3月8日(土)大串「時の納屋」にてガイドウォークと選択除草活動が行われました。
一般の方も気軽に参加できるこの活動。
敷地内のランドスケープの解説もあり、この場所を地元の人たちの手で育てていくきっかけになればと開催されています。
ちょっぴり手こずる外来種の除草も参加者のみなさんと会話しながら一緒に楽しめました。
今後も不定期に開催予定というガイドウォーク&選択除草。
その様子をご紹介します。
3月8日(土)風の冷たい朝9:00、さぬき市北端の大串半島「時の納屋」にやってきました。
朝早くにも関わらず、SNSなどでガイドウォーク&選択除草が行われると知った30人もの方が駐車場に集合。
県外からも駆けつけたという方、「時の納屋」に訪れるのは初めてという方もいらっしゃいました。
ガイドをしてくださるのは「時の納屋」のランドスケープを手掛けられたTakebayashi Landscape Architects のランドスケープデザイナー竹林知樹さん(写真左)。
さらに今回は建物の建築設計を手掛けられた堀部安嗣建築設計事務所の吉田さん(写真真ん中)、ランドスケープの工事を担当された池下翠松園さんも特別に参加されていました。
2回目となるこの回、まずは「時の納屋」が出来上がる前のこの場所と比較しながらガイドウォークがスタート。
建物へ向かっていくなだらかなスロープ「時の小径」を歩きます。
「時の小径」は歩く人のペースや歩きやすさを考え大小違った庵治石を敷き詰めています。
真ん中と両脇には車輪のあるものが通ることを想定したフラットな土の道も。
石敷きといえば通常はモルタルで隙間を詰めて固めますが、こちらは昔の殻石積みのような形で安定させています。
最終的に長持ちすることを目指した結果この手法が選ばれ、しっかりとしたものが作られたそう。
コンクリートであれば簡単に出来上がりますが、あえて使わずに進めたことで苦労もしたと竹林さん。
西側のこんもりした丘は「時の納屋」建物裏にある『おもいやり駐車場』を作る時に出てきた土を盛り上げてできあがったもの。
実は1940年の地形図を見ると大串半島はこのように緩やかな丘だったそう。
その時代の形に戻していくことによって植生や小さな生き物も多様に住める場所になれば、という狙いがあります。
丘に植えられた小さな松は香川県で採れた種で育てた苗木。
香川の多様性がなくならないようにと地元で育ったものをここに集めています。
同じように「時の小径」で風に揺れているススキも大串半島で育っていたものを池下翠松園さんが丁寧に取ってきて植えているのだとか。
建物前にある背の高い木も実は大串半島の近くで自生していたヤマドリの木。
これまで芝生広場には人工的に景観のため植えられていた木々がありましたが、それらを取り除くかわりに地元の木やススキを植樹。
最終的には大きく育った木々の間から瀬戸内海が広がっていく景色ができることをイメージしています。
ちょうど「時の納屋」の建物に到着したところで、建築について吉田さんからも解説がありました。
(堀部安嗣建築設計事務所 吉田さん)
「『時の納屋』で堀部自身がプロジェクトのパートナーと共に実現したいと思っていたのは、何より景観の素晴らしさを最大限に生かすこと。
『主役は大串半島と環境・風土で、建築は脇役』そんな思想で粘り強く進めていきました。
ここに建てるのは鉄筋コンクリート造りではなく、自然の風景に戻していくために必要な、コンパクトで自然を引き立てるものとして堀部が考えたのがこの建物です。」
以前あったものは全て排除、ではなく実は再利用しているものもあるそう。
ここに建っていた建物の周りにあったアスファルトを石敷の下の土台として使用したり、残してあった庵治石を再利用して広場に配置。
循環させていくことはとっても大事なことで、今後もさぬき市や大串半島で取り壊される石があれば置いておいてもらえたら次のところで活かせるとお話しされていました。
ちなみに芝生広場にあるこの石だけはもともとここにあったもの。
人が寝転がれるくらい大きなもので、海が眺めやすい場所に移動したようです。
とっても心地よいので晴れた日にぜひ乗っかってみましょう♪
海側にある特徴的な草堤(くさつつみ)も大きな変化のひとつ。
以前はコンクリートで作られた擬木の柵がありましたが…
代わりに自然のものでできている縁取りで海を眺めてもらいたいと、この場所から出てきた土と芝を使って堤を作っています。
時の納屋の海側のガラス窓の前にも草堤がありますが、中から瀬戸内海を眺めた時に海を切り取る額縁になるようにという狙いがあると聞いてびっくり!
