2024年09月06日

森の達人 田中政晴さんの森へ〜「森づくり」のコツとは?@大川

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大川町の山間部で自身の山を守りながら、広く森づくりの大切さを伝えてきた

森の達人 田中政晴さんをご存じですか?

昨年、これまでの活動が評価されて「緑化推進運動功労者 内閣総理大臣表彰」を受賞されました!

田中さんの森づくりにはどんな工夫があるのか?

知りたくて、実際に田中さんの森にお邪魔させていただきました!

心地よい森林浴の様子をご紹介します。


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さぬき市大川町、みろく自然公園より東南にある大川町の山間部にやってきました。

どこまでも舗装されたアスファルト道路のおかげで山の奥の方へ向かうのも難なく、田中さんの山に辿り着きました。

林業をされていたお父さんから受け継いだ森の総面積は約8ヘクタール。

斜面があるため体感的にはもっと広く感じます。

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中に入らせていただくと、木陰なのにとても明るい!

草刈りをしているわけでもないのに快適で、あちこちから太陽の光が差し込み、地面にその明かりが届いています。

これまで山に入ると「何が出てくるかわからない」という不安に駆られて、つい肩がすくんでしまう自分でしたが…

田中さんの山ではそういった警戒心がまったくなく、リラックスして歩けていることにびっくり。

また羽音が気になるこわ〜い虫がいないのにも驚き!

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歩くとすぐに気がつくのは、大部分の木がスギ・ヒノキであること。

(田中政晴さん)

「田中家の方針として『尾根マツ、沢スギ、中ヒノキ』という格言があり、ここはそれを実践した山です。

 尾根ではコナラも育てましたが2年前に原木椎茸を作る人が買ってくれました。

 そんな中でも文化財を修復するのに使えるような木、長い寿命の木を育てたい。それがわたしの目標です。」 

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といいながら見上げた背の高いスギやヒノキはもう150年ほど生きている木だそう。

1世代30年で計算すれば、6代前のご先祖さんが育ててくれた木ということに!

枯れた枝をマメに切り落とすと節のないいい木が育つんですよ、とコツも教えてくれました。

田中さんの森はまるで植物園!

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(今年初めて実ができたというクルミの木)

そのほかにもいろんな木を発見しました!

山椒、朴(ほう・朴葉焼きでおなじみ)、モミジ、クルミ、クロモジ…

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(クロモジの蒸留水)

特にクロモジはいい香りがするからと、つい最近山好きのみなさんとクロモジ蒸留会を開催されたそう。

葉や茎を揉むとカルダモンのようなスパイシーな香りがするのにびっくり!

蒸留水にするとより濃い香りが抽出され、全身に森の空気がスーッと通り抜けるような清涼感が!

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(写真左:田中政晴さん、写真右:広瀬麻倫子さん)

蒸留会に参加された、さぬき市のアロマセラピスト広瀬さんも…

「アロマの世界ではクロモジの香りや効果が注目されていて、国内では精油にしたりお茶にしているところもあります。

 まさか近くでこんなにたくさんのクロモジを一度に見られるとは知らなくて感動しました。

 明るくて隅々まで日光と風が通って、いろんな植物の多様性を感じられる森で、それを田中さんが意図的に作っているときいてさらに感動しました。」

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(田中さんの大好きなモミジコーナー)

年齢を重ねたことで機械を使うことがなくなっても、毎日山にやってくるという田中さん。

いまはモミジの木の下で森林浴と読書を楽しんでいるそう。

育ったヒノキから癒しの香りも放たれて立派な休憩所が出来上がっていました。

初めて森に入らせていただいたわたしも、ここでは何時間でも過ごせるなあと思ってしまったのでした…


田中さん流の『森のつくりかた』とは?

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そのコツは木と森の性格を生かすこと、と田中さん。

(田中さん)

「紅葉樹のいいところはそのままにしておいても脇芽が吹いてまた成長する。

 ところが針葉樹は切ってしまえば芽が出ない。だから一度に切ることはしません。

 これらの木も自分で植えたんでなくて自然に種がおちて生えてきたもの。

 何年かに1度間伐することで小さな木が育ち、植えずして自然に年の老いた木から若いのに切り替わっていくんです。

 ところがそれを自然にできるようにするためには邪魔になる木を切って日光が当たるようにする必要があるんです。

 下に光が入ることでね、保水力のある林になるから。」

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現在93歳、今でこそチェーンソーなどの機械を使うことはなくなったという田中さんですが、山を受け継いだ55歳の頃にはそれらを駆使して森を整えていたそう。

自然と育つ森を作るためには毎日でなくても何年かに一回は手入れが必要。

しかし働き方の変化から、いま放置されたままの山が増えているのも課題のひとつ。

そんな中でも引き続き定期的な間伐をしながら木を出荷し、引き続き森を守っていきたいと田中さん。

「森づくり」が災害に強い土地づくりや海の環境改善にも繋がっていくと森の中でいろんな話をお聞きでき、非常に勉強になりました。

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何気なく眺めている「山」や「森」が、田中さんの森に入ったことでガラリと違って見えるようになりました。

あなたも機会があればぜひ身近な自然について、考えてみてはいかがでしょうか?

親子で参加できる森づくり体験イベントもありますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

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田中さんも長年携わってきた森のイベントが今年も開催!

「さぬきの森 森林の楽校2024〜親子で皮むき間伐体験を一緒にしよう!!〜」

秋に向けて変わっていく森の中で森や山のことを学べる「さぬきの森 森林の楽校」が開催されます。

今年は森に光を入れる作業、子どもにもできる「皮むき間伐」にチャレンジ!

開催日時/2024年9月22日(日) ※少雨決行

場所/香川県さぬき市寒川町門入の郷・さぬき市民百年の森

定員/40名(先着順)

申込締切/9月12日(木)

申し込みフォーム/ https://blog.canpan.info/juon/archive/826


posted by sanuki-asobinin at 16:56| 香川 ☀| Comment(0) | 達人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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