
今年2月28日に完成・発行となった絵本『しゅっこう! 漂流ざっかてん』
さらりとした手触りの表紙を開くと、2人の作家さんが手がけた32枚の絵が綴るファンタジックな物語がはじまります。
主人公は海に流れ着いたものをリメイクして販売する雑貨屋を営む兄弟「ツー」と「ダー」。
ある日突然海の水が引き始め、さまざまな漂流物が顔を出します。
これらは一体どこからやってきたのか?
なぜ海の水が一気に引いてしまったのか?
その理由を探しに行こう!とふたりは旅に出ます。
彼らが揃えた雑貨や海で出会うものの中には津田ふるさと海岸周辺の「ウラツダ」エリアで出会えるものがちらほら。
また、物語の中に出てくる木の根っこの形が実は「ウラツダ」の地図と同じという仕掛けもあって、津田町を知っているひとには親近感を感じる絵本。
美しいインディゴブルーの表紙は津田ふるさと海岸に工房を構える「天然藍染工房Khimaira」さんとコラボした作品です。
別々に藍で染めた絵を何層にも重ねながら出来上がったというアーティスティックな絵。
『メイドイン津田』というだけではない、読みごたえも見ごたえもある1冊が出来上がりました。
津田を舞台にした絵本を作ってみたいと思ったのはちょうど1年前、と一般社団法人津田地区まちづくり協議会の黒川さん。
(「一般社団法人津田地区まちづくり協議会」黒川慎一郎さん)
「実はうみの図書館を立ち上げたときから本を作りたいと思っていました。
ちょうどその時期にさぬき市が瀬戸内国際芸術祭2025の開催地になることや、香川県の関係人口を創出するまちづくり支援制度が公表されて、このタイミングで多くの方に津田町を知ってもらうツールを作ろうと絵本を選びました。
絵本なら大人も楽しめるし、まちのにおいや住んでいる人などの地域の空気感を伝える媒体としてぴったりじゃないかなと思ったんです。
ここに来てもらわなくても『行きたいな』と思ってもらえるきっかけを作ることができると思います」
(2024年12月には「うみの図書館」で2人が揃い、原画を描く様子が公開されました)
絵本の絵・文を手がけたのは黒川さんが大学時代の研究室で一緒だったという化生さんと大桐さん。
おふたりとも絵本作家として活躍中です。
作家のおふたりに黒川さんが伝えたコンセプトは『地域と絵本がリンクしているアートブック』。
そのため化生さんも大桐さんも実際に津田町に滞在し、フィールドワークを行なってから制作に入ったそう。
ふたりの活動拠点は広島と神奈川。その離れた距離でもデータではなく原画を送り合いながら色合いや服の模様を共有。
淡くてやさしいタッチは化生さん。くっきりと自然のかたちを描ききるのは大桐さん。
違った個性をお持ちなのにふたりの合作となる絵は自然にマッチしていて、逆に2人で描いていることを聞いてびっくりしました。
原画ができて終了ではないのが今回の絵本づくり。
製本の仕上げは自分たちの手で行ったそう!
できあがった『しゅっこう! 漂流ざっかてん』を実際に見せていただきながら、どんなところが「ウラツダ」とリンクしているのか探してみました!
細かいところを見れば見るほど、このまちで目にしたものが見つかっていきます。
藍染の服が並ぶ様子は「Khimaira」、ピザ窯は「PORTO PIZZA」、ドルフィンセンターから見る夕陽…
かわいいブリキ人形もどこかで…??
「よく行ってる場所ですよ」とヒントを出してもらったのに答えを聞くまで思い出せませんでした。
あなたは津田町のどこにこの子がいるか、わかりますか?笑
最初はかわいい絵を楽しみながらストーリーを、2度目からは細かい部分に潜んでいる「ウラツダ」を探し、3度目は絵本とともに津田のまちを歩きたくなる『しゅっこう! 漂流ざっかてん』
あなたも「うみの図書館」でぜひページをめくってみてくださいね。
まだ知らなかった「ウラツダ」に出会えるかも?
『しゅっこう! 漂流ざっかてん』は2025年2月末に20冊完成し、現在全国15ヵ所の図書館や書店に設置されています。
県内では津田町の「うみの図書館」のほか高松オルネ内「TSUTAYA BOOKSTORE」に、県外では広島のカフェなどで読むことができます。
今後は絵本を制作するにあたって得た経験を活かして本づくりのワークショップを開いたり、正式に出版できるように動きたいと黒川さん。
宿泊できる図書館「うみの図書館」でもルームキーと一緒に絵本を渡して、まちに興味を持ってもらおうという面白い試みも考えているそう。
今後の動きにもご注目を!
『しゅっこう! 漂流ざっかてん』
お問い合わせ先/一般社団法人さぬき市津田地区まちづくり協議会