お話しをお聞きしていると、この場所をあるべき自然の姿に戻すために職人さんの知識と経験を活かして誠実に作られてきた場所だとわかりました。
あえて近道を選ばず、手をかけてでも良いものを未来へ。
10年後、20年後、30年後の「時の納屋」の姿が楽しみです。
ガイドウォークの最後は去年10月に植樹したどんぐりの苗木の様子をチェック!
特別に松の苗木が植わっている丘に上がらせてもらってみんなで見にいきます。(普段この丘に上がることはできません)
植樹した苗木の種類はウバメガシ・コナラ・アベマキ・ツバキ。
どれも地元で拾った種をポットに植えて1年かけて苗木に育てて植樹されました。
まだまだ小さくてうっかり踏んでしまいそう。
大きくなれば落葉樹と常緑樹が混じったような樹林になるのだとか!
できたての森の姿は今しか見られないもの。
だんだんと大きくなるのをじっくりと見守っていきたいと思いました。
さあここからがメインの活動、選択除草です。
この場所に植えた植物が望ましい植生になっていくために取り除きたい外来種を見分けて取り除きます。
まず発見したのは野芝に対して緑が濃い『セイタカアワダチソウ』。
繁殖力の強い外来種で、毒を出し周辺の植物をやっつけながら広がっていく特性があることから、今回のメインターゲット。
時の小径・海の小径・草堤にもたくさん生えていました。
根から除去すると年々生えてくる数が少なくなって最終的には生えなくなる…という状況まで持っていきたいと竹林さん。
みんなで一斉に草むしりスタート!
軍手持参で挑みましたが、思ったよりも根が深いものがあって苦戦!
そんな時はスコップやカマを持ってきていた参加者の方にお願いして根こそぎ取ってもらい助かりました。
力を入れないと抜けないものやひっつき虫もあってスムーズに進まないときも。
「時の小径」の除草が終わったら草堤へ。
海側にもセイタカアワダチソウがたくさん生えていて驚きました。
30人でやれば早い早い!
あっという間にたくさん除草できました。
落ちていたススキやゴミも拾うことができて、来た時よりも『時の小径』が綺麗になったような気がします。
朝早くからいい運動になって体もスッキリ良い気持ち〜〜♪
さらにご褒美が! 「時の納屋」所長でケーキ職人の満濃さんが焼いたレモンケーキをお土産にいただくことができました♪
香川県の新しいブランドレモン「さぬき讃レモン」を使った地元産のおやつ。
爽やかな香りのケーキとほの甘酸っぱいアイシングがマッチしていてとっても美味しかったです♪
参加者の方にも感想をお聞きしてみると…
(高松市からお子さん連れで参加のご家族)
「時の納屋に一度行ってみたいと思っていたところ、ちょうどInstagramでイベントがあると知って、周りの雰囲気も楽しめるかなと思ってきました。
とても楽しかったですし小さな子も自由に遊び回れる感じでよかったです。
この後カフェでごはん食べて帰ります♪」
(岡山市からご参加の女性)
「自然を大切にされていることや、選別除草ではどの草を取り除くのかを知りたくて参加しましたがすごく楽しかったです。
カフェがメインの場所なのかなと思っていましたが、国立公園の自然がメインで建物が景観になるという考え方を聞いて、確かにすごく自然が綺麗だし、そう思われたみなさんがすごいなと思いました。」
(Takebayashi Landscape Architects 竹林知樹さん/写真右から2番目)
「ここは公共空間でもあるので、行政だけでなく市民の人も関われる余地を作りたくてこの活動を始めました。
よく使うこの場所を自分も綺麗にすることができるという関わり方ができれば長く使われていくのではないかと。
また、管理の除草と掛け合わせたらと思って実験的に始めました。
週末ちょっと早起きして運動がてら無心に草むしりをして…と楽しめる方がいればお互いにとっていいんじゃないかと。
この活動は不定期ですが今後も続けて行けたらと思っているので、また気軽に参加してもらえたらと思います。」
「時の納屋」のガイドウォーク&選択除草は今後も不定期に開催予定。
特に事前申し込みが必要なく、途中参加・途中退出OKという手軽さなので気軽に参加してみてくださいね。
今後の開催日については決定次第「時の納屋」Instagramにて随時アップされますのでチェックを。
「時の納屋」ガイドウォーク&選択除草
開催日時/3月8日(土)9:00〜10:30 ※少雨決行
集合場所/「時の納屋」横芝生広場
内容/時の納屋ガイドウォーク・どんぐりの苗木、生き物観察・選択除草
料金/無料
持ち物/ 軍手
申込/不要(途中退出・途中参加自由)
お問合せ先/「時の納屋」Instagram https://www.instagram.com/sanukitokinonaya/
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