四国霊場八十六番志度寺にて年に一度の御本尊御開帳が始まりました。
お寺に伝わる縁起「海女の玉取り」に登場する海女の命日7月16日に合わせて毎年行われる御開帳。
今回は来年創建1400年を迎えるのに合わせて、また3連休を挟むとあって5日間(〜7月17日)の長期開催に!
この日しかお逢いできない御本尊・十一面観音様の拝観に加え、多くの文化財・美しい枯山水も見ることができる志度寺のご開帳。
この機会に見てもらいたいものやここだけのご利益をご紹介します!
志度湾に面した海沿いに建つ四国霊場八十六番札所の志度寺。
推古天皇33年(625年) に藤原不比等が建立されたと言い伝えられていて、2025年には創建1400年を迎える四国霊場の中でも屈指の歴史を持つお寺。
そのため貴重な文化財も多く、仁王門・御本尊・本堂は国指定重要文化財に指定!
2022年6月には境内が国の史跡「讃岐遍路道」に追加指定され、住宅地にありながらも身近な歴史文化財として注目されています。
現在開催されている「志度寺御本尊御開帳」では普段入ることができない本堂の中に入り、御本尊・十一面観音様にお逢いすることができます。
また、この期間だけの見どころも多いのが特徴!
『とても優しくイケメン』と噂される御本尊様に逢いに、早速行ってみましょう〜〜!!!
仁王門から中に入ると、緑いっぱいの境内がお出迎え。
両脇に咲く季節の花の種類の多さに驚きながら進みます。
志度寺といえば遠くからでも見える五重塔もお馴染み。
その手前にある鐘楼堂は現在修復中で、来年3月には新しいものがお目見えする予定だそうです。
再来年には除夜の鐘をつきに来れますよ♪
ちょっぴり迷子になりそうな境内の中を歩いて本堂にやってきました。
中が見えないように御簾がかけられていますが、こちらは普段御本尊の前に掛けられているもの。
葵の御紋がついているのは、江戸時代に高松藩主松平頼重公の手厚い保護を受けて本堂や仁王門などを再建したことに由来します。
当時は高知の長宗我部一族に攻め込まれ、高松藩内の多くの大きなお寺が焼き討ちにあったそう。
志度寺に到着した時には仁王門より先に馬が進めなくなり撤退したため奇襲を免れたという話もあるのだとか。
この日はご開帳なので本堂横の受付を通って中(本堂外陣)に入ります!
受付で拝観料500円を納めると『ご開帳記念お守り』と記念シールをいただきました!
御本尊・十一面観音様のお守りは普段身につけるものに入れて、とのこと。
シールの柄はは弘法大師空海御誕生1250年の記念として納経帳に押しているスタンプをシールにしたものだそう。
どちらもとってもありがたい限定アイテムです!
(御本尊やそこに並ぶ文化財は撮影禁止となっていますが、それ以外はOKとのことでお写真を撮らせていただきました。)
歴史を感じる佇まいの本堂は中も味わいがあり、不思議と床も天井も黒っぽくなっています。
いよいよ十一面観世音菩薩様とご対面です!
625年という遥か昔、琵琶湖の方から流れてきた霊木を凡園子(おおしそのこ)尼が掘り上げたという見事な木造一木造り。
やわらかい表情、切れ長な目、丹精なお顔立ちにしばし見惚れてしまいます。
お顔の上にある11のさまざまなお顔で全体を見渡し、どこからもわたしたちを見てくださっていると言われています。
十一面観世音菩薩様はいろんな仏様に繋いでくださる方で、どの仏さんからも助けてもらえる数限りないご利益があると言われているそう。
参拝される際は本当に叶えたいことを心に思いつつお参りすると何より、とお聞きして、静かに手を合わすのでした〜。
「志度寺開創から現代まで長い間みんなを救ってくれたのが観音様。
常にわたしたちに寄り添ってくれていますので、ぜひ御開帳の時に拝観されてみてください。」
という志度寺副住職 十河瑞澄さんの言葉が心に沁みました。
また、両脇に立つ『不動明王』と『毘沙門天』、左右に並ぶ『愛染明王』『弁財天』などの貴重な仏様も拝観でき、志度寺の文化財の多さに改めて驚きました。
と、ここで普段いらっしゃらない方を奥で発見!!
現在改修中の薬師堂から期間限定でお引越しされている『薬師如来』像。
実は長福寺さんの薬師如来(国指定重要文化財)のレプリカです。
志度寺の薬師如来は明治3年に薬師堂が燃えた際に焼失しており、その後京都から来た仏師の方が作られたのがこちら。
その経緯が台座の裏に記述されています。
その中には…
なんと胎内仏が!
志度寺の薬師堂が焼失した時もこれだけは残ったため、新たに薬師如来を拵えた際に中に入れられたのではと。
奈良時代のものと考えられているのでかなりの年代ものです。
もう一つ、薬師堂からお引越ししてきたのは志度寺の御本尊を掘り上げた凡園子(おおしそのこ)尼の逗子。
仏様自体は前から本堂にお祀りされていたため、逗子のみ薬師堂の中に置かれていました。
中には文殊菩薩の絵があり、これは凡園子尼が文殊菩薩の化身だったといういわれから。
普段は見られないこれらの薬師堂コレクションが楽しめるのは改修が完了する2027年ごろまでですのでお見逃しなく!!
これにて志度寺本堂の拝観は終了。
お寺の歴史だけでなく地域の歴史も垣間見え、かつてこの地域に住んでいた方が祈りを捧げてきた仏様にお会いしたのだなあと感慨深い気持ちになりました。
せっかくなので志度寺ならではの場所も拝観しましょう!
「閻魔堂」では『蘇りの閻魔様』に会うことができます。
元々あの世とこの世の境の修験道場『死渡道場』と呼ばれていた志度寺。
閻魔様にお参りすることでこれまでの罪をリセットし、蘇ることができると言われています。
悔い改めたい時はここに来るべし!!!
個人的にイチオシなのが「書院」!!!
この日は御開帳に合わせて中を開放してくださっていました。
書院奥にある重森美玲の手掛けた「枯山水 無前庭」は美しい庭園。
腰を下ろして眺めれば、ゆっくりとした時の流れを感じ、日々のことを忘れて自分に向き合えます。
御開帳の期間は志度寺の境内をくまなく散策し、ここだけのご利益を体感するのがおすすめ!!
今年の志度寺御本尊御開帳は7月17日(水)まで行われていますので、ぜひ足を運んでみてくださいね。
