinonaya/
【関連記事】