2025年06月25日

現代に残る珍しい「流水潅頂法要」とは?企画展示から読み解く遍路の歴史@前山

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さぬき市前山にある「さぬき市へんろ資料館」でちょっと珍しい地元の風習を知ることができる企画展が開催中!

この週末6月29日(日)までの「さぬき市長尾に残る流水潅頂」展。

流水潅頂法要は毎年3月13日にさぬき市長尾地区にある高地蔵で行われていますが、江戸時代から続くこの風習がいまだ残っているところは非常に少ないのだとか。

保存会の方が後世に受け継いできたこの慣わしには四国遍路という文化がある土地ならではの思いが込められています。

展示からその内容を読み解きに行ってきました!


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さぬき市前山、道の駅ながお前の「さぬき市へんろ資料館」にやってきました。

こちらの中には四国遍路の歴史や資料が展示されているほか、八十八番札所大窪寺に向かう道すがらにあることからお遍路さんが立ち寄ることも多く、お接待や地域の方との交流を楽しんでもらおうと作られた場所です。

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お隣には先日出来上がったばかりの収蔵庫が。

中は収蔵庫・図書室・資料整理室・事務室があり、1年中一定の温度湿度となるよう管理されます。

現在保管のための環境を整えているため中はまだ空っぽで、2026年の年明けから資料を入れはじめます。

その後も1ヶ月に一回は環境調査を行い、資料に害のある虫の介入がないかなどを調べつつ、長く後世に大切なものを残していこうとしています。

移設後もへんろ資料館は展示と交流の場として稼働。別棟の収蔵庫は「資料整理棟」として活躍する予定です。

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そんな「さぬき市へんろ資料館」の物産室では6月21日に開催された今年の空海セミナーに合わせて特別展示「さぬき市長尾に残る流水潅頂」展が行われていました。

あまり聞きなれない「流水潅頂(りゅうすいかんじょう)」という言葉。

これは、全国的に行われているご先祖の供養や家内安全を祈願するもので、大元はインドで行われてきた儀式と言われています。

さぬき市では長尾の塚原地区から前山に続く旧へんろ道沿いにある高地蔵で毎年3月13日に行われており、その始まりは江戸時代末期と言われています。

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この企画展を行うことになったきっかけを「さぬき市へんろ資料館」片桐館長にお伺いしてみました。

「現在のさぬき市長尾 塚原地区に存在していた山下家という庄屋さんの古文書に、江戸時代末期に1年間で病死したお遍路さんが7名いたという記載を見つけました。

1つの村で年間にこんなに多くの死者が出るのは何かあるのでは?と疑問に思ったことが始まりです。

さらに明治時代になれば、卒塔婆やぼんぼりなどお葬式に使うものを購入した文言が残っており、それにかかった経費やどんなお遍路さんのために用意したのかが記述されていました。

地域の人が行き倒れたお遍路さんを手厚くく供養していたことがわかったんです。」

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企画展でも見ることができる過去帳には「四国遍路死亡者」という文字が。

中には変死された方、困窮家の方など、どんな人を供養したのかが詳しく書かれているそう。

四国遍路では特別にお遍路さんを弔うということは珍しく、流水潅頂も日本全国には少し残っていますがお遍路さんまで弔うことはないと片桐館長。

不幸にして無くなった村の人たちと共に、家族での法要とは別に村単位で弔うものとして受け継がれています。

平成13年には旧長尾町の指定無形文化財となり、現在はさぬき市指定無形民俗文化財にもなっています。

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法要当日は台座を含め4m以上の高さがある高地蔵の前に3つの掛軸が掛けられます。


中央の地蔵菩薩と両脇の真言宗の真言八祖のうち1つを企画展では間近で見ることもできます。

この掛軸も法要を受け継いできた上名保存会のみなさんが長く大切に保管されてきたそう。

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会場で流れている映像では極楽寺のご住職や大窪寺のご住職など4名のお坊さんにより執り行われている法要の様子を見ることもできますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

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また、より詳しく「流水潅頂法要」について知りたい方は、上名保存会のみなさんが手作りされた紹介冊子も配布中!

とても詳しく流水潅頂について説明が書かれていますのでチェックを!

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(さぬき市へんろ資料館 片桐館長)

「江戸時代後期になると食べるのに困ってお遍路さんに出る人が多くなったと言われています。

 そういった人たちが行き倒れたとき、地域の人が手厚く介護をしたり、亡くなったら棺桶を用意して弔うなどして供養していたことがわかるのがこの流水潅頂。

 この企画展を通して、地元でこんな風習が現代まで行われていることを知ってもらいたいと思い企画しました。

 高齢化で存続が難しくなりつつある風習の一つです。」

四国遍路のある土地だから自然に生まれた1つの風習。

ほかにはないへんろの魅力を感じられる企画展です。

この週末29日(日)までの開催ですので、お早めに足を運んでみてくださいね。


「さぬき市長尾に残る流水潅頂」展
開催日時/2025年6月14日(土)〜29日(日)
場所/さぬき市へんろ資料館 物産室
開館時間/8:00〜14:00
お問い合わせ先/

さぬき市へんろ資料館
住所/さぬき市前山936番地 【地図
営業時間/8:00〜16:00
定休日/年末年始
駐車場/あり
HP/http://www.geocities.jp/sanukimaeyamanet/ohenro/sisetu/sisetugaido.html
お問い合わせ先/0879-52-0208

流水潅頂法要(流れ灌頂)
開催日時/毎年3月13日 13:00頃〜
開催場所/石ケ端の高地蔵 (香川県さぬき市長尾)【地図
(長尾西と前山の境、旧へんろ道にある高地蔵・雨の場合は上名公民館)
主催/上名自治会 流水灌頂保存会

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posted by sanuki-asobinin at 11:46| 香川 ☔| Comment(0) | 歴史・文化財 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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