10月6日(日)、寒川町に新しい文化施設「細川林谷記念館」がオープンしました!
さぬき市寒川町出身、江戸で1、2を争う篆刻家として活躍した細川林谷(ほそかわ・りんこく)。
「篆刻(てんこく)」とは、木や石に文字を彫って印にしたもの。
そのちいさなスペースの中で林谷は一体どんな世界を表現したのでしょうか?
また、そのお人柄とは?
開館前日の10月5日(土)には開館記念式典や展示解説、地元の子どもたちに向けた「篆刻教室」も開催されました。
その様子をご紹介します!
幼少より篆刻(木や石等に印を彫ること)・絵画・漢詩を学んだ後、長崎・京都でも学び、江戸に出てからその篆刻は天下一と称えられました。
”旅する文人”としてもおなじみで、生涯好んで旅をした時の日本の風景を漢詩と共に描写しています。
地元さぬき市ではあまり名前が知られていない林谷ですが、寒川町では有志の方々や寒川町文化財保護協会の皆さんが顕彰活動を長く行っており、「21世紀間さんがわ」で企画展を行うなど、より多くの方に林谷のことを知ってもらおうと働きかけが続いていました。
そんな中、令和2年に林谷のお兄さんのご子孫にあたる日合通信電線株式会社会長の細川勝博さんと社長の細川周作さんより、『林谷を顕彰するとともに、さぬき市民の芸術文化の振興拠点となる場所を作ってほしい』と寄付を受けたことから、さぬき市寒川庁舎のすぐ西側に「細川林谷記念館」が誕生しました。
出来上がったばかりの「細川林谷記念館」にやってきました。
アプローチには林谷自身が好んだという竹と石があしらわれており、自然の中で漢詩を読むのを楽しんだ彼の目線を体験できます。
建物は白と黒でまとめたシックな色合いの平家建て。
中には林谷の作品を展示した「林谷展示室」と一般の方も展覧会などで利用できる「市民ギャラリー」、ワークショップなどができる「講座室」があります。
開館日は2024年10月6日(日)ですが、前日の10月5日(土)には同施設の講座室にて開館記念式典が行われました。
この施設ができるきっかけとなった日合通信電線株式会社会長の細川勝博さんも三重県から出席されており、そんな細川さんへ感謝状贈呈も行われました。
式典ののちには細川林谷研究家で高松市立香東中学校教員の田淵元博さんが展示の見どころをわかりやすく説明してくださいました。
ご案内に続いて自分も記念館へ入ってみました〜!!
なんと展示室横の壁にも竹が!
そして「林谷展示室」の文字の下には篆刻のポイントが!
ここから林谷ワールドへレッツゴ〜!!
黒でまとめられた内装の「隣国展示室」は、掛け軸や巻物、画帖(日記帳のようなもの)が映える空間。
林谷の生涯と人柄を知る4つのテーマに分けて作品が展示されています。
1つめは「四君子(しくんし)と歳寒三友(さいかんさんゆう)」。
『四君子』とは、高志の人になりたいという中国の人たちの思いを植物に喩えたもので、梅・竹・蘭・菊のこと。
「歳寒三友」は中国の人々が厳しい環境の中でも耐える松・竹・梅のように不変の心を持つものとして喩えた言葉。
それに自分を重ねて書いた画を『文人画』と呼び、林谷もそれらを題材にした画を残しています。
大胆な筆使いに濃淡の生きた画はとっても雰囲気があり、この自由で軽快な画風も魅力的。
竹を好んだ林谷が、晩年東京で過ごした家に整えた「萬竹園」という竹林の印を押したものもあります。
こちらは「梅」。
交流のあった文人と月ヶ瀬梅林を見に行った際のもの。
友人たちが思わず泊めてしまうほどに愛されていた人物であることもわかります。
4つめのテーマは「胸中の丘壑(きゅうがく)」。
林谷自身が自分の大切なものや理想の世界を描いたものを集めています。
ここでは竹と同じように好んでいた「石」を描いていますが、この中国の山のような絵も実は「石」なのだとか。
中央のガラスケースには巻物や画帖、篆刻が展示されています。
上の写真は篆刻の本体!
さぬき市文化財保護協会寒川支部の細川さんによると、『篆刻では「篆書」という漢字の古い書体を掘りますが、ただ掘るだけではなく、書としての美しさや筆遣いがその印の中に残っていないといけない』とのこと。
この小さなスペースの中に志の高さや技術、全てが注ぎ込まれていることがわかります。
林谷の篆刻は美しいのはもちろん、どことなくやわらかい雰囲気も。
多くの人に愛される人だったことが篆刻から滲み出ているような気もしました。
これらの展示の中で、さぬき市文化財保護協会寒川支部の細川さんのおすすめは「帰去来印譜(ききょらいのいんぷ)」。
形も大きさも違う印がポンポンと押されています。
こちらは中国の偉大な詩人として知られた陶淵明(トウエンメイ)の作品「帰去来」を篆刻で表現した作品。
林谷自身が心血を注いだ最大の作品と言われ、展示の中でも是非みていただきたいとのこと。
細川林谷記念館(2024年10月6日開館)
場所/香川県さぬき市寒川町石田東甲931
開館時間/9:00〜17:00(入室は閉館の30分前まで)
休館日/毎週月曜・12月29日〜1月3日
入館料/常設展示 一般・大学生300円・高校生以下100円(団体割引あり)・未就学児無料
お問い合わせ先/0879-43ー0655
公式サイト http://ew.sanuki.ne.jp/tenjikan/
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