さぬき市は秋祭りシーズン真っ只中。
夜になると太鼓・鐘の音が聞こえるようになってきました。
全国でも獅子組の数が多い香川県は『獅子舞王国』とも言われていますが、5町あるさぬき市にも数多くの獅子舞が存在しています。
中でも珍しい虎の獅子をつかうのが津田町「寺町虎獅子」!
その練習の様子を覗かせてもらいました。
「寺町虎獅子」の歴史や奉納が見られる秋祭りをご紹介します!
「寺町虎獅子」の拠点は、さぬき市津田町 津田高校近くの荒魂神社。
9月下旬から毎晩獅子の稽古をしているとお聞きし、集会場にお邪魔させていただきました。
中に入ると、奥に神社の本殿の様式がそのまま残っていてびっくり。
実はこの建物、もともと荒魂神社のお社だったそう!
建物を増設して集会場に生まれ変わり、ここで会合や獅子の練習を行なっています。
「寺町虎獅子」では、この荒魂神社と津田の松原にある「津田石清水神社」の秋祭りに参加。
10月1週目には集落廻り。
10月第1金曜・土曜が荒魂神社の秋祭り。
10月第1土曜・日曜が津田石清水神社の秋祭りに出向きます。
太鼓や鐘を鳴らしての獅子の練習には中学生から70代までの幅広い世代のみなさんが参加して、その音を夜の津田町に響かせていました。
寺町虎獅子の特徴は?
ところで獅子と一言で言っても、そのスタイルや道具は千差万別。
「寺町虎獅子」の鐘は2つ、太鼓は大小1つずつ。
そして獅子は、香川県内でも数少ない、貴重な虎獅子です!!!
さぬき市には大川町にも「筒野の虎獅子」がありますが、寺町はつるんとした艶やかなお肌と明るい表情が特徴。
そして大きな目がやさしい〜!
それもそのはず、寺町の虎獅子は雌の獅子。
その対になる雄の虎獅子も津田町津田の久保自治会が持っているのだそう。
稽古場にはその前の代の獅子頭もありました!
前の世代のものは60年以上活躍していたと考えられていますが、どことなく現役の虎獅子と表情がとっても似ています♪
今後、より寺町の虎獅子が盛り上がってくれたらと、獅子頭をリニューアルするそう。
次は顔中に毛をあしらい、耳の毛も長めにし、全体的にリアルな虎に…と、これまでとは違ったビジュアルになる予定ですのでお楽しみに!
そして動きは自由自在!
鐘と太鼓の音に合わせて巧みに動く姿がとてもエネルギッシュ!
特に形があるわけではないようで、音に合わせて顔を前に出す以外はほぼ自由。
そのため、若い人や初心者でもすぐにつかうことができるのだそう。
歴史を遡れば、もともと荒魂神社の練物として「だん尻」があり、その隅に虎獅子を飾っていたのだとか。
各家庭を巡るときには獅子が家の座敷まで入り込むのが寺町のスタイルで、現在でも同じように家の中まで入って祓いを行っているそう。
そのため油単もコンパクトなサイズになっています。
(↑ 狭いおうちの中にもスルスル入れるコンパクト油単)
次第に単独で虎獅子をつかうグループが派生し、自治会とは別のものとして存在していましたが…
現在ではその組織もなくなり、寺町の自治会が虎獅子を管理しています。
そんな寺町虎獅子の大きな特徴は「子ども神輿とともにあるもの」。
寺町には小学生たちが担ぐ「子ども神輿」があり、秋祭りでは本殿で子ども神輿と共に虎獅子も奉納します。
そのため、虎獅子のみが神輿なしで単独行動することは滅多にないのだとか。
近年、少子化が原因で秋祭りに参加できる子どもたちが減っていますが…
寺町でも子ども神輿を担ぐ子たちがいなくなれば、子ども神輿も虎獅子もつかえなくなってしまうのです。
その危機感から、自治会のみなさんは若い人たちが獅子に参加するのを大歓迎!
ちょっぴり敷居が高く感じられる地域の獅子組ですが、獅子に関わりたいと地元に帰ってきた人たちを受け入れています。
獅子が大好き「寺町獅子組」の若手ホープにインタビュー!
津田町の寺町出身、就職がきっかけで香川にUターンし、獅子組に参加するようになったというメンバーの土佐さん。
現在28才で、大人の中では最年少! 獅子にはまだ参加2年目ですが獅子をつかう大事な役割を担っています。
(写真左:土佐さん)
「小さい頃は子ども神輿を担いでいました。獅子はやったことがないけれど、リズムをずっと覚えていたのでスムーズに練習に参加できました。
この時期になると鐘と太鼓のリズムが響いて、小さい頃はその音が聞こえてきたら外に出て獅子の様子を眺めていました。
すっかり音が頭に染み付いているんだなと思います。」
同じく寺町出身で、現在は市外に住んでいるもののお祭りの時期になると毎晩獅子に参加しているという角田さん。
大人になって、獅子をやりたいと思いきって集会場の扉を叩いたそう。
(写真右:角田さん)
「虎獅子はやっぱり特別な感じがしますね。
うちの地区にしかないからカッコいいなって思ってましたし。
大人になって集会場に行くのはハードルが高かったけど、人が少ないからと歓迎してくれて、「助かるわ〜」と言ってくれた。
だんだん楽しくなってきて、獅子もやらせてもらって、みんなも喜んでくれて、地域が盛り上がって、というサイクルができてよかったなと思います。」
寺町の獅子はみんな和気あいあい。
大先輩を前に、若い世代の人たちが自由に自分たちの獅子や鐘を楽しんでいる姿は、祭りが地域のハレの日であることを感じました。
寺町の虎獅子を見てみたい!という方は、この週末がチャンス!
10月6日(日)の津田石清水八幡宮 例大祭に「寺町獅子組」の虎獅子を見ることができます。
11時半ごろ、本殿前にて子ども神輿と虎獅子が登場予定。(予定は前後することがあります)
(寺町虎獅子組 角田さん)
「まずは讃岐の中でも少ない虎獅子を見に来ていただきたいです。
動きも他の地区と違って、噛み付く動きや激しい動きに注目してみてください。
要望があればお子さんの頭を甘噛みしますので、ぜひリクエストしてくださいね。」